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新居に慣れよう
寄り道危険?
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お茶会は、他愛ない世間話で終わった。
この世界の情勢から、女性の趣味の話しまで、当たり障りのない範囲でなごやかに。
私もふんふんと聞いていたけれど、難しい話しはさっぱり──まったく分からなかったけれど。
いや、喫茶店のケーキと飲み物が美味しくて、半分はそっちに集中していたというか──。
喫茶店の販売コーナーで、しっかりコーヒーの粉を買い込み大満足です。
「退屈じゃあなかったかい?」
帰り道、グレイさんが申し訳なさそうに聞いてきたのに、首を振った。
「全然! 皆さん声が綺麗で──美人さんだし──耳心地良かったです! 他の国は大変なんだなってわかったし。皆さん仲良しで羨ましい……私もあんな大人の女性になりたいなぁ」
「あらあら、役に立ったなら良かったわ。また誘っても良いのかね?」
「もちろん! あ……迷惑でなければ……」
グレイさんは、優しく笑った。
「じゃあ、また今度。朝市であえたら誘うかいね」
「はい! 是非!」
曲がり角で別れて、なんとなく帰りがたく、湖まで足をのばした。
夕刻に染まる湖は、自然に囲まれて神秘的な美しさだ。
オレンジ色に染まる湖面の中央が、キラキラと光を反射させている。
静かで、穏やかな空気が流れる中を、まるで時間が止まったみたいに感じて笑みが浮かぶ。
世界と繋がった気がする……。
なんて呼ぶんだっけ、こういうの──黄昏時? 逢魔が時?
「──この世界では、神触れ時かな」
ひろわれ、返された台詞は、私の頭の中を覗かれたみたいで。息が止まった。
たっ、と、カイツが私の前に庇うように出た。
ふわりと音もなく空中から現れた、天女みたいな格好の男性が──顔を見上げかけて、咄嗟に自分の両目を手で覆う。
チラッと見えただけで魂抜かれるような美形さんだ! ヤバい見ちゃ。
「……なにをしておる」
「見たら気絶しそうなので!」
呆れた空気が伝わってきたけど仕方ないよね。テレビ越しに美形観れても、現実には直視できない。ムリ無理!
そうっと薄目を開けて下の方だけ確かめる。長い裾だなあ。よく踏まないよね。あっ、浴衣も作ろう。
振り返ったカイツが、心配そうに見上げてきたけど。
「カイツさん、帰ろうか。大丈夫、私何も見てない聞いてない」
「……そうか」
くるっと背を向けて、お家に向かって走り出す。
「む……待て、そなた……」
後ろから何か言ってきたけど、聞こえませーん。
「カラスがなくので帰りますー!」
「……カラスはいない」
え。そうなんだ。カラスいないんだ。
ゴミ問題安心だね!
「……あの子、カフェオレ知ってたわよ」
「……そうやね……」
この世界の情勢から、女性の趣味の話しまで、当たり障りのない範囲でなごやかに。
私もふんふんと聞いていたけれど、難しい話しはさっぱり──まったく分からなかったけれど。
いや、喫茶店のケーキと飲み物が美味しくて、半分はそっちに集中していたというか──。
喫茶店の販売コーナーで、しっかりコーヒーの粉を買い込み大満足です。
「退屈じゃあなかったかい?」
帰り道、グレイさんが申し訳なさそうに聞いてきたのに、首を振った。
「全然! 皆さん声が綺麗で──美人さんだし──耳心地良かったです! 他の国は大変なんだなってわかったし。皆さん仲良しで羨ましい……私もあんな大人の女性になりたいなぁ」
「あらあら、役に立ったなら良かったわ。また誘っても良いのかね?」
「もちろん! あ……迷惑でなければ……」
グレイさんは、優しく笑った。
「じゃあ、また今度。朝市であえたら誘うかいね」
「はい! 是非!」
曲がり角で別れて、なんとなく帰りがたく、湖まで足をのばした。
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静かで、穏やかな空気が流れる中を、まるで時間が止まったみたいに感じて笑みが浮かぶ。
世界と繋がった気がする……。
なんて呼ぶんだっけ、こういうの──黄昏時? 逢魔が時?
「──この世界では、神触れ時かな」
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たっ、と、カイツが私の前に庇うように出た。
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そうっと薄目を開けて下の方だけ確かめる。長い裾だなあ。よく踏まないよね。あっ、浴衣も作ろう。
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