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「ああ、そんなこと心配しなくていいよ。セリーヌの次の婚約者はもう決まっている。安心してくれ。」
「はっ……」
言葉を失ったのはステファンだけではない。セリーヌも信じられない思いでルーカスを見つめた。
「先程父上とセリーヌの御父上に許可を戴いた。セリーヌ。」
ルーカスはセリーヌの前に跪くとセリーヌの手を取った。目の見えない彼にとっては不安定な動作であるにも関わらず、ルーカスの動きはどれも優雅だった。
「セリーヌ。どうか僕と婚約してほしい。絶対に幸せにするから。君の隣にいることを許してほしい。」
「なっ……」
ステファンは目を丸くして固まっている。セリーヌだって、相当驚いているが、頭のどこかは冷静で短い間に様々なことを考えていた。
(これは国王陛下もお父様も許してくださっていること。)
(ルーカス様の真意は全く分からないわ。公爵家との繋がりを強くして、王太子になりたいということかしら?)
(ルーカス様はこれまで婚約者がいない。流石に婚約者が必要になったということ?)
(分かっていることは、ここで首を振ればステファン様の婚約者のまま。)
(それだけは……。)
セリーヌは意を決して小さく頷いた。ステファンは呆気に取られた表情で二人を見つめていた。
セリーヌは頷いた後で、これではルーカスに伝わらないと口を開こうとした。だが、次の瞬間ルーカスに抱き締められていた。
「ひゃ!」
「セリーヌ!ありがとう!」
「ど、どうして頷いたと分かったんですの?」
「言っただろう、目は見えなくてもセリーヌのことは分かるんだよ。」
幸せそうに笑うルーカスを見ていると、セリーヌの心の一部がじんわりと温かくなり優しい気持ちになる。それはずいぶんと久しぶりの感覚だった。
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