ダブル・スタンダード〜亀を助けたら、若返りの魔法を手に入れました〜

ryon*

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幸せな結末

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「そっか。……そうだよね、ごめん。丸投げするようなことを言って。やっぱりもう、全部終わりにし……」

 僕が言い切るより早く、柳瀬君は僕のことを強く抱き寄せた。

「違います、そうじゃありません。僕だけが結論を出すのが、嫌だって言ったんですよ」

 その言葉の意味が分からず、思わず首を傾げた。
 すると柳瀬君は呆れたように笑い、告げた。

「僕と田中さん、ふたりの未来についての話でしょう? だから僕がひとりで決めるんじゃなくて、ふたりでちゃんと話し合って決めたいっていう意味です」

 それを聞き、胸が熱くなった。

「……こんなにも酷い秘密を隠していたのに、君は僕を許してくれるの?」

 すると柳瀬君は、少し困り顔で笑った。

「そうですね。……これでもう、お互い様ということにしませんか? どうやら僕はもう、あなた以外の人を好きにはなれないみたいです。それをこの一カ月ちょっとの間で、嫌っていうほど思い知らされましたから」

 背中に腕を回して、思い切り抱きついた。

「ありがとう、柳瀬君。僕も君以外、もう好きになれないと思う。だからこんな僕でも、これからもずっと愛してくれる?」

「もちろんです。愛してますよ、田中さん。嫌だって言われても、もう絶対に離してあげませんから」

 クスクスと笑い合いながら、キスを交わす。
 しかしそこで柳瀬君は、とんでもないことを言い始めた。

「ところで、田中さん。その薬って、どうするつもりですか?」

「うーん……。特に考えてなかったんだけど。柳瀬君は、どう思う?」

 すると彼はニンマリと、意地悪く口角を上げた。
 
「僕としてはあなたそのものが大好きだから、別に若返ろうが年上であろうがどちらでも構わないというのが本音です。でもプレイとして、年下の太郎をいじめて遊ぶというのはありかなと思います」

「……君って本当に、どうしようもなく変態でドSだよね」

 心の底から、ドン引きした。でも彼はククッと笑いながら、まだ朝だというのに僕のことをベッドの上に押し倒した。

「それはたしかに、そうかもですが。……でもそう言われてこんな風に興奮してる太郎も、たいがい変態だしドMだと思うけどね」
 
 その言葉に反応し、カッと全身が熱くなる。
 それを見逃すことなく柳瀬君はニンマリと笑い、楽しそうに耳元で囁いた。

「薬の効果が切れたら、今度は本来の田中さんの体を楽しませてくださいね」

 ***

 あの日から僕たちは正式にお付き合いをはじめ、半年が経過した今では一緒に暮らすようになった。

 助けた亀にもらった、例の薬。あれがなければきっと僕たちは、今でもただの上司と後輩の関係のままだったに違いない。

 なのでこの奇妙な物語は、この言葉で締めくくりたいと思う。

 めでたし、めでたし!
 
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