【完結】婚活写真、お撮りします。

たまこ

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(しまった……!)

 

 爽やかな男性を見て、私の心は後悔の念に染まった。私は、いつもは堅実なタイプなのに、変なところで猪突猛進な所がある。今日だって、この写真館を見つけてすぐ家を出た。だが、よく考えれば、同じくらいの年代の男性に婚活写真を撮ってもらうのは、少し抵抗がある。どうして、女性スタッフのいる写真館を検索しなかったのか。こういう迂闊なところが、自分でも嫌になる。

 

「……どうされました?」

 

 自分から入店しておいて、顔を青くした私に、男性は心配そうに訊ねた。申し訳ない。ああ、もう、ここでお願いしよう、と腹を括った。

 

「す、すみません。ホームページを見て来ました。……こ、こ、婚活写真を撮ってもらいたくて。」

 

 よし、よく言った!と自分で自分を褒める。婚活には、こんな勇気が必要だ、きっと、と心の中で自分をフォローしていると、男性は少し不思議そうに私を見ていた。

 

「お姉さん、婚活するの?こんなに可愛いのに?」

「へ?」

 

 可愛い、なんてもう何年も男性に言われていない誉め言葉に、思わず胸が高鳴るが、頭の中のもう一人の私がブレーキを掛ける。これは、所謂リップサービスというやつで、真面目に受け取っては駄目なやつだ。

 

(すぐ本気にするところが、駄目なのよね。)

 

 心の中で溜息をつき、男性へ笑顔を作る。

 

「ありがとうございます。」

「うーん……本気にして貰えないかぁ……。」

 

 急だから仕方ないよね、としょんぼりした笑顔を見せた男性が憎らしかった。

 

(さっさと予約させてくれ!)

 

 

 しかし、私の願いとは裏腹に、男性はとんでもないことを口にした。

 

 

「ねぇ、お姉さん。婚活するなら、俺と付き合って貰えないかな?」

 
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