【完結】拗らせ王子と意地悪な婚約者

たまこ

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 後日、レイナルドは約束通りクラーク公爵邸を訪れた。レイナルドが苦手とする挨拶回りもアメリアと一緒ならばそう苦痛では無かった。また招待されている貴族たちはクラーク公爵と縁のある者であり、レイナルドへ友好的だったことも大きいだろう。緊張しているものの、レイナルドが表情を緩めて貴族たちと交流する様子を見てクラーク公爵夫妻もほっと胸を撫で下ろした。


「殿下は随分変わられたな」

「ええ」

 離れたテーブルから見守る公爵夫妻は優しく微笑み合った。

 クラーク公爵は国王陛下の古くからの友人であり若い頃から側近を務めている。そのため、レイナルドが幼い頃から理不尽な目に遭ってきたこともよく知っている。レイナルドを守り切れなかったことを公爵は悔やんでいた。側近の立場として、だけではない。

 今でこそ彼の妻である公爵夫人はその地位を確立しているが、隣国からトパルーズ国に来た頃は不躾な視線に晒され、悪口や嫌がらせは日常茶飯事だった。別の国から来た人間、という理由だけで。勿論そんな不埒な輩はクラーク公爵が瞬く間に一掃しており、公爵夫人は「傷つく暇も無かったわ」と笑っている。

そういった経緯もあり、クラーク公爵夫妻は多少見目が違うだけで誹謗を受けたレイナルドに同情的だった。他者との交流を恐れるレイナルドを憂慮し、アメリアとの交流を提案したのはクラーク公爵夫妻からだった。初めは友人として、と考えていたが異性同士ということもあり最終的に婚約者となった。もし互いの相性が悪ければアメリアの瑕疵にならぬよう穏便に婚約解消をすることも約束されていた。

 だが大人たちが心配していたよりもずっと二人は親しくなり心通わせるようになった。それぞれの両親は少しずつ成長していく二人をゆっくり見守ることに決めた。


 今回の隣国デリンラード王族との交流も、レイナルドの参加は難しいだろうと国王夫妻も公爵夫妻も考えていた。無理に参加させようともせず見守っていたのだが、レイナルドは時間は掛かったものの公爵邸にやって来た。そしてこうやって貴族達とも交流している。それは少し前の彼ならば考えられない成長だった。

「子どもの成長はあっという間ね」

 目を潤ませる妻へ公爵はハンカチを手渡した。「アメリアは君にそっくりだ」と笑いながら。



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