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だって、団体行動したことないんだよ
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フィオラは一人、食堂で食事を始めていた。
だだっ広い食堂に一人。
一人で食事をすることは、これまではそれほど気にもならなかった。
なぜなら、それが普通だったから。
ニコライがいないだけでも、けっこう寂しいもんだな……
フィオラは、ちらっと壁際を見やる。 目が合ったミーシャが、にこりと笑顔を返した。
「ねぇ、一緒に食べようよ」
「何を仰るんです。使用人と一緒になんて、駄目ですよ」
「けち。どうせ食べるなら、一緒の方が効率的じゃん?」
「け、けち……ぇえ~?効率って……そういう問題では……」
椅子ならいくらでも余っていそうだし名案だとフィオラは本気で思ったが、ミーシャが困った顔をしている。
「ヒューゴにお願いしてみるか……あれ?そう言えば、ヒューゴは?」
いつも何だかんだ言いながら顔を見せるヒューゴが今はいない。
ニコライ不在の場合は、領地の執務を代わっているらしいので、それが忙しいのかなとフィオラはさして気にしなかった。
「そう言えば、そうですね」
ヒューゴがいないから何だというわけではないが、ここにいたら強引に食卓に座らされると思ったのか、ミーシャが「見て参りますね」と、そそくさと食堂を出て行った。
ぽつんとフィオラが一人残された。
これでは本末転倒である。
「そういうことじゃないのに」
『まあ、私がいるから良いではないですか』
食堂をふらふらと出たり入ったりとしていたレイがフィオラの隣に戻って来た。
そういうことでもないんだけどな。
「どこ行ってたんだよ……つーか、レイはご飯食べないじゃん?」
フィオラは頬を膨らませて、悔し紛れにミートパイにフォークを突き刺した。フィオラの顔ほどあるミートパイは、どう考えても一口ではいけない。
「こんなでかいの一人で食えないよ……」
ぶつぶつ言いながら改めてパイにナイフを入れる。がちゃがちゃとわざと音を立ててやった。
『まあ、まあ。雰囲気だけでも……』
レイがフィオラを宥める様に、その隣りに座る雰囲気を出すのと、ばぁーん!と、食堂の扉が勢いよく開け放たれたのは同時だった。
「大変ですっっ!!お嬢様!」
ひどく動揺したミーシャが食堂に駆け込んで来た。
一口大にしたミートパイを口に運ぶ途中でぽかんとしているフィオラの側で、ミーシャが右往左往している。
「……どうした?ヒューゴはいたの?」
「そんなことより、大変なんです!!エントランスに……今、護衛の人達が帰って来てて……」
うん?
……護衛?
フィオラは何かを思い出しかけていた。 何故か冷や汗が出てくる。
「お嬢様が行方不明なんです!!」
半泣き状態になっているミーシャを見つめながら、フィオラはごくんと唾を飲み込んだ。
……そうだった。
フィオラは一人で帰って来たことをすっかり忘れていた。
「ぁ、あれぇ~?あの人達、先に帰って来てたんじゃないの……?」
ぼそぼそと呟くフィオラの声はミーシャの耳には届いていない。
「お嬢様が湖でいなくなってしまったと……今まで捜索していたらしいのですが……」
『まあ、普通は護衛対象がいなくなったら探しますよねぇ……』
さも当然。と、冷静に頷くレイ。
自慢じゃないが、フィオラは団体行動なんてしたことがない上に、いなくなったから探されるなどという経験はなかった。だから、「いないなら、適当に帰ったのだろう」と、思われていると思ったのだ。
分かっていたなら、言ってくれ。と、フィオラはレイを睨む。
そんな思考をしているフィオラも大概だが、黙って見ているレイもレイだ。
うるうる、おろおろとしていたミーシャがフィオラに縋る。
「日が暮れたので、今日の捜索は打ち切ったらしいのですが……ああ!お嬢様!」
いや、落ち着け。そのお嬢様は目の前にいる。
どうやらミーシャは、相当動揺しているらしい。それか、相当の天然か。
「ま、まあ、落ち着けって」
「お嬢様!これが落ち着いていられますか!お可哀そうにお嬢様……きっと、お一人で怖い思いをされているに違いありません!ぅうっ!お嬢様……お嬢様はどこに……あれ、いなく……?なって……ない?」
ミーシャはおろおろとさせていた視線をフィオラに定め、しっかりとフィオラを見つめた。
やっと状況の矛盾に気付いたのか、ミーシャの涙が止まる。そして、その代わりに頭の上に疑問符が浮かびはじめた。
「あ、歩いて……帰って来ちゃったんだよね……」
「歩いて……?いや、だって……ええ?」
かなり無理のある言い訳。ミーシャが混乱するのも無理もない。しかし、押し通す。
さて、どうやって誤魔化そうか。
ミーシャはそれで何とか押し通せそうだが、他の人はどうだろう。特にヒューゴ辺りは難しそうな気がする。
大変な事になっているっぽいので、食事の途中だけれどフィオラは立ち上がった。
『こんな状況になっても、真実は伝えないんだ?』
腑に落ちない顔をしたミーシャを連れて食堂を出て行くフィオラを見送りながら、レイは苦笑していた。
『……まあ、その方が都合が良いのだけれどね』
だだっ広い食堂に一人。
一人で食事をすることは、これまではそれほど気にもならなかった。
なぜなら、それが普通だったから。
ニコライがいないだけでも、けっこう寂しいもんだな……
フィオラは、ちらっと壁際を見やる。 目が合ったミーシャが、にこりと笑顔を返した。
「ねぇ、一緒に食べようよ」
「何を仰るんです。使用人と一緒になんて、駄目ですよ」
「けち。どうせ食べるなら、一緒の方が効率的じゃん?」
「け、けち……ぇえ~?効率って……そういう問題では……」
椅子ならいくらでも余っていそうだし名案だとフィオラは本気で思ったが、ミーシャが困った顔をしている。
「ヒューゴにお願いしてみるか……あれ?そう言えば、ヒューゴは?」
いつも何だかんだ言いながら顔を見せるヒューゴが今はいない。
ニコライ不在の場合は、領地の執務を代わっているらしいので、それが忙しいのかなとフィオラはさして気にしなかった。
「そう言えば、そうですね」
ヒューゴがいないから何だというわけではないが、ここにいたら強引に食卓に座らされると思ったのか、ミーシャが「見て参りますね」と、そそくさと食堂を出て行った。
ぽつんとフィオラが一人残された。
これでは本末転倒である。
「そういうことじゃないのに」
『まあ、私がいるから良いではないですか』
食堂をふらふらと出たり入ったりとしていたレイがフィオラの隣に戻って来た。
そういうことでもないんだけどな。
「どこ行ってたんだよ……つーか、レイはご飯食べないじゃん?」
フィオラは頬を膨らませて、悔し紛れにミートパイにフォークを突き刺した。フィオラの顔ほどあるミートパイは、どう考えても一口ではいけない。
「こんなでかいの一人で食えないよ……」
ぶつぶつ言いながら改めてパイにナイフを入れる。がちゃがちゃとわざと音を立ててやった。
『まあ、まあ。雰囲気だけでも……』
レイがフィオラを宥める様に、その隣りに座る雰囲気を出すのと、ばぁーん!と、食堂の扉が勢いよく開け放たれたのは同時だった。
「大変ですっっ!!お嬢様!」
ひどく動揺したミーシャが食堂に駆け込んで来た。
一口大にしたミートパイを口に運ぶ途中でぽかんとしているフィオラの側で、ミーシャが右往左往している。
「……どうした?ヒューゴはいたの?」
「そんなことより、大変なんです!!エントランスに……今、護衛の人達が帰って来てて……」
うん?
……護衛?
フィオラは何かを思い出しかけていた。 何故か冷や汗が出てくる。
「お嬢様が行方不明なんです!!」
半泣き状態になっているミーシャを見つめながら、フィオラはごくんと唾を飲み込んだ。
……そうだった。
フィオラは一人で帰って来たことをすっかり忘れていた。
「ぁ、あれぇ~?あの人達、先に帰って来てたんじゃないの……?」
ぼそぼそと呟くフィオラの声はミーシャの耳には届いていない。
「お嬢様が湖でいなくなってしまったと……今まで捜索していたらしいのですが……」
『まあ、普通は護衛対象がいなくなったら探しますよねぇ……』
さも当然。と、冷静に頷くレイ。
自慢じゃないが、フィオラは団体行動なんてしたことがない上に、いなくなったから探されるなどという経験はなかった。だから、「いないなら、適当に帰ったのだろう」と、思われていると思ったのだ。
分かっていたなら、言ってくれ。と、フィオラはレイを睨む。
そんな思考をしているフィオラも大概だが、黙って見ているレイもレイだ。
うるうる、おろおろとしていたミーシャがフィオラに縋る。
「日が暮れたので、今日の捜索は打ち切ったらしいのですが……ああ!お嬢様!」
いや、落ち着け。そのお嬢様は目の前にいる。
どうやらミーシャは、相当動揺しているらしい。それか、相当の天然か。
「ま、まあ、落ち着けって」
「お嬢様!これが落ち着いていられますか!お可哀そうにお嬢様……きっと、お一人で怖い思いをされているに違いありません!ぅうっ!お嬢様……お嬢様はどこに……あれ、いなく……?なって……ない?」
ミーシャはおろおろとさせていた視線をフィオラに定め、しっかりとフィオラを見つめた。
やっと状況の矛盾に気付いたのか、ミーシャの涙が止まる。そして、その代わりに頭の上に疑問符が浮かびはじめた。
「あ、歩いて……帰って来ちゃったんだよね……」
「歩いて……?いや、だって……ええ?」
かなり無理のある言い訳。ミーシャが混乱するのも無理もない。しかし、押し通す。
さて、どうやって誤魔化そうか。
ミーシャはそれで何とか押し通せそうだが、他の人はどうだろう。特にヒューゴ辺りは難しそうな気がする。
大変な事になっているっぽいので、食事の途中だけれどフィオラは立ち上がった。
『こんな状況になっても、真実は伝えないんだ?』
腑に落ちない顔をしたミーシャを連れて食堂を出て行くフィオラを見送りながら、レイは苦笑していた。
『……まあ、その方が都合が良いのだけれどね』
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