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ハミルントン公爵家にて。
「はぁ~~•••。」
ハミルントン公爵は、かつて無いほどの大きな溜め息をつき、項垂れていた。
「まさか四歳の娘に復讐を考えられていたとは•••。」
「お父様、お願いですから、ひっくり返したりしないで下さいませ。」
「ひっくり返したくとももう出来ないだろうな。あの祝賀会での婚約破棄劇の時点で、クリストファー王太子は廃嫡が確定している。今更陛下に伝えても遅い。ベンジャミン様にもキャサリン王女にも裏で話を通しているなら、もうアレクサンドラの考えた道筋で行くしかないだろうよ。」
マーガレットの心配の言葉にハミルントン公爵は苦々しく返した。
「マーガレット、お前もクリストファー王太子が王宮を出たら、一緒に行くのだろう。すぐでは無いだろうが、準備をしていなさい。」
「分かりました。あの、お父様•••。」
「なんだ?」
「お姉様は、お父様のことを尊敬していると、話していました。」
「•••そんなこと、知っている。」
アレクサンドラは、クリストファーの乳母の件や、クリストファーとアレクサンドラの将来を勝手に決めていた件で確かに父を憎んでいた。だが、父に縛られない将来を目指し、努力する中で父親の偉大さや有能さを知った•••勿論腹黒さも。アレクサンドラから、憎しみだけでなく、尊敬の念があることはハミルントン公爵にも伝わっていたのだ。
◇◇◇
「お母様、もう泣かないでくださいませ。」
アレクサンドラとマーガレットが家から出るのを一番悲しんでいるのがハミルントン公爵夫人だった。
「二人の娘が急にいなくなるなんて、寂しくて。」
ハミルントン公爵夫人は、元々公爵の愛人で、アレクサンドラの母である前妻が亡くなってから公爵家にやって来た。平民出身なので、気が進まない部分が大きかったが、愛人を溺愛していた公爵がどうしてもと譲らず、色々と手回しされ後妻となった。
前妻とは政略結婚だと聞いていたが、忘れ形見である十二歳のアレクサンドラにとっては大事な母だ。アレクサンドラとどう接したら良いのか身構えていた。しかし。
一緒に暮らすようになってしばらく経ったある日。アレクサンドラは心底不思議そうに尋ねた。「お義母様は、どうして私に意地悪なさらないの?」と。
そこで気付いてしまった。アレクサンドラはこの歳で裏側のことばかり関わっている、いや関わらなければ王太子妃としてやっていけないのだろうと。こんな小さな身体で、どれほどのことをしてきたのだろうか。
気付いたらアレクサンドラのことを抱き締めていた。「お義母様•••?」と、目をぱちくりさせ驚くアレクサンドラは年齢相応に見えた。こうして、ハミルントン公爵夫人は二人の娘を平等に愛した。アレクサンドラの苛烈な性格は変わらなかったが、それでも早くに実母を亡くしたアレクサンドラにとって、義母の愛情は確かに心の支えとなっていた。
「はぁ~~•••。」
ハミルントン公爵は、かつて無いほどの大きな溜め息をつき、項垂れていた。
「まさか四歳の娘に復讐を考えられていたとは•••。」
「お父様、お願いですから、ひっくり返したりしないで下さいませ。」
「ひっくり返したくとももう出来ないだろうな。あの祝賀会での婚約破棄劇の時点で、クリストファー王太子は廃嫡が確定している。今更陛下に伝えても遅い。ベンジャミン様にもキャサリン王女にも裏で話を通しているなら、もうアレクサンドラの考えた道筋で行くしかないだろうよ。」
マーガレットの心配の言葉にハミルントン公爵は苦々しく返した。
「マーガレット、お前もクリストファー王太子が王宮を出たら、一緒に行くのだろう。すぐでは無いだろうが、準備をしていなさい。」
「分かりました。あの、お父様•••。」
「なんだ?」
「お姉様は、お父様のことを尊敬していると、話していました。」
「•••そんなこと、知っている。」
アレクサンドラは、クリストファーの乳母の件や、クリストファーとアレクサンドラの将来を勝手に決めていた件で確かに父を憎んでいた。だが、父に縛られない将来を目指し、努力する中で父親の偉大さや有能さを知った•••勿論腹黒さも。アレクサンドラから、憎しみだけでなく、尊敬の念があることはハミルントン公爵にも伝わっていたのだ。
◇◇◇
「お母様、もう泣かないでくださいませ。」
アレクサンドラとマーガレットが家から出るのを一番悲しんでいるのがハミルントン公爵夫人だった。
「二人の娘が急にいなくなるなんて、寂しくて。」
ハミルントン公爵夫人は、元々公爵の愛人で、アレクサンドラの母である前妻が亡くなってから公爵家にやって来た。平民出身なので、気が進まない部分が大きかったが、愛人を溺愛していた公爵がどうしてもと譲らず、色々と手回しされ後妻となった。
前妻とは政略結婚だと聞いていたが、忘れ形見である十二歳のアレクサンドラにとっては大事な母だ。アレクサンドラとどう接したら良いのか身構えていた。しかし。
一緒に暮らすようになってしばらく経ったある日。アレクサンドラは心底不思議そうに尋ねた。「お義母様は、どうして私に意地悪なさらないの?」と。
そこで気付いてしまった。アレクサンドラはこの歳で裏側のことばかり関わっている、いや関わらなければ王太子妃としてやっていけないのだろうと。こんな小さな身体で、どれほどのことをしてきたのだろうか。
気付いたらアレクサンドラのことを抱き締めていた。「お義母様•••?」と、目をぱちくりさせ驚くアレクサンドラは年齢相応に見えた。こうして、ハミルントン公爵夫人は二人の娘を平等に愛した。アレクサンドラの苛烈な性格は変わらなかったが、それでも早くに実母を亡くしたアレクサンドラにとって、義母の愛情は確かに心の支えとなっていた。
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