【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ

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 ワイナリーの見学を終えると、食事会が始まった。ワインに合うオードブルが用意されており、ソフィアもハロルドも美味しい食事を楽しんだ。


(ハロルド、頑張ってくれているわ。)



 ソフィアと二人きりの時は、いつも甘い態度なので忘れがちになってしまうが、ハロルドはいつもは冷たい印象を与える人間だ。相手が、公爵でも、お嬢様でも、それは変わらない。勿論、他の使用人たちや公爵家のゲストに対してもそうだ。


 だが、ドロシーと、ドロシーの夫に対しては、頑張って愛想よくしているように見える。これが素では無いことは、ソフィアがよく分かっている。


(私の大事な友人だから……?)



 ソフィアがあまり人付き合いが上手く無いことは、ハロルドも分かっているだろう。そのソフィアが紹介するということは、特別な友人だということも、有能な執事の彼ならすぐに想像できた筈だ。



 そんな考えが、頭に浮かぶと、胸がぎゅっと締め付けられるような気分になった。そして、何故だか、急にハロルドの手に触れたくなってしまった。思わず、隣に座るハロルドの手を凝視してしまう。ゴツゴツした、大きく、男らしい手だ。




「ソフィア?顔が赤くなってるけど大丈夫?飲みすぎた?」


 急に、ハロルドに声を掛けられ、ソフィアは余計顔を熱くした。



(手に触りたいって……!私、今何を考えて……。)



「そ、そうかもしれないわ。少しテラスで外の空気に当たってくるわね。」


 ハロルドの顔を見ることは出来なかった。不自然ではないように、ゆっくりとテラスに向かうが、身体中に熱さが駆け巡っていた。





◇◇◇◇




「ハロルド様。不躾ながら、聞いていただきたいことがあります。」


 ソフィアが席を離れたタイミングで、ドロシーが神妙に切り出した。



「ソフィアのご両親のことはお聞きになっているでしょうか。」



「はい。今は、自分が窓口になって連絡をしております。」



「そうだったのですね。ありがとうございます。ソフィアのご両親は、その、良い方ではあるのですが、彼女の縁談になると盲目的になるというか……。」


 ドロシーは言葉を選びながら、心配そうに言葉を続けた。



「なので、ソフィアは頼れる相手があまりいないと思うのです。ハロルド様、どうかソフィアをお願いします。ソフィアは、少々誤解されやすい人間ではありますが、優しく、まっすぐな人間なのです。」



 ハロルドはふわりと笑った。





「ええ。よく知っています。」


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