喜楽

紋目

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喜楽 0 双子の再会

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「まだ生かしてあるんじゃ、許せないのは判るが、風牙が意識を戻すまでは……」
 フェルは、龍鬼鬼の手を振り解こうとする。
「何言ってんのよ! 自分の息子にこんな事されて、黙って生かしとけって言うの!」
「フェル落ち着かんか! 探し人かも知れんのじゃ」
 龍鬼の言葉に、フェルは暴れるのを止め、信じられないと言った顔で龍鬼を見上げる。
「風牙は、そ奴の事を蒼牙、と……」
 龍鬼がフェルから手を離すと、フェルはもう一度風牙の顔を覗き込む。
「龍鬼ありがとう。話し先に聞いてなかったら殺してた」
 フェルは、龍鬼の方を見ると笑った。そして、 台所の方へ向かう。
 台所に入ると、昂はフェルがさっき覗いた時と同じ場所にいた。
 昂が置いたのだろう、テーブルにはさつきは置かれていなかった、ご飯が置かれている。フェルは昂の隣に座る。
「昴、今日は大変だったね。九とアサギはもう寝たの? 誰も怪我しなかった?」
「さっき九を寝かせに行ったまま戻ってこないから、寝ちまったんじゃないかなぁ? 兄貴以外は誰も怪我してねえよ」
 昴はそう答えると大きな欠伸をした。フェルは 昂を見て笑う。
「明日も仕事があるんだ、もう寝な」
「て、言ってもなあ、母さんこそ仕事から帰って来て疲れてるだろ? こいつは誰か見とかねえと」
 昂は蒼牙を指差し、フェルを心配そうに見る。 フェルは、高らかに笑う。
「あんた達ガキに心配されるほど、まだ年は取ったつもりはないよ。心配してないで早く寝な……」
 昴の腕を軽く叩き、少し間を空ける。
「……ありがとう」
 小さな声でそう言うと、少し恥ずかしそうに微笑む。
「母さんがそう言うんなら、そうするよ。九とアサギの様子見てから寝る事にする。ああ、そいつ何聞いても反応しないぜ」
 昂は立ち上がると大きく伸びをし、又大きな欠 伸をすると部屋を出て行く。フェルは、昂が出て 行くのを目で追う。出て行くのを見届けると、大きく溜息を付き、蒼牙の方を見た。
「今日は一ヶ月ぶりに帰って来たのに、あんたのおかげで最悪だよ」
 蒼牙が反応する様子はない。フェルは肩を竦め溜息を付く。フェルはテーブルの方を向くと、風牙の作った料理を食べ始める。
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