ミルシィの雑貨屋さんへどうぞ!

銀蝶

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雑貨屋さん、オープンです

ひとりめのお客さま

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新しいお家に来てから、一週間経ちました。

毎朝、朝市に通ってたら知り合いも徐々に増え、グレイさんのお茶会も二回参加させてもらった。

色々ちょこちょこ作りはじめて、そろそろ雑貨屋さんをはじめても大丈夫かな?

パン屋さんのゼッツ君とは少しお話できるようになり、公園では再びルーちゃんと、ルーちゃんお兄さんにも会った。

夕刻に湖に行くのは止めたし、あれから変な人には出会ってないはず。

よし、明日から雑貨屋さんをひらこう!

まだ商品は少ないけど、のんびり出来ればいいので、問題はない。

雑貨屋さんをやる事を、それとなく宣伝したから、顔見知りの人は来てくれるかも?

何も買わなくても、お土産は渡したいなぁ。

お茶受けの、小さなクッキーでも作ろうかな?

魔法の粉を牛乳と混ぜて~隠しオーブンで焼いて~。チョコチップパラパラして、完成!

「試食試食ー、モグモグ、うん美味しい!」

カイツも食べる?  はい、どうぞ。

微妙な表情をされた。

「……何か変な効果が……まぁ、問題はないか」

「効果?」

「──お茶会で、オナラが出ずらくなる効果……」

「大事だね!」

「……ああ……」

よーし、あとは紙で包んで、テープで留めて、できあがり。

10個あれば、足りるかな?






翌日、雑貨屋さんオープンしましたー!

「あっ、看板とかがない!  お釣りがー」

「……落ち着け」

厚めの紙にガリガリと、ミルシィの雑貨屋さんと書いていると、コンコンとドアがノックされた。

あわわ、もうお客さん来ちゃった!?

「はいはーい、どうぞ~」

とりあえずの看板代わりの紙を持って、急いでドアを開ける。

「よ、おはよ……ミルシィ」

玄関前に立っていたのはゼッツ君だった。お手伝い中じゃない証拠に、パン屋さんのエプロンは外している。

「ゼッツ君!  おはようっ。一番に来てくれたの?」

私はうれしくて、ニコニコしてしまう。

「そりゃあ、どんな感じか気になるし……入っていい?」

「どうぞ~。あ、看板つけるから待ってね」

ドアの真ん中に、ペタッと紙を貼り、ゼッツ君を迎え入れる。

「いらっしゃいませー!  ゆっくり見ていってね!」

「うん……」

最初は遠慮がちだったゼッツ君も、キョロキョロとお店を見回して興味の向いた商品を眺めはじめた。

腰高の棚には、比較的大きい物を、付け足した細い棚には小さい物が飾ってある。

「これ……ぜんぶ手づくり……?」

「そーだよー、実際に手に取って確かめてね」

「触っていいの?」

「うん」

「なんか……見慣れないモノが多い」

商品にはタグに値段、カードには簡単な使用方法なんかが説明してある。

でも、なかなか触りづらそうだったので、説明をすることにした。

「まずは……これ!  ヘアピン!  ちょっと髪をとめたり、オシャレにも使うよー。可愛いクマさんのと、猫さん模様」

クマさんは、茶色い布に両目を黒いビーズ、口はオレンジ色の糸でバツ印。

猫さんは水色で赤いビーズの眼に、青の糸で同じくバツ印。

ふたつとも、痛くない硬さで丈夫にしてあるし、なかなか可愛いくできたよー。

「……女子向けだな。クマってクマか?  あれは危険な動物だぞ?」

不思議そうに首をひねられた。

「む……。じゃあ次はこれ!  チャンバラ刀セット!  ワタが入ってるから痛くないよ?」

「……チャンバ?  カタナ??」

黄色いカタナと青いカタナ。長さは30センチくらい。ワタをギューってつめたから、あまり乱暴にすると中身飛び出すかも。

「……ぬいぐるみ?  ただの棒?」

うっ……確かにうろ覚えで作ったけど。ギリギリ刀に見えないかなー。無理?

「むむっ、じゃあコレだー!  ブックカバー!  しおり付きよー!  マイカバー必須だよね!」

「ブックカバー?   本のカバー?  町にある図書館は、持ち出し禁止だよ」

「え。──本屋さんは?」

「王都くらいしか、ないんじゃ?」

普通の家庭には、本は高価すぎてないらしい。

ううう──三連敗だよぅ。

「……あとは、普通にハンカチとか、タオルとか。エプロンもあるよ……」

「お、普通のあった」

ちょっとホッとされた。何故だ。

「いまは、このくらいかな。ちょっとずつ増やす感じなの」

ゼッツ君は、ひと通り商品を眺め、店内を見回し、家族分もとハンカチを三枚買ってくれた。

「ひとつ2銅貨だから、んー、おまけで5銅貨ね!」

「お、いいの?」

「なんたって、一番最初のお客さんだもの!  ありがとう、これはおまけのクッキーね」

紙袋に、商品とおまけを入れて渡すと、ゼッツ君は急にソワソワと視線をそらした。

「っ!  あ、うん……まあ、ミルシィぽくて、いいお店だよ」

「えっ、そう?」

「うん。なんか不思議な感じで。珍しくって面白い」

「むー?」

これは褒められたのかな?  なんか違うような?



何だか最後は上機嫌で、ゼッツ君は帰って行った。


さてさて。二人目のお客さんは来てくれるかな?





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