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番外編:キャサリン王女の幸福。8
しおりを挟むケネスは、キャサリンの隣に腰を下ろし、キャサリンの説明を待っている。
「あの、あのね・・・。」
「うん。」
「えっと、その・・・。」
「うん。」
しどろもどろになっているキャサリンの言葉を、ケネスは辛抱強く待ってくれている。キャサリンは意を決して伝えようと意気込んだ。
「・・・お兄様が、もう、ケネスと会ってはいけないって。」
「・・・そう。」
思い余って、本当のことをそのまま話してしまった。これでは、誤解されてしまう。慌てて、次の言葉を探していると、ケネスはそんなキャサリンの心情に気付いたのか、目を細めた。
「それで、キャサリンはどう思ったの?」
「私・・・私は・・・。」
ケネスの視線は、キャサリンを捕らえて離さない。その瞳には期待が込められているような気がするのは、キャサリンの思い違いだろうか。
「・・・私は、隣にいるのはケネスがいい・・・ううん。ケネスじゃなきゃ嫌だって、そう思って・・・ひゃ!」
キャサリンが決死の思いで伝えると、いつの間にかケネスの腕の中に閉じ込められていた。
「ケ、ケネス?」
「・・・良かった。」
「へ?」
ケネスは抱き締めた腕を緩めると、キャサリンの前に跪き、手を取った。ケネスは、キャサリンの瞳を真っ直ぐに見つめ、力強く言った。
「幼い頃から、キャサリンだけを想っていた。どうか私の妻となってほしい。」
「ケ、ケネス・・・。」
こんな自分に都合が良いことが起こって良いのだろうか。夢のようなケネスの言葉に、キャサリンの心は震えた。
「わ、私と結婚したら、きっとケネスにたくさん負担を掛けるわ。」
「そうだとしても、君の隣にいたいんだ。」
「公務の為に、研究の時間が減ってしまうわ。」
「そんなの、君の隣にいられるなら、努力するよ。」
それで返事は?とケネスに優しく問われ、キャサリンは迷わずケネスの胸に飛び込んだ。ケネスは、キャサリンを受け止めると、きつく抱き締め、愛の言葉を囁き続けた。
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