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しおりを挟む王家の祝賀会の一ヶ月前、アルバートはアレクサンドラからの手紙を受け取った。そこには、急に手紙を出したことのお詫びの後、とんでもないことが書かれていた。婚約者の王太子と義妹が想い合っており、自分は後日開かれる祝賀会で冤罪を突き付けられ婚約破棄されるはずだと。もし婚約破棄されたら、王都には居られなくなるだろう。また次の婚約は出来ず、公爵家から追い出されてしまうだろう。
ここまで読んで、正義感の強いアルバートはアレクサンドラの置かれた理不尽な状況に怒りを抑えきれなかった。手紙を握りつぶさないよう呼吸を整えてから続きを読む。しかし、そんな努力は虚しくアルバートは手紙を握り潰してしまった、怒りではなく、驚きが原因で。
そこには王太子妃候補らしい美しい字でこう書かれていた、「保護のために、私と契約結婚していただけないでしょうか」と。
◇◇◇
アレクサンドラの提案はこうだ。アレクサンドラは、アルバートと結婚することで自分の身を守ることができる。王家から離れた地で暮らすことで他の貴族たちからの不躾な言葉に心乱されず穏やかに過ごすことができる。
一方アルバート側の利点は、王太子妃候補として教育を受けてきたアレクサンドラが領地経営の補助をすること。これにはアルバートも目が眩み、期待が募ってしまった。アルバートは武人として辺境を守ることに関しては誰にも負けないと自負しているが、領地経営に関してはさっぱりで先代の頃からいる家令に頼りきりだ。辺境の地の貧困問題まで解決してくれた王太子妃候補が妻となってくれたらどんなに心強いだろう。
アルバートは、アレクサンドラと綿密に連絡を取り合い、また事実確認も並行しながらアレクサンドラが嘘をついていないことも確認した後で、契約結婚を了承し、祝賀会にて彼女を救い出したのだった。
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