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Ⅶ 待ち受けていたのは
87. 混乱は継続中なのだけど
しおりを挟む小さな馬車に詰め込まれて揺られること数十分。王宮に到着した。
案内されたのは離れの棟。ここは王族の生活空間から遠く、これではセーファス様に窮地を気づいてもらえないかもしれないと焦りが生じる。でも――。
「殿下!」
移動の途中、偶然その姿を発見して私は思わず声を上げた。
本当は駆け寄りたいところだけど、両腕をがっしりと掴まれていたため、気づいた殿下がこちらに来るのをじっと待つ。
「殿下、よかった。私、もうわけがわからなくて」
安心と安堵の息をついた。セーファス様は私の味方。必ず助けてくれるという絶対的な信頼があった。
セーファス様はそばまで来ると、私を拘束する兵士たちに静かな視線を向ける。
「すまないが少し借りる。お前たちは入り口の外で待機を」
「はっ」
それからセーファス様のすぐ後ろにいたクリフォード様に、一番近い部屋の扉を開けさせる。
「こちらへ」
セーファス様に促されて私は部屋に入った。すぐに出入り口を塞ぐようにクリフォード様が扉の前に立ち、一瞬、あれ? と首を傾げる。でも、その間にもセーファス様がソファーへと向かい、座ったので、私も慌ててそちらに移動した。
「殿下、実は――」
「話は聞いたかい?」
「え? あ、はい、その……わ、私が裁判にかけられることになったと聞かされて」
「ああ、そうだ」
「え、知って……? あの、な、何かの間違いではないでしょうか。そんな、裁判だなんて、私……」
「心当たりはないのか?」
焦り混乱する私と冷静なセーファス様。その温度差は大きく、奇妙さを生むが、私はそれを気にするどころではなかった。
「心当たりなんて……なにも」
「本当に?」
「は、はい」
「そう――」
返されたのは地を這うような低い声。普段のセーファス様からは考えられない不穏な声に思わず私は硬直する。
そんな、まさか。だって、セーファス様は絶対的な私の味方だ。私を助けてくれるはずの人で――。
「この期におよんでまだとぼけるのか!」
続けられたセーファス様の一喝。びくりと体が跳ねた。
全身から一気に血の気が引く。それは屋敷にやってきた兵士に裁判だと告げられたとき以上の衝撃だった。
がたがたと体が震える。怖かった。こんなにもセーファス様を怖いと思ったのは初めてだった。セーファス様はいつだって穏やかな笑みを浮かべた、物語に出てくるような王子様だったというのに。
「ふん、残念だよ。君の口から直接聞ければ減刑も考えられたんだが。裁判前に懺悔の場を用意したのは無駄だったようだね」
「ざん、げ……?」
セーファス様は答えなかった。代わりにどこぞへと声をかける。
「もういいよ。みな、入ってきなさい」
セーファス様の視線の先はつづき部屋になっている隣室。釣られるように視線を向ければ、その扉が小さな音を立てて開いた。
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