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しおりを挟む話が終わると、颯のお迎えの時間になり二人で迎えに行く。帰宅後、颯を真ん中にして三人でソファーに座り、先程の話を伝えようと葉名が口を開いた。
「颯ちゃん」
「うん」
「いつも颯ちゃんと旺也さんと遊んだり、ご飯食べたりしてるでしょう。その時間がとっても楽しいんだ」
「そうも!はなちゃんくるときたのしい!」
「ふふ、よかった。嬉しいよ。……それでね、私も颯ちゃんと旺也さんの家族になりたいなって思ってて」
「かぞく?」
「俺も、葉名さんに家族になってほしいと思って、二人でお話ししたんだ」
「うん?」
「だからね、私もここで一緒に暮らしても良いかな?」
「……はなちゃん、まいにちおとまりってこと?」
目をキラキラと輝かせ颯は尋ねた。旺也が頷くのを確認すると「やったー!」と飛び上がり葉名に抱き着いた。
「いっぱい遊ぼうね」
「うん!」
「いっぱいいっぱい楽しいことしよ」
「うん!はなちゃんあのね……」
「なあに?」
「そう、いっぱいおてつだいできるよ!」
「そうだね、助かるな~」
「だからね……ずっといっしょがいい」
抱き着いたまま、小さくそう呟いた颯を葉名は更にきつく抱き締めた。視線の端には涙を堪えた表情を浮かべる旺也が見える。
「颯ちゃん、お手伝いは嬉しいけど……お手伝いしてもしなくてもずっと一緒だよ」
「ほんと?」
「うん、ほんと」
ふへへと照れたように笑う颯を見ていると涙が込み上げる。それを振り払うように、葉名は明るい声を上げた。
「明日は颯ちゃんのママのお墓参りに行こうね。一緒に暮らしてもいいですか、ってお願いしなきゃ!」
「ママはいいよっていうよ。ね、おうちゃん?」
「ああ」
「ふふ、それなら嬉しいな」
優しく笑い合うこの時間が愛おしく思えたのは旺也だけではなかった。
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