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嘘つきはどっちだ
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確かに、フィオラはかなり歩かされた。
あの時、森っぽいとは思っていたが、まさかあの時既に本当に森に侵入していたとは。
ヒューゴの言う通り、キンバリーとはぐれたのが意図的なものだと仮定して、普通の令嬢、しかも魔力も何も持たないとされる少女が魔物の森に置き去りにされたとしたら?
まあ、魔物に殺されるわな。
死人に口なし。 キンバリーの先程からのいい加減な言い訳は、フィオラ本人がもうこの世にいないと思ってだったのか。
最初から、そのつもりだったのだろうか。
何故。
たった半日前の、楽しかった時間は何だったんだ。
急激に体のどこかが冷えていくような錯覚に陥る。
「キンバリー……何で?」
疑問が思わずフィオラの口をついて出ていた。
その声で俯いていたキンバリーが顔を上げた。フィオラと目が合ったが物凄く睨まれた挙げ句、視線を逸らされてしまった。
キンバリーのフィオラに向けた表情は、とても半日前と同じ人間とは思えない。
「旦那様には、連絡をします。近日中には戻って来られるでしょう。それまで、キンバリー、あなたには牢に入っていてもらいます」
「ろ、牢っ?!待って、そんなっ、俺は……団長のために……そっ、お嬢様は嘘をついてるっ!」
牢に入れられるとは思っていなかったのか、焦った様子でキンバリーは言い募る。
この期に及んで、まだそんな嘘をつくのか。フィオラは怒りを通り越して呆れていた。
ヒューゴは頭痛でもするのか目をつむり、額を押さえて大きく息を吐いた。 その大きな溜め息にキンバリーは息を呑む。
「話は後で詳しく聴きましょう……どちらが嘘をついているのかはさておき……どちらにしても、フィオラ嬢を危険な目に合わせたのは確かです。キンバリー、あなたを旦那様がお許しになるかは、分かりませんが……旦那様から沙汰があるまで大人しくしていて下さい」
ヒューゴに冷たい視線を向けられ、キンバリーがびくりと肩を揺らす。
「そんな……俺は、団長が……団長は……だって……」
キンバリーはぶつぶつと意味の分からないことを訴えていたが、何を言っても無駄だと悟ったのか大人しくなった。
三人は信じられない思いでことの成り行きを見守っていた。 ウォーリーは何か言いたそうにしていたが結局何も言うことなく、放心状態となったキンバリーの腕を取る。ベスターとウィルもウォーリーに声を掛けられ我に返ると一緒に執務室を出て行った。
「……さて」
ヒューゴが複雑そうな表情でフィオラに向き直る。
「何かしら起こるような気はしていましたが……どういうことでしょうか?」
「あ、え?」
キンバリーに気を取られて油断していたフィオラは、ぽかっと口を開いてヒューゴを見返した。
その話は終わったんじゃないのか??
終わるはずがなかった。 ヒューゴの表情が厳しいものへと変化していく。
「自分勝手な行動をされるなら、今後は外出禁止にせざるを得ません」
仁王立ちしたヒューゴは、明らかにご立腹であった。
「ち、違う!あ……え、と。キンバリーが花を見せたいって言ってさ!それで……」
誤解で叱られるなど、たまったものではなかった。
フィオラは、キンバリーに強引に連れて行かれたこと。途中ではぐれたことをしどろもどろに語る。
はぐれた後に魔物に出会したことと、転移して部屋に戻って来たことは内緒にした。
「……それで、歩いて帰って来たと?」
うんうん。と、フィオラが頷く。
しかし、悲しいかな。フィオラがしどろもどろな所為か、キンバリーの言の方が真実の様に聞こえてしまう。 フィオラは嘘はついていない。全てを語っていないだけだ。
「ヒューゴさん。お嬢様は、帰っていらした時、泥だらけの傷だらけでした。本当に歩いて帰っていらしたのだと思います」
それまで存在を消していたミーシャが一歩前に出た。
「歩いて……歩けない距離では、ないですが……」
ヒューゴはミーシャを一瞥すると、目を眇めてフィオラを見やる。
じっとフィオラを見つめるヒューゴの表情からは何を考えているのかは伺えない。やがて納得したのか諦めたのかヒューゴは小さく息を吐いた。
「フィオラ嬢を疑う訳ではありませんし……キンバリーの言動の真意も分かりませんが……何にせよ、ご無事で何よりでした」
嘘だ。絶対に何かを疑ってる。
そう思ったが、これ以上話が長くなるのも面倒なフィオラは黙って頷いた。
ヒューゴが深い溜め息を吐く。
「ヒューゴ。あんた、疲れてるんじゃないか?早く休んだ方が良いぞ?」
「……あなたが言いますか?」
溜め息の多いヒューゴに、気を使って労ったつもりだった。それを、ヒューゴは睨み返してくる。
……なんでだ。
フィオラは、納得がいかなかった。
あの時、森っぽいとは思っていたが、まさかあの時既に本当に森に侵入していたとは。
ヒューゴの言う通り、キンバリーとはぐれたのが意図的なものだと仮定して、普通の令嬢、しかも魔力も何も持たないとされる少女が魔物の森に置き去りにされたとしたら?
まあ、魔物に殺されるわな。
死人に口なし。 キンバリーの先程からのいい加減な言い訳は、フィオラ本人がもうこの世にいないと思ってだったのか。
最初から、そのつもりだったのだろうか。
何故。
たった半日前の、楽しかった時間は何だったんだ。
急激に体のどこかが冷えていくような錯覚に陥る。
「キンバリー……何で?」
疑問が思わずフィオラの口をついて出ていた。
その声で俯いていたキンバリーが顔を上げた。フィオラと目が合ったが物凄く睨まれた挙げ句、視線を逸らされてしまった。
キンバリーのフィオラに向けた表情は、とても半日前と同じ人間とは思えない。
「旦那様には、連絡をします。近日中には戻って来られるでしょう。それまで、キンバリー、あなたには牢に入っていてもらいます」
「ろ、牢っ?!待って、そんなっ、俺は……団長のために……そっ、お嬢様は嘘をついてるっ!」
牢に入れられるとは思っていなかったのか、焦った様子でキンバリーは言い募る。
この期に及んで、まだそんな嘘をつくのか。フィオラは怒りを通り越して呆れていた。
ヒューゴは頭痛でもするのか目をつむり、額を押さえて大きく息を吐いた。 その大きな溜め息にキンバリーは息を呑む。
「話は後で詳しく聴きましょう……どちらが嘘をついているのかはさておき……どちらにしても、フィオラ嬢を危険な目に合わせたのは確かです。キンバリー、あなたを旦那様がお許しになるかは、分かりませんが……旦那様から沙汰があるまで大人しくしていて下さい」
ヒューゴに冷たい視線を向けられ、キンバリーがびくりと肩を揺らす。
「そんな……俺は、団長が……団長は……だって……」
キンバリーはぶつぶつと意味の分からないことを訴えていたが、何を言っても無駄だと悟ったのか大人しくなった。
三人は信じられない思いでことの成り行きを見守っていた。 ウォーリーは何か言いたそうにしていたが結局何も言うことなく、放心状態となったキンバリーの腕を取る。ベスターとウィルもウォーリーに声を掛けられ我に返ると一緒に執務室を出て行った。
「……さて」
ヒューゴが複雑そうな表情でフィオラに向き直る。
「何かしら起こるような気はしていましたが……どういうことでしょうか?」
「あ、え?」
キンバリーに気を取られて油断していたフィオラは、ぽかっと口を開いてヒューゴを見返した。
その話は終わったんじゃないのか??
終わるはずがなかった。 ヒューゴの表情が厳しいものへと変化していく。
「自分勝手な行動をされるなら、今後は外出禁止にせざるを得ません」
仁王立ちしたヒューゴは、明らかにご立腹であった。
「ち、違う!あ……え、と。キンバリーが花を見せたいって言ってさ!それで……」
誤解で叱られるなど、たまったものではなかった。
フィオラは、キンバリーに強引に連れて行かれたこと。途中ではぐれたことをしどろもどろに語る。
はぐれた後に魔物に出会したことと、転移して部屋に戻って来たことは内緒にした。
「……それで、歩いて帰って来たと?」
うんうん。と、フィオラが頷く。
しかし、悲しいかな。フィオラがしどろもどろな所為か、キンバリーの言の方が真実の様に聞こえてしまう。 フィオラは嘘はついていない。全てを語っていないだけだ。
「ヒューゴさん。お嬢様は、帰っていらした時、泥だらけの傷だらけでした。本当に歩いて帰っていらしたのだと思います」
それまで存在を消していたミーシャが一歩前に出た。
「歩いて……歩けない距離では、ないですが……」
ヒューゴはミーシャを一瞥すると、目を眇めてフィオラを見やる。
じっとフィオラを見つめるヒューゴの表情からは何を考えているのかは伺えない。やがて納得したのか諦めたのかヒューゴは小さく息を吐いた。
「フィオラ嬢を疑う訳ではありませんし……キンバリーの言動の真意も分かりませんが……何にせよ、ご無事で何よりでした」
嘘だ。絶対に何かを疑ってる。
そう思ったが、これ以上話が長くなるのも面倒なフィオラは黙って頷いた。
ヒューゴが深い溜め息を吐く。
「ヒューゴ。あんた、疲れてるんじゃないか?早く休んだ方が良いぞ?」
「……あなたが言いますか?」
溜め息の多いヒューゴに、気を使って労ったつもりだった。それを、ヒューゴは睨み返してくる。
……なんでだ。
フィオラは、納得がいかなかった。
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