アルカディアンズ ~とある世界の転移戦記譚~

タピオカパン

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猫の国の動乱

艦隊夜戦

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<<ミャウシア軍艦隊>>

「敵攻撃機群接近、距離15!」

「砲撃用意!」

ポンポタニア軍海峡要塞への攻撃から一転し、ミャウシア海軍艦隊が南下したことでポンポタニア本土攻撃の意図を察したポンポタニア軍が航空隊で猛攻をかけ始めた。

「全機突入しろおお!」

ポンポタニア軍の雷撃機や急降下爆撃機が突撃していく。
それを迎え撃つようにミャウシア軍艦隊が対空砲火を浴びせ始める。

その弾幕密度はポンポタニア軍航空隊に牙を向く。
もともと凄まじい数の艦艇が集まっていたうえにミャウシア軍艦艇の大半が打撃を与える砲艦より防空向きの砲艦としての能力に秀でていた。
ミャウシアでは近接信管が開発され量産間近ではあったが、実戦配備はされていない。
けれどミャウシア軍の巡洋艦や駆逐艦の殆どが第二次世界大戦で言うところのダイドー級やアトランタ級、フレッチャー級やアレン・M・サムナー級、秋月型と同じような設計思想であったことがポンポタニア軍航空隊にとって不運だったのだ。

凄まじい弾幕が展開されポンポタニア軍航空隊のパイロットは度肝を抜かれ中には怖気づく者も出てくる。

「流石に我々の数であの対空砲火に突入するのは自殺行為です。一度退避し、部隊を再編成してからでも...」

「そんな時間も兵力もない。なんでもいい、一番端っこにいる艦だけでも沈めるぞ!」

隊長機の反論にパイロットたちは恐怖をこらえて弾幕に突入する。
案の定、すご勢いで突入機が削れ始める。
さらにパイロットたちは弾幕が厚すぎて機体が爆発の衝撃や破片でガタガタ機体が軋みまくるので恐怖が更に増していく。
だがそこは意地で克服するように攻撃に移る。

まず急降下爆撃機が外輪の駆逐艦に狙いを定めて降下する。
エアブレーキを展開し、機体が加速しすぎて空中分解しないよう速度を調整する。
その間は急降下特有のドップラー効果のかかったプロペラ音が鳴り響く。
そして急降下爆撃機から爆弾が切り離され落下を始める。
駆逐艦は全力で旋回を続けるが500ポンド、250kgの爆弾が上部の構造物ではなく船体のバイタルパートを貫通し爆発する。
弾薬に誘爆した駆逐艦は爆炎と共に船体が引きちぎれてしまう。

他の艦も攻撃を受け被害が広がる。
急降下爆撃隊の攻撃の間、なんとか艦隊に接近した雷撃隊もミャウシア軍艦隊の砲火の洗礼を浴び始める。
堪らず射程距離に入り次第、航空魚雷を投下して撃墜されながら退避していく。
少し遠方から魚雷が投下されたため命中しない魚雷が多数だった。
だがポンポタニア軍の魚雷が酸素魚雷だったこともあって航跡が見えず当てずっぽで命中する魚雷がちらほら出てくる。

この戦闘でミャウシア軍艦隊に大破、撃沈艦が数隻出てしまうが、一方のポンポタニア軍機の被撃墜もバカにならず回避行動からの離脱に成功したのは3割未満だった。
しかもこの捨て身の攻撃でもミャウシア軍の動きを止めるにはあまりに力不足だった。

そして艦隊は砲撃地点に達する。

「撃ち方始めええええ」

猫耳の指揮官達が一斉に攻撃を指示する。
各艦から砲弾が打ち上がり沿岸都市に向かって落下していった。
この時、住民たち避難は完了せず市内に多数の市民が残ってしまっている。
そして民族服を纏った市民たちが移動するさなか砲弾の着弾が始まってしまった。

ドオオオオン、ドオン、ドンドドドン、ドン、ドオオン!

街から爆音が鳴り響き市街が爆炎に包まれ始めた。
ポンポタニア人の街は土壁や土レンガ作りの建物が主流であり、土煙で爆煙が非常に目立つ。
そんなに土煙の中を市民は埃にまみれて逃げ惑う。

ミャウシア軍の艦砲射撃はまるで爆撃機の絨毯爆撃に匹敵するくらいの苛烈さで建物が次々瓦礫に変換されていった。
ミャウシア軍は観測機で市街の8割を破壊したのを確認したあたりで砲撃をやめる。
当然市民の被害も甚大でこの攻撃で十万人あまり住んでいた住民のうち2000人が犠牲となってしまった。

この結果はポンポタニア側の闘争心に火をつける結果になった。
このままでは外海側にある都市群や工業地帯も攻撃対象に入らざるを得ず、ミャウシア軍に致命的なダメージを与え、行動不能にしてしまわないと今度はそこが攻撃に晒されると思ったのだ。
もちろんミャウシア側の海峡通過要求を飲む意見も十分あったがそれは内海側の首都を無防備にすることを意味していたためどっちに転んでも同じ結果になると考えたのだ。

そして砲撃後の日が沈んだあたりで部隊の再編成、補給のためミャウシア軍艦隊が大陸から離れ、いくつかの群に別れ分散を始めたところでポンポタニア軍艦隊が海峡を通過し始めた。

その動きを察知したミャウシア軍はまさか艦隊を出してくるとは考えておらず、混乱する。
だがその判断はありだと思った。
この時、ミャウシア軍艦隊は損傷艦や弾薬不足で十分な攻撃を行える艦は1/4以下でまともに陣形を組める部隊はほとんどいなかった。

そうだろうと踏んだポンポタニア軍艦隊はどういう理由かわからないがミャウシア軍艦隊の重砲艦の少なさも考慮に入れ、戦艦や重巡洋艦、重装備の軽巡洋艦などの打撃部隊で突入したのだった。
大陸沖合に膨大な数の艦艇を展開しているのにまともに撃ち合う戦力がないことを悟ったミャウシア側は指揮系統も混乱をきたし、場当たり的に砲艦を集めて応戦を始める。

普通なら航空攻撃の餌食になりそうな状況だがミャウシア軍はNATO軍の攻撃で飛行場を常に封殺されていたため慢性的な航空機不足になっていて航空作戦はもっぱら小規模な襲撃や防空支援ばかりになっていた。
つまり今は砲艦がその性能を発揮しやすい状況だった。

ポンポタニア軍艦隊
戦艦4隻
重巡洋艦9隻
軽巡洋艦6隻
大型駆逐艦25隻

ミャウシア軍艦隊
戦艦2隻
重巡洋艦6隻
軽巡洋艦11隻
駆逐艦52隻
フリゲート11隻

ポンポタニア軍艦隊は2個戦隊で分散するミャウシア軍艦隊に突入する。
一方、ミャウシア軍艦隊は陣形と呼べるような状態ではなく各艦が分散気味だった。

まずミャウシア軍艦隊は前衛にいた多数の駆逐艦が魚雷をありったけばら撒いて牽制する。
そしてポンポタニア側の前衛の駆逐艦にアウトレンジ砲撃を加える。
ポンポタニア軍駆逐艦は速力と魚雷攻撃に特化していて主砲は口径こそあるものの有効射程は18km、ミャウシア軍の駆逐艦の有効射程24kmの長さに精度面でも太刀打ちはできない。
しかしそれも短時間でほとんど当たらずあまり問題にならなかった。

そしてポンポタニア軍艦隊は潜水艦などの脅威がないことを確認した上で駆逐艦に魚雷攻撃をさせて前衛から外し、全面に打撃部隊を出して更に急速接近させる。
ミャウシア軍艦隊も駆逐艦やフリゲートで再度魚雷を放ってそれらの退避を始める。
だが秩序だった陣形でなかったためミャウシア軍艦隊が主力艦を前衛に出そうとしたところで退避中の駆逐艦に進路を妨害され渋滞的に陣形が乱れる。

対するポンポタニア軍艦隊は迅速に戦隊を二手に分けて変針する。
ここでT字型になった両者で砲撃戦が始まる。

まず両者の放った魚雷でミャウシア軍は駆逐艦、軽巡洋艦の2隻が大破しポンポタニア軍は駆逐艦が1隻大破した。



続いて前衛の重巡洋艦が砲撃を始める。
暗闇に多数の閃光が輝き砲撃の煙が閃光に照らされてスケール感を大きくする。
ついで戦艦の砲撃を先に始めたのはポンポタニア軍艦隊でT字の単縦陣で効率的に砲撃を始めることができたためだ。
それに続くようにミャウシア軍艦隊の打撃部隊が砲撃を始めた。

まるでスターマインの花火が延々と炸裂しているような状態であり、時間が経過していく中で徐々に閃光以外、つまり爆発炎上を示す赤い光もちらほら見え始める。
それはミャウシア軍側に多く見られ始めた。

「ミャーゴ大破、航行不能」

「ミルスク、集中砲火を受けています!」

「321号駆潜艦大破」

「ミーヤナン、爆発炎上しています!」

ミャウシア軍の混成艦隊旗艦に悪い知らせが飛び込み続ける。
完全にミャウシア軍艦隊が撃ち負けている状況だった。
中でも巡洋艦に被害が集中していた。

そこで思い切って戦艦2隻を全面に出してケリをつけようとする。
ミャウシア海軍が誇る満排水量6万1千トン、40cm砲12門のソミューニャ級戦艦だ。
対するポンポタニア軍は41cm砲8門の4万トン級戦艦3隻と36cm砲8門の3万トン級戦艦1隻で受けて立つことになる。
一見するとミャウシア側に分がありそうなくらいソミューニャがスペックで圧倒している。
それは砲撃戦でも明らかでソミューニャの40cm砲は連射速度でも優れていた。

今度はポンポタニア側が少し押され気味になる。
しかし、1時間後ポンポタニア軍潜水艦の放った魚雷3本がソミューニャ1隻に命中し、一時的に戦闘不能となったことで形勢は再度逆転する。
魚雷を受け速力を落としたソミューニャは駆逐艦と潜水艦の集中攻撃で魚雷の束をもろに受け復元するもそのまま沈没し、もう一方はポンポタニア戦艦群の集中砲火で大破戦闘不能になる。

これにより大勢が決し、ミャウシア軍艦隊は退却を始めるもポンポタニア軍側が限定的にこれを追撃する。
先に撤退中の後落艦と周囲にいた足の遅いフリゲートが逃げ切れずに追い詰め撃沈したところで追撃をやめ、反撃に備えて後退する。

一連の戦闘の結果

ミャウシア軍の損害は

戦艦2隻
重巡洋艦6隻
軽巡洋艦6隻
駆逐艦13隻
フリゲート10隻

戦死5000人

という大敗ぶりである。
この一連の攻撃、戦闘の結果は戦況を一気に混迷に誘うことになるだった。

ミャウシア側には酷い結果だったが幸いなことも一つあり、それはポンポタニア軍が遭難者を虐殺するような指示を将兵に出した時にミャウシア軍艦隊が増援の艦隊を急行させて一時的に追い払ったことだった。
これをされていた場合、戦死は1万数千人以上に達していたかもしれなかった。
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