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番外編:奥さまの日常。6

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 アルバートは、アレクサンドラを腕の中に閉じ込めたまま、話し始めた。



「・・・・・・娼館に行っていたのは業務の為だ。娼館の中でトラブルがあり、貴族絡みだったから、騎士団の騎士たちだけに任せられなかった。それで、私が対応していたんだ。」



 アレクサンドラは、アルバートの腕の中で身動ぎもせず、静かに聞いている。



「それで、何度か娼館に通ってはいたが、決して業務以外のことはしていないし、他の騎士も複数名連れていた。信じてくれ・・・・・・サンドラを傷つけてしまい申し訳ない。どうか許してほしい。」



 アルバートは悲しそうな瞳で、アレクサンドラに許しを乞う。





「あ、あの・・・・・・。」



 アレクサンドラは、漸く口を開いた。












「どうして、アルが謝っているんですの?」



 アレクサンドラが心底不思議そうに尋ねると、アルバートは目を見開いた。




「い、いや、だって私が娼館に行ったと誤解して、傷付いたんじゃないのか。」




「私が王太子妃だった頃、アルが教えてくれましたのよ。娼館ではトラブルが多い、と。」



 アレクサンドラが王太子妃の頃、公務で辺境へ来ることがあった。アルバートは覚えていないが、騎士団を紹介している時に教えたのだろう。ーーー今思えば、王太子妃に話す内容ではないが。



「私、アルと初めてお話しした内容なのでよく覚えています。」


 ・・・・・・しかも、最初の話題だった。アレクサンドラは話した内容とは裏腹に頬を染めているが、アルバートは、当時の自分を消したくなった。




「それに・・・・・・。」


 アレクサンドラは言葉を切った。迷った後、アルバートの耳元で「あんなに毎晩愛してくださるのに、欲のために娼館に行くなんて思えません。」と顔を真っ赤にして囁いた。あまりに可愛い新妻を、アルバートはきつく抱き締めた後、口づけを落とし続けた。





◇◇◇◇





 暫く甘い時間が続き、アルバートが満足すると、アレクサンドラが腕の中でぐったりとしていた。




「サンドラ?・・・・・・やりすぎたか。」



 アレクサンドラの瞼が重くなり、うつらうつらしている。そうだ、先程寝ていないと言っていた。アレクサンドラの眠気はもう限界だった。アルバートは、アレクサンドラを抱えるとベッドに寝かせると、ジェニーを呼び朝食を片付けてもらう。アルバートが退室しようとすると「・・・・・・アル?」と寝惚けながら小さく呼ぶ声が聞こえる。アルバートは、今日の執務は諦め、可愛い妻の横で添い寝を始めた。
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