桃乃木さんが完璧過ぎる故に

いつもの。

掴めない

今日は機嫌が良かった。


パッと見いつもと同じだが、俺にはわかる。



今日あいつは機嫌がいい。


「椿ー。前言ってたアップルパイ！美味しそう～。」


「いや、完成度の高さな。」




「プロじゃんって感じだよね！」



まさか、これのせい？


あのいじめられっ子からのプレゼントで？


なんだよなんだよ



そういう事だと話変わってくるんだけど


「あ、ねぇ椿今日夜空いてる？」



「ん？何で？」



また妙な誘いか？
少し警戒する。


「久々に両親もお兄ちゃんもいるの。皆でご飯食べるから、椿もどうかなって。」


「いやいいよ。家族で過ごせるんだろ？ゆっくりすれば？」


「そう？」


一回断れば話は終わり。


こいつはいつもそうだ。



わかってて断る



それでいて内心もうワンプッシュ欲しい自分がいる。


俺は女子か！かまってちゃんか！気持ち悪い


自己嫌悪に陥る。



「アップルパイ食べよ～。そういやね、橘君、あ、このアップルパイ作ってくれた子ね？家近いんだって。見かけた事なかったけど家の横の角？曲がってすぐらしいよ。」



「まじで？1回も見た事ないけど。」



「虐められるから登校ギリギリにしてたんだって。」



「いや、理由よ。」



もしゃもしゃとアップルパイを頬張る。


ヤギみたいな食い方してんな


「橘君も誘ってみたの、今日。お母さんが誘いなさいって言うから。凄い喜んでくれてた。私もいつもお菓子くれるお礼したかったし丁度良かった。」


いや、まじかよ

まじかよ！？


数分前の俺よ、、、、



断ってんじゃねぇーよ



「珍しいな、お前がそういう事するの。」



平然を装う。


「んー、そう？」


ヤギみたいな食べ方でアップルパイは直ぐになくなった。


あいつを好きな奴はたくさんいる。
魅了されてる奴もたくさんいる。
その中の1人だと思っていた。



違うのかよ、、、、


いじめられっ子、、、、やるな