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しおりを挟む「颯ちゃん、リッキーに会うのも楽しみにしていたもんね」
「うん!はなちゃん、いこ!」
颯は葉名の手を引き、玄関へと向かった。今度はきちんと靴を履いているようだ。裏庭に回るとリッキーが待ち構えていた。久しぶりに葉名に会えたリッキーは尻尾をちぎれんばかりに振っている。そして、葉名が連れてきた颯も歓迎しているようですぐに颯の身体に顔を寄せていた。
「リッキー、かわいいね!」
「うん。颯ちゃんと仲良くしたいって言ってるみたい」
「へへ」
颯が頭を撫でるとリッキーはもっと、と強請った。颯は張り切って撫で続ける。そんな彼らの姿を縁側から、旺也と葉名の母は見守っていた。二人を愛おしそうに見ていた葉名の母がぽつりと話し始めた。
「葉名の父親がね、昔気質の人で……葉名が赤ん坊の頃からずっと言っていたの。“葉名と結婚したい人が現れても一度や二度の挨拶では許さん。絶対追い返すからな!”って」
「え……」
「彼は早くに亡くなったから、代わりに私がそれをしようと思っていたんだけど」
「う」
旺也の青褪めた顔を見て、葉名の母はけらけらと可笑しそうに笑った。
「やっぱり無理ね。葉名ったらあんなに幸せそうに笑ってるんだもの」
窓越しに見える彼女は颯へ穏やかに笑いかけていた。
「旺也さん、葉名は旺也さんと颯ちゃんといられて、とっても幸せそうだわ。だから……これからも娘を宜しくお願いします」
「はい……っ!こちらこそ宜しくお願いします。葉名さんのこと、大切にします……いたっ!」
「みぃ!」
旺也が勢いよく宣言すると、いつの間にか姿を現した三毛猫が旺也の足をがぶりと噛んでいた。
「旺也さん、大丈夫?みぃがごめんなさい」
「いえ……お父さん以上に反対している家族がいるようですね」
「ふふ」
「今度お邪魔する時は、みぃへ何かお土産を持ってきます」
「それがいいかも」
三毛猫は颯と同じくらい、旺也にも腹を立てていたのだろう。そして攻撃のチャンスを窺っていたのだ。「宜しくな」と旺也が撫でると次は彼の手に嚙みついた。三毛猫から許しを得られるまではまだまだ時間が必要なようだ。
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