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しおりを挟む「はっ?なっ……せ、籍を入れただって?!いつ?!」
「昨日の休みに手続きへ行って参りました。」
手続きをした翌日。日中の業務を終え、退勤時間の後でハロルドとソフィアは雇い主のハワード公爵へ入籍の報告をした。あまりに急な入籍の報告に公爵は狼狽えた。
「き、昨日?!昨日手続きをしてきて、今日一日普通に働いていたのか?!言ってくれたら休みだって……。大体、こんなのって手続きに行く前に一言言うんじゃないの?!」
「旦那様、申し訳ありません。急に手続きすることになったので……。報告がこのような形になり申し訳ないです。」
「ソフィア、謝らなくていいよ。何にも悪いことしていないんだから。入籍前に相談するなんて規則は無いんだし。」
「ソフィアは良いが、お前は申し訳なさそうにしなさい。ハロルド。」
悪びれないハロルドに公爵は呆れたように大きく溜息をついた。ソフィアは仕事中に公爵と会うことは殆ど無いが(ハロルドによるゴタゴタに巻き込まれて、職務以外ではよく会っているが)、ハロルドは職務中は四六時中公爵と一緒なのだ。直属の部下で誰よりも目を掛けているハロルドから、事後報告で入籍したことを聞かされるのは悲しいものがある。
「それより、急な手続きって……ソフィア。ハロルドに無理強いされたのでは無いか?」
「ソフィア、もう行こう。」
「ハロルド!」
くるりと踵を返すハロルドをソフィアは引っ張り、元の位置へ戻す。
「旦那様。……結婚は私もハロルドも望んだことです。」
ソフィアはハロルドへ微笑む。二人っきりなら甘ったるい笑みを浮かべるだろうが、公爵の前でその表情は流石に見せられずハロルドは眉間に皺を寄せ、口を一文字に結び複雑な顔になった。その顔があまりに可笑しく、ソフィアは笑みを深めた。
そんな二人の言葉の無いやりとりを見て、公爵は安心したように息を吐いた。
「二人とも、結婚おめでとう。」
公爵の言葉を、ハロルドは複雑な顔のまま聞いていたがソフィアは優しく笑って頷いた。公爵が彼女のこんな穏やかな笑顔を見るのは、公爵家に来て初めてのことだった。
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