まさかのヒロイン!? 本当に私でいいんですか?

つつ

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Ⅲ ヒロインの宿命?

37. 予習ってなんだっけ

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 しんと静まり返った図書館に入って、私はほっと息をついた。
 最近はクラスメイトだけじゃなく、学校中の視線を集めている気がする。でもって向けられている視線がいいものではないとわかっているから、とても疲れるのだ。
 けど、図書館にはそういった目がないので、私の自習の場であると同時に、心のシェルターになっていた。

 というのも、学院に通う貴族の多くはすでに大半の知識を身に着けているので、三年生くらいまではどの授業も復習でしかない。ゆえに図書館を利用して勉強しようなどという奇特な貴族はほとんどなかったからだ。最上級生である四年生は研究課題が出されるから、また別だけど。

 家に帰るとどうしても甘やかされてしまう。だから、私はここで勉強してから帰ることにしていた。貴族の利用者が少ないことは私にとって幸いだった。
 ただ、マナーやダンスはここでは実践できないので、家に帰ってからだ。家にはお父様が見つけてくださった優秀な先生が住み込みでいてくれている。図書館で勉強してからなので遅い時間になってしまうが、それでも嫌な顔ひとつせず授業をしてくれていた。


 そんなこんなで、私は毎日図書館にきていた。でもって、休日も返上して必死に勉強したんだけど、残念ながら、あまり効果はでなかった。

 一番の問題は、教科書というものが存在していないことだ。日本では当たり前だった予習復習。その難易度がこの世界では一気に上がる。

 復習についてはまだいい。授業中にポイントとなる単語をメモしておけば、関係している本をここで借りることができるから。といっても、まとまっていないために何冊も目を通さねばならず時間はかかってしまうんだけど。

 で、授業で恥をかかないために大切なのは予習のほう。
 けど、これが大変だった。授業終わりに教師が次回やることを予告してくれるんだけど、実際にはその内容が次の時間に行われなかったり、予告していた内容はさらっと終わらせて、さらに難しい内容へと進められてしまったりと、ことごとく私の予想が裏切られるのだ。

 そのせいで、これまで図書館で学習してきた成果を試す機会さえまったくもらえなかった。一日にできる学習量は限られている。予習の範囲外で当てられてしまえば、私はまず答えられない。
 それが意図してのことなのか、通常のことなのか、私には判断つかなかったけど、結果として、冷たい視線は増えるばかりで、私が居たたまれない思いをせずに済んだ授業はただの一つとしてなかった。

 こっちの授業ってこれが普通なの!? って聞ければよかったんだけどね。下手な質問をして、私のことを疑われたくないし。
 勉強だって、たぶん頼めばレイラ様なら教えてくれるだろう。ベイル様やセーファス様だっている。
 けど、みんなに教えてもらって勉強がわかるようになったとしても、それをきっかけに「ミュリエルじゃない」なんて言われたら本末転倒だ。それを思えば、笑われようが憐れまれようが問題ではなかった。

 でも――。

「なんでこんな……」

 望んでミュリエルになったわけではない。ヒロインになりたかったわけでもない。それなのに、どうしてこんな目に合わなくてはいけないのか。
 その思いだけはなくならなかった。


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