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しおりを挟む『……今日は何だ?』
そう言ってレイナルドはいつもアメリアの涙を拭いてくれた。元々涙もろいアメリアは淑女教育の際、感情を表に出さないよう厳しく教えられていた。教師たちの前では必死に気持ちを抑えていたアメリアだが、レイナルドの前では泣いてばかりだ。
レイナルドはアメリアが泣けば困ったような顔を見せるけれど、泣いたことを責めることも、さっさと泣き止むように告げることも無かった。いつも優しく涙を拭ってくれた。アメリアの困りごとを一緒に解決してくれた。甘い言葉は無くても、レイナルドなりに慰めようと言葉を探してくれた。
王宮でアメリアの悪評が流れた時、本当は父である公爵が対応しようと調査していた。だがその調査が終わる前にレイナルドが必死にアメリアを守ろうと奮闘してくれた。そのおかげでアメリアを悪く言う者はもうどこにもいない。
不器用な人。
言葉や表情には表さないくせに、行動だけはどこまでも甘い。
優しい人。
『アメリア』
レイナルドの兄チャールズと婚約者エリザベスのような甘い雰囲気は無いけれど、レイナルドにそう名前を呼ばれるだけでアメリアの心はふわふわと揺れた。
優しい言葉は無いけれど、不機嫌な顔ばかり見ているけれど、それでもレイナルドと過ごすだけでアメリアの胸は高鳴った。
彼の困ったような顔を見ると、もっと困らせたくなる日もあった。気難しい顔でアメリアの好きな苺スイーツをせっせと差し出す彼を見て、揶揄いたくなる日もあった。彼を大事にしたいと、彼とずっと一緒にいたいと、心が叫んでいた。
それが愛だと知るのは、ずっと後の話。
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