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番外編:奥さまの日常。5
しおりを挟む「はぁ~~。」
長時間、アレクサンドラの部屋の前で粘っていたアルバートだったが、とうとう諦め、執務室に戻ると大きく溜め息をついた。
アルバートは、遠征から帰ってきたばかりだ。本当なら、アレクサンドラとゆっくり過ごしている時間だ。この時間を楽しみに帰ってきたというのに・・・アルバートは肩を落とした。
「・・・サンドラは、食事は摂れているのか?」
「毎食、お部屋にお持ちしておりますが・・・食べきれないからパンとスープだけで良いと仰って。フルーツやゼリーなど食べやすいものをお付けしています。それらは完食されております。」
ジェニーは、心配そうな表情で答えた。
「そうか。それなら・・・。」
◇◇◇◇
翌朝。
コンコン。
「奥さま。お食事をお持ちしました。」
ジェニーが声を掛けると、アレクサンドラは返事をし、扉の鍵を開ける。ジェニーが扉を開けた・・・・・・・・・と思ったが。
「・・・アル?・・・っ!」
アレクサンドラの部屋に、入ってきたのはアルバートだった。アルバートは、アレクサンドラをきつく抱き締めた。ジェニーは二人分の朝食をセットしてから退室した。
「・・・どうしたんですの?」
「君に会えなかったから。」
「・・・ごめんなさい。」
長い長い抱擁を終え、アルバートはアレクサンドラの顔に手を添える。
「サンドラ・・・隈が出来ている。眠れていなかったのか。」
アルバートが、アレクサンドラの目の下を優しく擦る。アレクサンドラはばつが悪そうに答える。
「今から寝ようと思っていたんですの。」
「今からだと?」
つまり昨夜は一睡もしていないということだ。アルバートは、心配と申し訳なさでいっぱいになった。
「サンドラ。傷つけてしまってすまない。だが、私は君を裏切ることなど決してしていない。理由があるんだ。どうか聞いてくれないか。」
アルバートが懇願する様子を見て、アレクサンドラは目をぱちくりとさせた。
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