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※不妊に関する内容があります。苦手な方はこの回は読み飛ばして下さい。
前半部分、胸糞なのでご注意ください。
◇◇◇◇
葉名は昔から子どもが好きで、子どもに携わる仕事に就くことを夢見ていた。大学卒業後、運よく母子家庭や父子家庭の家族支援をする仕事に就くことができ、毎日充実していた。だから、という訳ではないが自身の体調は後回しにすることが多かった。
元々月経不順で月経痛も重かったのだが薬で誤魔化しながら生活していた葉名は、定期健診で引っかかり精密検査を受けることになった。そこで婦人科疾患が見つかった。治療はすぐ始まったが、医師からは「子どもを産むことは難しいかもしれない」と告げられた。
ずっと子どもが欲しくて、自分の家庭を持つことに憧れていた。異変に気付いていたのに、病院へ行くことを後回しにしていた自分を数えきれないほど責めた。仕事をしながらの治療はとても辛く気持ちが削られる日々が続いた。
そんな時に支えて欲しかった当時の恋人は驚くほど冷たく、葉名の傷を深めることしかしなかった。
「なんでそんな暗い顔ばっかりしてんの?」
「自分ばっか不幸そうな顔して腹立つ」
「子ども産めないなんてさ」
そんな言葉を散々投げ掛けられ、地の底まで落ち込んだ後、葉名は彼との将来に対する考え方が随分違うことに気付いた。そこまで冷静に考えられるようになるまでにはかなりの時間を要したが、漸く彼に別れを告げた。
意外なことに、彼は葉名と別れるのを嫌がり結婚したいと言い張った。葉名は唖然とし、何度も「私の体調を心配しない人とは一緒にいられない」と繰り返した。彼は「これからは心配する」と縋ったが、心配して欲しい時はとうの昔に過ぎ去っていた。
葉名はどうにか彼と別れ、そして治療と仕事の両立に限界を感じていたこともあり、仕事を退職し旺也の家の傍のアパートへと引っ越してきたのだった。
◇◇◇◇
「伝えないといけないこと?」
「はい」
このまま聞いてほしい、と強請る彼女の言葉に頷き、旺也の胸元に頭を寄せていた葉名の頭を撫でた後で背中に手を回した。
「持病があるって話を前したじゃないですか」
「ああ」
「あれが……婦人科系の病気で、その」
「うん?」
「……子どもを産むのは難しいかもしれなくて」
震える声でそう告げた彼女の頭を撫でると「そうか」と呟いた。
「生活の中で気を付けて欲しいことはある?」
「へ」
「こんな時、辛いとか。体調しんどい日はこうしてほしいとか。これから一緒に住むんだから聞いておきたいな。ああ、次から病院の日は送り迎えするよ、一緒に行こう」
「……いいの?」
「うん?」
「子ども産めないけど、一緒にいてもいいの……っ?」
「うん、一緒にいて欲しい」
涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると、彼が優しく笑っていてそれを見るだけで胸が苦しくなった。
「俺はさ、颯と葉名さんを大事にするので精一杯だから、自分の子どもが欲しいとかはあんまり無いんだ。だけど、葉名さんが欲しいなら考えよう。ほら、前に話してくれた里親制度とか。後は……」
「……すき」
「ん?」
「だいすき」
「うん」
葉名は自分の頭を旺也の胸元にぐりぐりと押し付けた後、顔を上げた。
「結婚して」
「もうする予定だけど」
「生まれ変わっても結婚して。ずっと一緒にいて」
旺也は頬を緩ませると大きく頷いた。そんな彼の頬に手を添えると、びしょびしょになった顔のまま唇を重ねた。一緒に過ごしていて、心を癒していたのは旺也と颯だけでは無かったのだ。
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