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しおりを挟む「•••アルバート様。そろそろ服を決められて下さい。」
「もう少し待て。」
執事のジャンが呆れた調子で声を掛けてきた。
「アレクサンドラ様は、どの服でも喜んで下さると思いますがね。」
寧ろ裸でも喜ぶだろう、とジャンは心の中で毒づいた。主とは言え、衣裳室でデート服を選ぶのに長々と付き合わされ、ウンザリしていたのだ。
「いや、アレクサンドラとの初デートなんだ。失敗は許されない。」
こんな野獣のような恐ろしい顔に似合わない事を言っているのが可笑しくて、ジャンは噴き出さないように耐える。だが、アルバートは至って真剣だ。
「アレクサンドラに喜んで欲しいんだ。」
「•••アレクサンドラ様は、アルバート様の失敗すら喜んでくれると思いますよ。」
ジャンのぽつりと呟いた言葉は、思いの外アルバートに突き刺さったようで、長く続いたデート服選びは呆気なく終わった。
◇◇◇
同じ頃、アレクサンドラもデートへ着ていくドレス選びに苦戦していた。
「うーん、やっぱりこれかしらね?」
アレクサンドラが候補として挙げているドレスはどれも淡い色合いのものばかりだ。
「アレクサンドラ様。差し出がましいようですが、これらはアレクサンドラ様が好きなものでは無いのでは?」
専属侍女ジェニーの指摘に、アレクサンドラは返答に詰まってしまった。
アレクサンドラは赤系統の色のドレスや装飾品を好んでいる。しかし、少々勝ち気な顔付きから、赤系統の物を身に付けると威圧的な印象になる為、淡い色合いの物を着けることが殆どだった。
「•••アルバートには、可愛く思ってほしいの。」
好きな相手に勝ち気に思われることは、アレクサンドラにとって悲しいことだった。
「アルバート様は、アレクサンドラ様が好んでいるものを身に付けられていることを、喜ばれるのではないでしょうか。」
優しく笑って提案するジェニーに背中を押して貰い、アレクサンドラは勇気を出し、クローゼットの奥底に仕舞われた赤色のドレスを手に取った。
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