桜稜学園野球部記

神崎洸一

文字の大きさ
11 / 86

10

しおりを挟む
「何やってんだ、お前」
「相手Pどんなのかなぁと」
「どんなのだった?」
「最速145キロ、高校3年の現在まで披本塁打なし、防御率は1.59…ってところだ」
「利き腕は?」
「残念ながら、右利きだ」
「ああそうかい、そりゃあ残念だ」


「プレイボール!」
(もう準決勝とか…ふざけるなよ…)
「まったく異なる所を振っていく!あえなく三振」
「ったく…ザコめ」
「結構すげぇ球だったぜ?お前にゃ打てないよ」
「ああ、そうかい」


「はぁ…右Pとか打てる気がしねぇんだよなぁ」
「まあ、打つだけ打つけどなぁ!」

「がっ…ごほっ」
「ま…真銅!」
「っしゃあ!儲けぇ!」
「一条は二塁へ進む!」
「ク…クソが…ッ」
「お、おい」

「あーっと!辛うじて立ち上がったものの大暴投!」
「よっしゃぁあああああああ!」
「一条お前…人の心ってのは無いんか!?」
「うるせえ黙れ!プレーが終わってからだ!公私混同も甚だしい!」
「お、おい」
「バックホーム!しかし本塁は無人!」
「タッチを避ける!嘲笑うかのようにホームイン!」


「あーあ、大丈夫かなあいつ」
「担架で運ばれてるのが見えないのか?」
「あ、本当だ。センキュー鶴岡」
「こいつ三塁のところで何て言ってたんだろうな」
「得点チャンスに喜びの余り叫び散らかしたんだよ」


「真銅の…仇!」
「ストライク、バッターアウト!」
「中之島はセンターフライでスリーアウト」

川崎の2番手、黄部はその後もゼロ行進を続ける好投を見せ、対する田村も安打を喰らいながらも無失点で踏ん張る粘りの投球を見せていた。

7回表、桜稜学園の攻撃

6番江島からの打順もあえなく三者凡退。
ウラの川崎工業の攻撃、こちらも7番からの打順が災いしてか三者凡退。
8回の表は田村からの打順も一条のヒットのみでスリーアウト。
いかんせん不穏なムードのなか、8回のウラを迎える━━━

「善浪打った!いきなり同点のランナーが出ました!」
(野郎のシュートなんざ棒球よ、よくオレはそれに気づけたなぁ)

「2番、ピッチャー 黄部くん」

(変化球は打てる球が多いんだよね…彼)
「流し打ちは三塁財前へのゴロ…あーっと!」
サード財前のエラー。田村はこの試合初めてランナーを二人、背負った。


「3番 キャッチャー、住倉くん」
えてさて、その初球。
甘く入ったスライダーである。
少しの快音を残してその球はスタンドへと消え去った。
━━━いやはや、強打の川崎というのは、こんなものか。鶴岡賢成は実感していた
激戦区神奈川で強打がウリのチーム五指に入るくらいなのだから3年クリーンナップが甘い球を見のがす訳はないと言えばそれはそうなのだが、一方的かつ、一瞬だった。


その後、5番不破に安打を許しこそすれ、4番文元、6番道正7番好田と抑えて2点のビハインドに留まったのは不幸中の幸い、地獄に仏であろう。


「神崎空振り三振!一点の反撃止まりとなりました!桜稜学園の躍進もここまで!決勝は横浜造船と川崎工業の組み合わせとなりました!」


「ごめんよ、南」
「ええんや。どうせお前ごときが抑えられるとなど思ってなかったんやし」
「ああ、そうだ。まだ4回チャンスはあるし泣くのは早くても2年のセンバツあたりにしろ」
「…そうかい」
「そうだよ、田村」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...