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しおりを挟む「……遅い」
レティがテーブルに前菜を並べ始めると、ミゲルが眉を寄せ不機嫌そうに呟いた。
(時間通りなんですけど)
レティは思わずムッとするが顔は澄ましたままだった。料理人である彼女が食事のことで主へ言い返すことは難しい。それにレティの主が機嫌の良いことなど殆どないのだ。気にするだけ無駄である。
「申し訳ありません」
レティは気持ちを込めずにそう言うと手元に視線を戻す。色鮮やかな前菜の数々を並べながらレティは満足していた。
(ふふっ、今日も上出来だわ!)
顔がにやけそうになるのを必死で我慢してレティはミゲルを見つめた。公爵令息の彼は所作は美しいものの、不機嫌さを隠さないその表情のせいで食事の雰囲気は台無しである。
「ミゲル様、如何でしょうか」
少しずつ口を付けるミゲルへ尋ねると、彼はまたむっつりと眉間に皺を寄せた。
「……まぁまぁだな」
その返答にレティは思わず頬を緩めた。その言葉が彼にとって最大の賛辞であることをレティはよく知っていたからだ。
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