周りにαが多すぎる

小雪 秋桜

文字の大きさ
5 / 7
第一章

第四話

しおりを挟む
次に目を覚ましたときに見た光景は、目の前にドアップの父親の顔だった。
軽く悲鳴をあげると、悲しそうな顔をして部屋の隅で丸まってしまった。
「あら。起きたのね、良かったわ。」
そう言って入ってきたのはお母さんだった。
後ろには青ざめた顔の鳳兄さんと烈兄さんがいた。
「兄さんたちどうしたの青ざめて。」
僕は不思議に思い聞くと、二人は震え始めた。
「何もないわよね。二人とも、病室では静かにね。」
お母さんが黒い笑みを浮かべながら言うと、二人は顔がとれるんじゃないかと思うくらい顔を上下に振っていた。
僕は何も見なかったことにして顔を背けた。
「「お兄ちゃん。お見舞いに来たよ。」」
元気な声が病室に響いた。
見ると、弟である陸と空が赤い薔薇を一輪ずつ持ってきてくれていた。
「ありがとう。陸、空。花瓶にいれて飾らせてもらうね。」
そう言うと、二人は周りに花が咲いたような可愛らしい笑みをしていた。
僕は、二人の頭を撫でているとなぜだか鳳兄さんも烈兄さんも、怖い顔をして床を叩きだしお母さんに病室の外に連れていかれた。
「お兄ちゃん。早く元気になってくださいね。元気になったら空と一緒に三人で遊びにいきましょう。」
「遊園地なんて良いと思いますよ。陸とお兄ちゃんと三人で観覧車にも乗ってみたいです。」
弟二人に言われてとても嬉しかった。
父さんも父さんもと、お父さんが言っていたが弟二人は聞こえていないかの様に無視していつ行くのかという話をしていた。
退院して初めの休日にしようということで落ち着いた。
お母さんとの話し合いが終わったのか兄の二人も帰ってきていたが、何も言わずに血の涙を流していた。
面会時間が終わるというので家族全員が帰っていった。
少し話しただけだったのだか、疲れたのか瞼を閉じるとすぐに眠れた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

つぎはぎのよる

伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。 同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

処理中です...