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しおりを挟むペルジーニ伯爵は変わり者である。
伯爵という地位でありながら、領地経営はほっぽりだし夫人と家令に任せっぱなしだと言う。当の本人は料理をこよなく愛しており、伯爵家の料理は三食全て彼の主導の元で作られている。
普通、伯爵がそのような振る舞いをすれば眉をひそめられ家族が必死に止めるだろう。だが伯爵家の人間は彼の絶品の料理でないと満足できず、伯爵としての責務を成していなくとも文句を言えなくなっていた。
そして何より、伯爵の学友である国王陛下が彼の料理を好んでおり、大事な夜会や外交の場では彼の料理を重宝した。そのため、周りの貴族達も表立って彼を悪く言う者はいなかった。
王宮で振る舞われた伯爵の料理は、高位貴族たちをも魅了した。それぞれが開く夜会やパーティーには何としても彼の料理を出したいと伯爵は引っ張りだことなった。
ペルジーニ伯爵の娘、レティは変わり者である。
伯爵令嬢でありながら、学園には通わずスタマーズ公爵家で料理人として働いている。彼女がこの公爵家で勤め出したのはなんと十歳の頃からだ。そして十八歳になる現在まで八年間ずっと勤めている。
彼女は父に似て料理をこよなく愛していた。物心ついた頃から厨房に出入りし、他の料理人と同じように皿洗いや野菜の皮むきといった下働きから学んでいった。伯爵夫人は娘が厨房に出入りする姿を見て大層嘆いたが、伯爵は大いに喜び娘を鍛えていった。彼の教育のおかげでレティが九歳になるころには彼女は一端の料理人となった。伯爵が王家や高位貴族から料理人として出向要請があった時には、レティも帯同するほどだった。
レティがスタマーズ公爵家に勤めることになったのも、八年前にスタマーズ公爵家からペルジーニ伯爵へ出向要請があったことがきっかけだった。
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