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地元兵庫県から100年の歴史を誇る名門、姫路城高校を相手に据え、甲子園の2回戦は始まる。
姫路市民は西宮までやってくるのか、それとも単に2回戦だからなのか、中々の賑わいを見せるスタンドがそこにはあった。
しかし、それは誤りであったらしい。
今日先発の南を一目見ようとした連中も多数居るらしい。
それに気付くのは1回表を南が抑えたからだ。
一栗という投手な攻略難易度はさして高くなく、一死一三塁で打者南を迎えていた。
南の打球はマウンド三塁側へのフライとなったのだが三塁国司との間で齟齬が生じたらしく安打に、さらに一条が生還するというおまけ付きで。
中之島がタイムリーを放ち2-0で1回終了。
「立石空振り三振!南今日3つめの三振を奪いました!」
「長宗我部打った一死一三塁」
「一栗打たれた!レフト青柴が追う犠牲フライ、タッチアップ江島!3-0!」
「南打った!噂通りのバッティング!ツーランホームラン!」
南はこの5点のリードを守り抜いていく。
「井置空振り三振スリーアウト」
「神崎打ち上げたセカンドフライ」
「4番湯上谷!見逃し三振!」
「セカンド関川うまく捌いた二死満塁を逃します」
「8番千葉空振り三振これでチェンジ」
「神崎これは弱いゴロ、ファースト井置へ三者凡退」
5回を終え5-0。両投手の前に打線は沈黙中。
「試合はいよいよ8回、5点差を取り返せるのか姫路城」
「畜生!」
「千葉、一栗と連打を浴び1番井置に帰ってきます意地でもこのチャンスをモノにして流れを引き寄せたい」
「よしっ!」
「あっとこれはセンター前!」
「無駄ァ!」
「抜けない!一条だ!二塁もアウト!一塁送球はどうだ!?」
「…セ、セーフ!」
「なんとか一栗は戻りきった!桜稜内野守備陣は強固かつ隙を見逃さない!」
「よっしゃあ!」
「青柴空振りの三振!クリーンナップに思いを託します」
「…クソが…」…
「北の腹部に直撃デッドボール、これで満塁ですが代走が起用されます。臨時代走ではありません、一塁ランナー関が入ります」
(まさかこんな形で甲子園の土を踏むとはなあ…)
もっとも、目立てはしないんだろうけど。
プレイが再開して初球、それを南はライトへ流した。
犠牲フライだ。先の塁に居たふたりがタッチアップをする。6点目。そしてこの時関は自分が目立つ方法をひとつ思い付いた。特にサインは出ていない。つまりは「好きにしろ」という意でもある。
ワンボールからの2球目、ここで仕掛ける。
もし失敗しても誰も責めまい。
「あっと関がスタートを切る!投げられない!三塁には一条が居る!」
傍目で見たため球種は分からなかったが恐らくカーブかフォークだったのだろう。
そして一三塁からの二盗は基本刺されないし、三塁に一条先輩が居るのなら尚更である。あの先輩は一瞬の隙にとことん付け入る卑劣さを持っているからだ。
「…よし!」
「フォアボール!これで塁が埋まりました!」
「インフィールドフライ!」
「ショート後方へ、下がって今捕りましたツーアウト!」
待ってましたと言わんばかりに打席に立つのは財前である。塁上の中軸たちを還し続けるチームの打点王は「下位打線に潜む悪魔」と言っても不自然ではない成績を納めていた。今年の夏の大会はここまで7試合で16打点とやはり勝負強い打者なのだ。
打球はそのままセンターの頭を飛び越えフェンスに直撃。一塁の中之島までもが生還した。
江島は三振してスリーアウト。
「いや、あの、良いんですか本当に」
「お前がやりたいって言ってただろ!何事も経験だぜ?」
「つーかもう審判に言っちゃったし」
「南、俺がどこまでやれるか分からんが信じるだけ信じてくれ」
「言うたで?後悔すんなよ?」
「当然」
代走の関がセカンドに、負傷退場の北により空席となった捕手には一条が、そして三塁に土生、右翼吉田が入り9回の表を迎える。
3番目時、4番湯上谷、そして5番関川と順調に三者凡退に終わらせてゲームセット。
桜稜学園の評価は強豪である姫路城を下したことにより大幅に上昇することになる。
姫路市民は西宮までやってくるのか、それとも単に2回戦だからなのか、中々の賑わいを見せるスタンドがそこにはあった。
しかし、それは誤りであったらしい。
今日先発の南を一目見ようとした連中も多数居るらしい。
それに気付くのは1回表を南が抑えたからだ。
一栗という投手な攻略難易度はさして高くなく、一死一三塁で打者南を迎えていた。
南の打球はマウンド三塁側へのフライとなったのだが三塁国司との間で齟齬が生じたらしく安打に、さらに一条が生還するというおまけ付きで。
中之島がタイムリーを放ち2-0で1回終了。
「立石空振り三振!南今日3つめの三振を奪いました!」
「長宗我部打った一死一三塁」
「一栗打たれた!レフト青柴が追う犠牲フライ、タッチアップ江島!3-0!」
「南打った!噂通りのバッティング!ツーランホームラン!」
南はこの5点のリードを守り抜いていく。
「井置空振り三振スリーアウト」
「神崎打ち上げたセカンドフライ」
「4番湯上谷!見逃し三振!」
「セカンド関川うまく捌いた二死満塁を逃します」
「8番千葉空振り三振これでチェンジ」
「神崎これは弱いゴロ、ファースト井置へ三者凡退」
5回を終え5-0。両投手の前に打線は沈黙中。
「試合はいよいよ8回、5点差を取り返せるのか姫路城」
「畜生!」
「千葉、一栗と連打を浴び1番井置に帰ってきます意地でもこのチャンスをモノにして流れを引き寄せたい」
「よしっ!」
「あっとこれはセンター前!」
「無駄ァ!」
「抜けない!一条だ!二塁もアウト!一塁送球はどうだ!?」
「…セ、セーフ!」
「なんとか一栗は戻りきった!桜稜内野守備陣は強固かつ隙を見逃さない!」
「よっしゃあ!」
「青柴空振りの三振!クリーンナップに思いを託します」
「…クソが…」…
「北の腹部に直撃デッドボール、これで満塁ですが代走が起用されます。臨時代走ではありません、一塁ランナー関が入ります」
(まさかこんな形で甲子園の土を踏むとはなあ…)
もっとも、目立てはしないんだろうけど。
プレイが再開して初球、それを南はライトへ流した。
犠牲フライだ。先の塁に居たふたりがタッチアップをする。6点目。そしてこの時関は自分が目立つ方法をひとつ思い付いた。特にサインは出ていない。つまりは「好きにしろ」という意でもある。
ワンボールからの2球目、ここで仕掛ける。
もし失敗しても誰も責めまい。
「あっと関がスタートを切る!投げられない!三塁には一条が居る!」
傍目で見たため球種は分からなかったが恐らくカーブかフォークだったのだろう。
そして一三塁からの二盗は基本刺されないし、三塁に一条先輩が居るのなら尚更である。あの先輩は一瞬の隙にとことん付け入る卑劣さを持っているからだ。
「…よし!」
「フォアボール!これで塁が埋まりました!」
「インフィールドフライ!」
「ショート後方へ、下がって今捕りましたツーアウト!」
待ってましたと言わんばかりに打席に立つのは財前である。塁上の中軸たちを還し続けるチームの打点王は「下位打線に潜む悪魔」と言っても不自然ではない成績を納めていた。今年の夏の大会はここまで7試合で16打点とやはり勝負強い打者なのだ。
打球はそのままセンターの頭を飛び越えフェンスに直撃。一塁の中之島までもが生還した。
江島は三振してスリーアウト。
「いや、あの、良いんですか本当に」
「お前がやりたいって言ってただろ!何事も経験だぜ?」
「つーかもう審判に言っちゃったし」
「南、俺がどこまでやれるか分からんが信じるだけ信じてくれ」
「言うたで?後悔すんなよ?」
「当然」
代走の関がセカンドに、負傷退場の北により空席となった捕手には一条が、そして三塁に土生、右翼吉田が入り9回の表を迎える。
3番目時、4番湯上谷、そして5番関川と順調に三者凡退に終わらせてゲームセット。
桜稜学園の評価は強豪である姫路城を下したことにより大幅に上昇することになる。
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