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しおりを挟む何となく離れたがくて、暫く公園付近を散歩することにした。
「梨奈ちゃん。」と差し出された手は男性らしい骨ばった大きな手だ。恐る恐る遠慮がちに手を取ると、尚也さんは満たされたように笑った。
「夜の散歩も気持ちが良いですね。春の時期なら夜桜も見れますよ。冬の寒い中で散歩するのもいいなぁ。」
公園の周りには桜の木が並んでいる。夜のお花見なんて出来たらきっと楽しいだろう。冬は温かいドリンクを飲みながら歩くのも少し憧れる。
「うん。また来ようね。」
「ふふふ。はい!」
嬉しくなってつい元気よく返事をすると、握られた手がもう一度握り返される。まだ夜は涼しい季節なのに、私の身体は熱を持っている。
「ところで、梨奈ちゃん。」
「はい?」
「今日の昼間はどうして元気なかったの?」
「うっ……。」
私は思わず顔を顰めるが、尚也さんに「教えて?」と言われたら拒否できない。渋々、今日婚活写真を依頼した女性に尚也さんが”可愛い”と言ったことで動揺してしまったことを伝える。尚也さんは「ああ、あれはね……。」と優しく笑って話し始めた。
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