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ニコライは何がしたいのか
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なんだか、物凄く振り回された気がする。
フィオラは、わずか二十分にも満たない間に疲れきっていた。ぐったりと背もたれに沈み込んでいたが、残念ながら休む暇もなく城へ到着してしまう。
「お、ぉお~……でかい」
城の前でニコライにエスコートされ馬車から下りると、おのぼりさんのように城を見上げた。
その大きさに圧倒され疲れを忘れるくらいには、フィオラの気持ちは高揚した。 建物の高さもそうだが、どこまでが敷地なのか分からないくらい広い。何より行き交う人の多さに圧倒された。 生誕祭だからなのか行き交う人々は着飾り、表情は明るく楽しそうだ。
「街はもっと賑やかなんだ。本当はフィオラを連れて行ってあげたかったんだが……」
ニコライが、ちらっとフィオラを窺う。
「悪かったよ。あの日は疲れててさ」
先日フィオラが誘いに乗らなかった事をまだ根に持っていたのか。意外にしつこいなと思いつつ、宥めるようにニコライの腕をぽんぼんと軽く叩いた。
「あ、いや。そういうわけではなく……」
ニコライが焦った様子でフィオラを見下ろした。その慌てぶりを見ると嫌味で言ったわけではなさそうだ。
「別にいいよ。行きたかったら一人で行くし」
「あ、いや……そういうわけには……」
とっくの昔に終わった話だとフィオラは思っていたが、ニコライは違うようだ。まだ何か言いたそうにしている。
そういや、ライは私をデートに誘ったんだとかミーシャが言ってたっけ?
もし本当にデートしたいのなら、そう言えばいいのに何で言わないのだろう。
もしかして、それが貴族ってやつなのか……?
不思議に思ったフィオラは、黙ってしまったニコライを見つめて小首をかしげた。すると、何故だかニコライは体を強張らせ、たじろぐように微かに背中を反らせた。
「ライは、私とデートしたいの?」
「へっ?!」
面倒臭いから自分から聞いてしまえばいい。そう思ったのだが、ニコライが思いの外素っ頓狂な声を上げた。フィオラの質問は、どうやら間違えたらしい。
「あれ、違った?ミーシャがそうだって言ってたから」
「あ、あいつ……」
「あ。やっぱり、違うんだ?そうだよな、わざわざデートする必要なんかないもんな」
「あ、いや……そんなことは……」
今日のニコライは、心なしか表情が豊かだ。いつもなら顰め面一色なのに、今朝は声を上げて笑っていた。今も、怒ったり困ったりと感情が手に取るように分かる。
「フィオラはしたいか?その……俺と……デート」
ニコライが拗ねたように口を尖らせている。後半は、辛うじて聞き取れるくらい小声になっていた。
本当に、今日のライはどうしたんだ??
いつもと違い過ぎるニコライの態度にフィオラは戸惑う。それに、デートしたいかと聞かれても、フィオラにとってはどちらでも良いというのが正直なところだった。
「まあ。デートするにしたって、わざわざ出掛ける必要もないしな」
「……ん?」
「家の中でも出来るだろ。いつでもしていいよ」
「……デートって、何のことだか知ってるか?」
「お互いを知るためにするんだろ?」
「間違っては……いないがな」
それでは複数人のお茶会でも会合でもデートになってしまうではないか。フィオラの知識の偏りに、ニコライは難しい顔をした。
「あれ、違った?リーナがそうだって言ってたから」
「あ、あいつ……」
ニコライが盛大な溜め息を吐いた。 どうやら、何かが違うらしい。そう気付いたが、やはりフィオラにはどちらでも良かった。
そして、ニコライの中で何かが吹っ切れたらしい。「もういい!」と、言ったかと思うと、フィオラに向き直り、二の腕を掴んだ。痛くはなかったが、突然のことにフィオラがニコライを見上げると、背の高いニコライが身を屈めるようにしてフィオラの顔を覗き込んでいた。
「フィオラ、挨拶が終わったら……」
「挨拶??」
「そう。国王への挨拶……そしたら……その……」
真剣な表情でニコライが口ごもり、フィオラも何を言われるのかと妙な緊張感が漂う。
居心地が悪くなったフィオラがニコライの手を払おうとした時、ニコライが意を決したように口を開いた。が、フィオラと目が合うと、その瞳をふわふわと揺らして何も言わずに再び口を閉じた。
フィオラは、わずか二十分にも満たない間に疲れきっていた。ぐったりと背もたれに沈み込んでいたが、残念ながら休む暇もなく城へ到着してしまう。
「お、ぉお~……でかい」
城の前でニコライにエスコートされ馬車から下りると、おのぼりさんのように城を見上げた。
その大きさに圧倒され疲れを忘れるくらいには、フィオラの気持ちは高揚した。 建物の高さもそうだが、どこまでが敷地なのか分からないくらい広い。何より行き交う人の多さに圧倒された。 生誕祭だからなのか行き交う人々は着飾り、表情は明るく楽しそうだ。
「街はもっと賑やかなんだ。本当はフィオラを連れて行ってあげたかったんだが……」
ニコライが、ちらっとフィオラを窺う。
「悪かったよ。あの日は疲れててさ」
先日フィオラが誘いに乗らなかった事をまだ根に持っていたのか。意外にしつこいなと思いつつ、宥めるようにニコライの腕をぽんぼんと軽く叩いた。
「あ、いや。そういうわけではなく……」
ニコライが焦った様子でフィオラを見下ろした。その慌てぶりを見ると嫌味で言ったわけではなさそうだ。
「別にいいよ。行きたかったら一人で行くし」
「あ、いや……そういうわけには……」
とっくの昔に終わった話だとフィオラは思っていたが、ニコライは違うようだ。まだ何か言いたそうにしている。
そういや、ライは私をデートに誘ったんだとかミーシャが言ってたっけ?
もし本当にデートしたいのなら、そう言えばいいのに何で言わないのだろう。
もしかして、それが貴族ってやつなのか……?
不思議に思ったフィオラは、黙ってしまったニコライを見つめて小首をかしげた。すると、何故だかニコライは体を強張らせ、たじろぐように微かに背中を反らせた。
「ライは、私とデートしたいの?」
「へっ?!」
面倒臭いから自分から聞いてしまえばいい。そう思ったのだが、ニコライが思いの外素っ頓狂な声を上げた。フィオラの質問は、どうやら間違えたらしい。
「あれ、違った?ミーシャがそうだって言ってたから」
「あ、あいつ……」
「あ。やっぱり、違うんだ?そうだよな、わざわざデートする必要なんかないもんな」
「あ、いや……そんなことは……」
今日のニコライは、心なしか表情が豊かだ。いつもなら顰め面一色なのに、今朝は声を上げて笑っていた。今も、怒ったり困ったりと感情が手に取るように分かる。
「フィオラはしたいか?その……俺と……デート」
ニコライが拗ねたように口を尖らせている。後半は、辛うじて聞き取れるくらい小声になっていた。
本当に、今日のライはどうしたんだ??
いつもと違い過ぎるニコライの態度にフィオラは戸惑う。それに、デートしたいかと聞かれても、フィオラにとってはどちらでも良いというのが正直なところだった。
「まあ。デートするにしたって、わざわざ出掛ける必要もないしな」
「……ん?」
「家の中でも出来るだろ。いつでもしていいよ」
「……デートって、何のことだか知ってるか?」
「お互いを知るためにするんだろ?」
「間違っては……いないがな」
それでは複数人のお茶会でも会合でもデートになってしまうではないか。フィオラの知識の偏りに、ニコライは難しい顔をした。
「あれ、違った?リーナがそうだって言ってたから」
「あ、あいつ……」
ニコライが盛大な溜め息を吐いた。 どうやら、何かが違うらしい。そう気付いたが、やはりフィオラにはどちらでも良かった。
そして、ニコライの中で何かが吹っ切れたらしい。「もういい!」と、言ったかと思うと、フィオラに向き直り、二の腕を掴んだ。痛くはなかったが、突然のことにフィオラがニコライを見上げると、背の高いニコライが身を屈めるようにしてフィオラの顔を覗き込んでいた。
「フィオラ、挨拶が終わったら……」
「挨拶??」
「そう。国王への挨拶……そしたら……その……」
真剣な表情でニコライが口ごもり、フィオラも何を言われるのかと妙な緊張感が漂う。
居心地が悪くなったフィオラがニコライの手を払おうとした時、ニコライが意を決したように口を開いた。が、フィオラと目が合うと、その瞳をふわふわと揺らして何も言わずに再び口を閉じた。
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