【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

たまこ

文字の大きさ
5 / 12

しおりを挟む


(どうしよう。どうしよう。どうしよう。)


 エミリーは家に着くなり、涙がぽろぽろと溢れた。悲しくて、苦しくて仕方なかった。何度涙を拭っても、止めどなく溢れてしまう。




(あの時、アランは着いてきてほしい、なんて一言も言わなかったじゃない。)



 エミリーは自分の勘違いに絶望した。てっきり自分も行くものだと、夫婦は一緒に住むものだと、思い込んでいた。だが、アランが単身赴任すると考えていたのなら、あの異動を告げられた時に、どうもアランの様子が可笑しかったのも納得だ。自分はアランを困らせていたのだ。勝手についていくと思い込んでいるエミリーに、きっと優しいアランは「単身赴任したい」という本音を伝えられなかったのだ。





(だけど、私は、単身赴任なんて耐えられない・・・。)


 エミリーは交際している頃から、アランにベタ惚れだった。感情表現の薄いアランと正反対の積極的なエミリーは、アランとの会話も、スキンシップも、欠かせない。アランとの他愛ない会話が、心を癒してくれるし、アランの添い寝が無いと眠れないほどだ。たった数日でも離れるなんて、考えるだけで胸が張り裂けそうになり、涙が出てしまう。




(・・・アランは、私と離れても平気なんだよね。)


 そんな思いが頭を過ると、また涙が溢れてしまう。単身赴任を希望していたと言うことは、そういうことだろう。自分とアランとの想いの差を突きつけられたようで、エミリーは寂しい思いが募り、息苦しくなる。今すぐにでもアランに抱きつきたくて堪らなかった。エミリーの涙は、なかなか止まってくれなかった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!

お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。 ……。 …………。 「レオくぅーん!いま会いに行きます!」

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった

みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。 この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。 けれど、運命になんて屈しない。 “選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。 ……そう決めたのに。 彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」 涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました

Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい… ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。 忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。 だから私は婚約者を尾行した。 するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。 まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!! ※誤字脱字報告ありがとうございます。 ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

初恋の呪縛

緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」  王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。  ※ 全6話完結予定

義兄のために私ができること

しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。 しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。 入り婿である義兄はどこまで知っている? 姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。 伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。

【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです

大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。 「俺は子どもみたいな女は好きではない」 ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。 ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。 ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。 何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!? 貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。

処理中です...