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しおりを挟む辿り着いたのは、街の外れにあるレストランだった。気取らない店だが、温かみのある場所だ。個室に通され、アレクサンドラとアルバートは向かい合って座る。
(いつもの夕食だって、向かい合って食べているのに•••!なぜ緊張してしまうの•••。)
いつもと違う場所、いつもと違う装い、そしてデートという特別な場面に、アレクサンドラは胸の音が速くなるのを感じた。
「サンドラ?」
気遣うようなアルバートの問い掛けに、アレクサンドラは、素直に自分の気持ちを話した。
「とても緊張しているようですわ。」
「緊張?」
「初めてのデートに浮かれてしまっています。それに、今日のアル•••いつも以上に素敵でドキドキしてしまいます。」
アルバートは、アレクサンドラの言葉に少々呆気に取られた後、破顔した。
「そうか。散々迷って服を決めた甲斐があったな。」
「そうでしたの?」
「ああ。ジャンに早く決めろと怒られた。」
二人で笑い合っている所に、料理が運ばれ、料理長が挨拶に来た。魚料理のコースメニューで、料理の説明の後、料理長は微笑ましそうに笑顔を見せた。
「どうした?」
「ふふふ。アルバート様が婚約者様と仲睦まじくされているので嬉しいのですよ。」
「な•••!」
「アレクサンドラ様。アルバート様はこちらをよくご利用頂いているのですが、いつもは肉料理が多いのです。それが、今日のご予約の時、婚約者が魚料理が好きだから、と仰っていて。アルバート様に大切にしたい方が出来て嬉しく思っております。」
「まあ!それで魚料理のコースでしたのね。嬉しいですわ。」
「勘弁してくれ•••。」
嬉しそうな笑顔のまま、料理長は退室した。アルバートは、視線を逸らしたまま、居心地悪そうにしている。
「アル?」
「うん?」
「なぜ私の好きなものを?」
「こちらに来たばかりの頃、そう話していただろう。それに今日は最初のデートだ。サンドラの好きなものを食べて欲しかった。」
何気ない会話を覚えていてくれた。デート服を迷ってくれた。アレクサンドラは、アルバートからの想いがじわじわと感じられ、胸が満たされる。
「アル、次はアルの好きなものを食べたいですわ。」
アレクサンドラの可愛らしいおねだりに、アルバートは漸く視線を合わせ頷いた。
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