【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ

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シャーロットside

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 服飾店にて。

「お嬢様、こちらは如何でしょうか。殿方への贈り物には黒を基調としたものが人気のようですよ。」

「確かに、ハリー様に似合いそうね。」

 手に取ってみると、とても素敵に見える。これにしようか、と決め掛けたその時、視界の端にちらり、と見えたハンカチが気になった。

「これ・・・。」

 ターコイズブルーを基調としたハンカチは、黒の物よりは華美すぎる印象があるが、ハリー様の瞳の色を彷彿させ、私は目が離せなかった。

「こちらであれば、お嬢様の瞳の色でもありますね。」

 微笑むソフィアを見て、私はこのハンカチをハリー様が持ってくれたらどれ程嬉しいだろう、と思いを馳せ、包んでもらうことに決めた。



◇◇◇


「お嬢様、他に何処か寄りたいところはありますか?」

 良い買い物が出来たと喜んでいる私に、ソフィアが尋ねた。

「いいえ。その、ハリー様に早くお手紙を出したいから、すぐ帰りたいわ。」

 私の言葉に、ソフィアが満足そうに頷いた、その時。



「シャーロット嬢?」

 大好きな人の声が聞こえた。嬉しくてすぐ振り向く。しかし、その隣には。


「ハリー様。キャシー様・・・。」

 キャシー様は今日も美しく微笑んでおり、私の心はすぐ不安でいっぱいになった。


「シャーロット嬢、どうしてこんな所に。」

 明らかに動揺した声。私と鉢合わせしたことがとても都合が悪そうで。向き合うつもりだったのに。勇気を出して、気持ちを伝えようと思えたのに。私はまた臆病風に吹かれ、その場から駆け出していた。



「シャーロット嬢!」

「お嬢様!」

 珍しく大声を上げたソフィアを振り返ることもせずに、私は宛もなく走り続けていた。

感想 18

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