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執務室にて
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ニコライの執務室にて。
ヒューゴは不満そうな目つきで目の前の主人を見ていた。
「いい加減、理由を話してもらえませんか?」
「何がだ?」
ヒューゴの視線に気付かない振りをしていたニコライは、面倒臭そうに執務机の書類から顔を上げた。
「なぜフィオラ嬢なのか。です」
「……助けられるのは俺しかいないからだ」
ほんのり頬を染める主人に、ヒューゴは「何、照れてんだ」と、半眼になる。
「そりゃ、彼女が不遇の幼少期を過ごしていらしたのは知っていますよ?何しろ、私自身があの家を調べたのですから……しかしですね、何も……」
「くどいぞ」
睨み上げるニコライに、ヒューゴも負けじと目を光らせた。
「そもそも、旦那様とフィオラ嬢との接点はどこにあるのです?」
数年前、ニコライは突然失踪し、帰って来るなりヒューゴにノートス辺境伯を調べるようにと命じた。 てっきりその時に、二人の間に何かあったのだろうとヒューゴは勝手に思っていた。
だからこそ、深く追求する事なく命じられたまま、求婚の書状を辺境伯に送ったというのに。
二人の素振りを見る限り、何かしらの気配は微塵も感じられない。
フィオラにカマをかけるつもりで、ニコライは誘拐された事がある。と、伝えてみたが、フィオラの反応も薄かった。
本当に何も接点が無かったのなら、なぜ急に辺境伯を調べさせ、フィオラに求婚したのか。
身分としては問題ないが、能力としては……
フィオラの境遇には同情を禁じ得ないが、この国ではそれが普通でもある。
ヒューゴは勝手に裏切られた気持ちになっていた。
「……そんなに、私は信用出来ませんか」
「信用出来る、出来ないの問題ではない」
つまり、理由を話せないのは、他に問題があるということだ。
「……もしかして、今回の任務に関係しているのですか?そういえば、フィオラ嬢の母君も――――」
「ヒューゴ。万が一という事もある。お前は、何も知らなくていい……何も、知らなかったんだ」
「………」
何も知らなくていいと言いながら、何故そんな辛そうな顔をするのか。
その、万が一が何なのかが知りたいのに。
目の前の優しい主人に、ヒューゴは歯噛みする。
ニコライはヒューゴを信用していないわけではない。理由を言わないのは、ニコライの優しさ故だということをヒューゴは理解した。
「俺が不在の間……フィオラがやりたいと言った事は出来るだけ叶えてやってくれ」
「……貴族としての礼儀作法はよろしいのですか?」
「お前は、そればっかりだな」
「貴族として生きて行くなら、大事な事です!」
呆れたように笑うニコライに、ヒューゴは安心する。
坊ちゃまには、いつも笑っていて欲しい。
ヒューゴは、切に願うのだった。
ヒューゴは不満そうな目つきで目の前の主人を見ていた。
「いい加減、理由を話してもらえませんか?」
「何がだ?」
ヒューゴの視線に気付かない振りをしていたニコライは、面倒臭そうに執務机の書類から顔を上げた。
「なぜフィオラ嬢なのか。です」
「……助けられるのは俺しかいないからだ」
ほんのり頬を染める主人に、ヒューゴは「何、照れてんだ」と、半眼になる。
「そりゃ、彼女が不遇の幼少期を過ごしていらしたのは知っていますよ?何しろ、私自身があの家を調べたのですから……しかしですね、何も……」
「くどいぞ」
睨み上げるニコライに、ヒューゴも負けじと目を光らせた。
「そもそも、旦那様とフィオラ嬢との接点はどこにあるのです?」
数年前、ニコライは突然失踪し、帰って来るなりヒューゴにノートス辺境伯を調べるようにと命じた。 てっきりその時に、二人の間に何かあったのだろうとヒューゴは勝手に思っていた。
だからこそ、深く追求する事なく命じられたまま、求婚の書状を辺境伯に送ったというのに。
二人の素振りを見る限り、何かしらの気配は微塵も感じられない。
フィオラにカマをかけるつもりで、ニコライは誘拐された事がある。と、伝えてみたが、フィオラの反応も薄かった。
本当に何も接点が無かったのなら、なぜ急に辺境伯を調べさせ、フィオラに求婚したのか。
身分としては問題ないが、能力としては……
フィオラの境遇には同情を禁じ得ないが、この国ではそれが普通でもある。
ヒューゴは勝手に裏切られた気持ちになっていた。
「……そんなに、私は信用出来ませんか」
「信用出来る、出来ないの問題ではない」
つまり、理由を話せないのは、他に問題があるということだ。
「……もしかして、今回の任務に関係しているのですか?そういえば、フィオラ嬢の母君も――――」
「ヒューゴ。万が一という事もある。お前は、何も知らなくていい……何も、知らなかったんだ」
「………」
何も知らなくていいと言いながら、何故そんな辛そうな顔をするのか。
その、万が一が何なのかが知りたいのに。
目の前の優しい主人に、ヒューゴは歯噛みする。
ニコライはヒューゴを信用していないわけではない。理由を言わないのは、ニコライの優しさ故だということをヒューゴは理解した。
「俺が不在の間……フィオラがやりたいと言った事は出来るだけ叶えてやってくれ」
「……貴族としての礼儀作法はよろしいのですか?」
「お前は、そればっかりだな」
「貴族として生きて行くなら、大事な事です!」
呆れたように笑うニコライに、ヒューゴは安心する。
坊ちゃまには、いつも笑っていて欲しい。
ヒューゴは、切に願うのだった。
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