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似た者母娘
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「ふふっ。お義姉さまったら、お可哀想。ボレアス公爵様って、六十歳過ぎのおじいちゃんなのよ?……ああ、でも、魔力無しの無能なお義姉様が公爵夫人になれるのですもの、幸運でしたわね」
執務室で同席していた少女が、態々エントランスまで追い掛けて来て、フィオラの耳元で囁いた。
誰だ、こいつ。
くすくすと笑う少女を振り返った。
お義姉様と言っているということは、この少女は義妹ということになる。では、その隣にいた少年は義弟だということか。
そういえば、母親の面倒を見ていた通いの侍女が何か言っていた気がする。
名前も言っていた気がするが、覚えていない。 会うこともない。自分には関係ない事だと思っていた。
年下のはずの彼女だが、フィオラよりも背が高く一回りも体が大きく見えた。ふっくらとした頬も唇も血色がいい。何一つ不自由なく生活している事が窺えた。
「そのドレス、素敵でしょう?お気に入りでしたけれど、小さくなってしまったから、お義姉様に差し上げます。せめてもの餞別ですわ」
もしかしたら。と、思っていたが、やはりこのサイズの合わないドレスは彼女の物だったらしい。
「でも、中身がお義姉様では、折角のドレスもただの布に見えてしまいますのね。そんな容姿では、公爵様にも捨てられてしまうかもしれませんわね」
がりがりですもの。と、その見下した視線が物語っていた。
「まあ、キオリったら、縁起でもない事を。これで、やっと厄介払いが出来るのですから、戻って来られても困るのよ」
エントランスに更に面倒臭そうなのが増えた。辺境伯の隣に控えていた女まで来たのだ。
少女を名前で呼んだ事から、やはりこの女が辺境伯の後妻。フィオラの義母ということになるのだろう。
「ほほっ。ボレアス公爵も、我が家と縁を結びたいのでしょうけれど、何もこんな無能な醜女を後妻になんて……いえ、感謝しかありませんわね」
義母がいやらしくにんまりと目を細めた。 この二人が母娘である事は間違いなさそうだ。
初対面の人間に、何故こんな嫌味を言われなければならないのか。
こういう時は、黙っているに限る。
侍女たちから侮辱の言葉を散々投げ付けられて来たフィオラは学んだのだ。 言い返せば、それは暴力で返って来る。
フィオラは言い返してやりたい気持ちを、ぐっと堪えた。
「せいぜい公爵様をお慰めなさい。もし公爵様に捨てられたとしても、一度嫁に出た身ですから我が家は二度とあなたを受け入れませんからね。それをお忘れなく」
そう言うと、義母はフィオラを馬車に押し込めた。 馬車の扉が閉まると同時に馬車が走り出す。
……二度と?
それは、一度は受け入れた事がある者が言う台詞だ。
そうは思うもフィオラに発言権はないし、言ったところで碌なことにならない事を知っている。
フィオラは一言も発することなく辺境伯邸を後にした。
執務室で同席していた少女が、態々エントランスまで追い掛けて来て、フィオラの耳元で囁いた。
誰だ、こいつ。
くすくすと笑う少女を振り返った。
お義姉様と言っているということは、この少女は義妹ということになる。では、その隣にいた少年は義弟だということか。
そういえば、母親の面倒を見ていた通いの侍女が何か言っていた気がする。
名前も言っていた気がするが、覚えていない。 会うこともない。自分には関係ない事だと思っていた。
年下のはずの彼女だが、フィオラよりも背が高く一回りも体が大きく見えた。ふっくらとした頬も唇も血色がいい。何一つ不自由なく生活している事が窺えた。
「そのドレス、素敵でしょう?お気に入りでしたけれど、小さくなってしまったから、お義姉様に差し上げます。せめてもの餞別ですわ」
もしかしたら。と、思っていたが、やはりこのサイズの合わないドレスは彼女の物だったらしい。
「でも、中身がお義姉様では、折角のドレスもただの布に見えてしまいますのね。そんな容姿では、公爵様にも捨てられてしまうかもしれませんわね」
がりがりですもの。と、その見下した視線が物語っていた。
「まあ、キオリったら、縁起でもない事を。これで、やっと厄介払いが出来るのですから、戻って来られても困るのよ」
エントランスに更に面倒臭そうなのが増えた。辺境伯の隣に控えていた女まで来たのだ。
少女を名前で呼んだ事から、やはりこの女が辺境伯の後妻。フィオラの義母ということになるのだろう。
「ほほっ。ボレアス公爵も、我が家と縁を結びたいのでしょうけれど、何もこんな無能な醜女を後妻になんて……いえ、感謝しかありませんわね」
義母がいやらしくにんまりと目を細めた。 この二人が母娘である事は間違いなさそうだ。
初対面の人間に、何故こんな嫌味を言われなければならないのか。
こういう時は、黙っているに限る。
侍女たちから侮辱の言葉を散々投げ付けられて来たフィオラは学んだのだ。 言い返せば、それは暴力で返って来る。
フィオラは言い返してやりたい気持ちを、ぐっと堪えた。
「せいぜい公爵様をお慰めなさい。もし公爵様に捨てられたとしても、一度嫁に出た身ですから我が家は二度とあなたを受け入れませんからね。それをお忘れなく」
そう言うと、義母はフィオラを馬車に押し込めた。 馬車の扉が閉まると同時に馬車が走り出す。
……二度と?
それは、一度は受け入れた事がある者が言う台詞だ。
そうは思うもフィオラに発言権はないし、言ったところで碌なことにならない事を知っている。
フィオラは一言も発することなく辺境伯邸を後にした。
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