喜楽

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喜楽 0 双子の再会

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 獣人グリフォン族の青年こうが、嘴をコップから離し風牙の方を見た。
「兄貴、おはよう」
「風牙兄さん、おはよう」
 牛乳をコップに入れ、九に手渡している獣人狼族の少年アサギ。今は人間の姿をしている。
「おはよう、二人とも起きたんですね。今作るので待って下さいね」
 風牙は慌てて料理を始めた。
 そして、テーブルに出来たての朝食を三人分並べる。風牙も椅子に座り、朝食を食べ始めた。
「昂、今日の配付分もあって大変だとは思いますが、至急アイリエ島まで手紙を届けて下さいね」
 昂が一瞬手を止め風牙の方を見る。パンを一 口かじり溜息を付く。
「アイリエ島かぁ遠いなぁ……まぁいつもより 配付分は少ねえし、仕事だから仕方ねえなぁ」
 又、パンをかじり始めた。

 朝食が終わり、九と昴の分の弁当を作り始め、その横でアサギが朝食の分の皿等を洗っている。
「今日は、フェル母さんが帰ってくるね」
 洗い終わった皿を拭きながら、アサギは風牙に楽しそうに話し掛けてくる。
 フェルは一ヶ月前、大陸一大きい町で祭りがあるとかで、商売をしに出掛けていて今晩帰ってくる予定なのだ。
「そうでしたね」
 風牙も楽しそうに答え、弁当をそれぞれに包む。
「九、ほら! ちゃんと服を着て」
 アサギは台所を離れると、九の学校へ行く支度を手伝い始める。九が暴れて服がちゃんと着せられないようだ。
 学校と言っても、必ず皆が行かなければならない訳ではない。九は魔法に才能があるようなので、 魔法を習うために通っている。魔法を使うためには、許可証いわゆる免許が必要なのだ。どんなに魔力を持っていても、免許を持っていなければ使 うことは許されない。
 奥の部屋から獣人族の老人龍鬼りゅうきが、大きな欠伸をしながら現れた。
 龍族が他の種族と暮らすことは極めて珍しい。王族かそれに仕える貴族が多いため、彼ら種族を外で見ることは少ない。だが、ここで彼を見て驚 く者は居ない。それが、極当たり前の事だからだ。
「ご隠居、おはようございます。朝御飯は皆と同じで良いですか?」
 風牙は、弁当の包みをテーブルに置きながら、 挨拶をする。
 龍鬼は、この何でも屋を最初に始めた人物。
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