ミルシィの雑貨屋さんへどうぞ!

銀蝶

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雑貨屋さん、オープンです

さん...........ばんめの、お客さま

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今日は、裏庭を整えようと思います。

お店部分が狭いから、テーブルとか置くスペースがないんだよね。

まずは~……。

「どっちが南?」

「あっちだな」

お家の正面の、右斜め前?  ふむふむ。

キッチンから出て、裏庭の右側真ん中に木が欲しいな。

「ここに、桜の木~!」

あらかじめ、白い布を種っぽく作ってある。あとは、どんな植物がいいか願うだけで良いらしい。

「お水お水~」

手づくりの小さなジョウロから、あら不思議。ちょろちょろと水が出るよー。

ちょっと待ってみると、芽が出てスクスクと若木になり、二階と同じ高さまで成長した。

「隣に、藤棚~」

桜の半分の高さの、藤棚を設置。藤の幹がそのまま、棚になったよ。三角形をつくるように三方向から三本で支えるように。倒れない?  大丈夫?

「お家の柵には、ジャスミン~」

元の自宅にも、ジャスミンの木?があって柵一面に絡まって、香りとともに春は賑やかだった。懐かしい。

「……」

「どうした?」

「な、なんでもないよっ。ジャスミンの合間に、ピンクと白の小さなつるバラさんー」

何かフッと浮かびかけたんだけど……胸がズキっとした。

考えないようにする。

「あとは、藤棚の下にテーブルと、椅子!」

飴色の木製の小さな丸いテーブルと、小さな丸い椅子を配置して、だいたい完成かな?

椿と沈丁花を、桜の木の逆側に。

花畑は真ん中に。

ちょっと玄関側に移動して、門の左右に紅梅と白梅。竹と満天星もちょっとだけ隅っこに。

うむ。素晴らしい!  お家が洋風なのに正面側が和風に……。

「お母さんに見せたいなぁ……」

「……」

さわさわと、気持ちいい風が通り抜ける。排気ガスとかないからか、凄く空気が澄んでる。

綺麗な、素敵な町。

今の季節は、なんだろう?

「今は、春だな」

そっかー、春なのかー。

裏庭に戻って、桜にちょっとだけ、咲いてもらった。

ほのかにピンクの可憐な花が咲く。

毎年、どこかで眺めてた気がする。

あまりにも綺麗すぎて泣きたくなった。










カラン、コロンとドアベルが鳴る。

あれ?  看板出してたかな?

慌ててキッチンに戻り、お店側に行くと──。

「泣いている気配がしたぞ」

「ちゃ!」

あっ、ルーちゃんとルーちゃんのお兄さん。

「こんにちはー?  今日は雑貨屋さん、お休みだよー」

泣いて、ないよね?  うん。ちょっとウルッとしてただけ。

ちょっと困惑しつつ、出迎える。

「知らん。ルーが来たがった」

「ちゃ!」

相変わらず、偉そうな兄妹です。

「そっかー、ルーちゃんが来たかったならしょうがないよねー」

可愛いのでルーちゃんの頭をなでなで。なんかルーちゃんお兄さんがムッとしてるけど。

まだ時間はあるし、せっかく来てくれたんだから、おもてなししましょうか。

いつものクッキーと、ルーちゃんお兄さんには紅茶を、ルーちゃんにはミルクを出した。モグモグ、ゴクゴクタイム。

お腹が落ち着いてから、お店の中を興味深そうにキョロキョロされる。

「あ。せっかくだから商品見てく?」

「人間のものは不要だ。だが、見るくらいならしてやろう」

「ちゃー?  ちゃ!」

「どうぞ~」

しばらく様子を眺め、カイツはカウンター上で寝そべった。問題ない証拠かな。

クッキーはこれで最後だな。他を作らなきゃ。次は干した果実とか混ぜてみよう。

「……これは、なんだ?」

ルーちゃんお兄さんは……おっ、なんとカタナに注目している!

「ふふふ、ソレはね。ある国の歴史と伝統の詰まった、チャンバラ用刀!」

「ふむ……?」

「中にワタがつまってるから、当たっても痛くないよ!」

「どう使うんだ?」

使い方(遊び方?)を説明してみたところ、気にいられました。買うか悩んでいるようです。

「ちゃー!  ちゃっ!」

お?  ルーちゃんは、クマさんヘアピンを手にしています。気にいったのかな?

「ルーちゃん、これが欲しいの?  お兄さんに頼む?」

「ちゃっ!!」

「む。なんだそれは……これは、クマか!?  小さいな、針か?」

「こうやって、髪をちょっとまとめるの、ヘアピンだよ」

ためしにルーちゃんにつけてあげると、本人は大喜び。

「ちゃー!  ちゃー!」

ぱしぱしお兄さんを叩いてアピール。

「わ、わかったわかった、仕方ない……ミルシィよ、コッチのカタナと、そのヘアピンをもらうぞ」

「はぁい。ふたつで……5銅貨かなー」

金額を伝えると、ピキっと固まった。

あれ?  安めなんだけど……。

ルーちゃんお兄さんは、困ったように眉を寄せた。

「すまん……我らは金は持ってない……別のモノでいいか?」

子供相手だから、タダでもいいんだけど……カイツがじいっと何故か見てるから、私は頷いた。

すると、ゴソゴソとポケットから、何かを取り出して手渡された。

薄くて綺麗な、貝殻?みたいな破片。

「コレを対価にしよう」

虹色に輝いている。やっぱり貝殻の内側に似てる。キラキラ。

「キレイだねー、いいの?」

ルーちゃんお兄さんはキリッとした顔で頷く。隣でルーちゃんも、珍しくキリッとしてる。可愛い。

「剥がれたウロコの欠片だが、人間には有用なはず。大切にせよ」

ウロコ??  ヘビのかな?  ヘビはちょっとヤダな~。

「ははあ~、ありがたく」

とりあえず、雰囲気に乗って大袈裟に受け取った。オトナな私!  えへん。

カタナとお土産のお菓子を紙袋に詰めて、ご満悦のお兄さんに渡す。

「はい、どうぞ」

「うむ」

ルーちゃんは、そのまま髪につけていくらしい。ルンルンしてる。可愛いよぅ。

「ありがとうございましたー、またねー」

「ちゃっ!」

仲良く兄妹が帰って行くのを見送り、気分が軽くなっているのに気付いた。

ドアを確かめたけど、やっぱり看板は外してある。

うーん。休業日の看板も作ろう。あまり働きたくない。

オレンジ色に染まってきた空を眺めながら、ドアをサッと閉めた。

コンコン。

「さっ、カイツさん!  お夕飯作ろうかー」

コンコンコン?

「……ああ」

コンコンコンコン!

カウンター横のドアを閉めたら、ノックは聞こえなくなってホッとした。

頼むよ、お家さん。

不審者は入れないでね?















「……なんという強情な娘か……ますます……」

コンコンコ……

バチィッ!

「っ!  ──なんだこの家は……!?  有り得ぬ!」







我が家の防犯は鉄壁です。
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