蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

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第一部 王立宮廷大学を目指そう!

42. 試験開始

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 ついに、カリスティア王立宮廷大学の入学試験初日を迎えた。
 数日前から兄アレクシオスは再び休暇を取り、カテリーナのために学科と実技、両方の試験対策の総仕上げを手伝ってくれていた。

 初日は学科試験のみ。選択科目の記述試験を終えた後、一人五分ほどの口頭試問が行われた。
 実はこの口頭試問は面接も兼ねており、順番を待つ間の立ち居振る舞いまでも観察され、試験の対象となっていた。

 アレクシオスに太鼓判を押されていたこともあり、カテリーナは自信を持って筆記試験に臨み、全問解き切れたという手応えを感じていた。
 口頭試問でも、淀みなく完答することができ、さらに義母カリスタの厳しい教育が功を奏したため、完璧な貴族令嬢としての立ち居振る舞いを見せることもできていた。

 試験を終え、会場を出るとアレクシオスが待っていた。

「どうだった?」

 かけるべき言葉を何度も考えていたアレクシオスだったが、カテリーナの自信に満ちた表情を見て、自然にそう尋ねてしまった。

「上手くいったと思います」

 カテリーナははっきりと答えた。

「ああ、良かった! カテリーナなら学科は心配ないと思っていたけど、僕も緊張してしまったよ」
「私も最初は少し緊張しましたが、知っている問題が多くて、落ち着いて答えられました」

「最後の問題も?」
「はい!」

 その言葉にアレクシオスは安堵し、また、感心もした。
 宮廷大学の学科試験は、最初の三分の一が易しい問題、次が標準的な問題、最後の三分の一が難しい問題で構成される。特に最後の数問は、ほとんどの受験生が解けない程の難問であることが知られていた。

「口頭試問も問題なかったんだね」
「はい。褒めていただいたんですよ!」

 カテリーナの笑顔を見て、アレクシオスは全て順調だと確信し、すぐさま、明日の実技試験と、明後日の受験者トーナメントの方へと頭を切り替えた。

「よし、実技試験に向けて、最後の確認と軽い反復練習だけを行おう。それが終わったら僕が回復魔法をかけるから、今日は早めに休むんだ」
 「はい! ありがとうございます、お兄さま!」

 カテリーナは、ここまで尽くしてくれて頼れる兄に、改めて感謝を覚えた。

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 二日目の朝になった。
 カテリーナはぐっすりと眠れたことから、兄の回復魔法の効果をあらためて感じていた。

 騎士コース実技試験では、魔法が一切禁止されている。
 仮に支援魔法バフをかけたとしても、受験票に刻まれた魔法印が無効化し、魔法の使用を検知・記録までするようになっている。
 そのため、自らに支援魔法をかけても意味はないし、妨害のために他人に何らかの魔法をかけても、すぐに判明してしまう仕組みになっていた。

「僕は家族だから今日は大学に入れないけど、練習通りやれば絶対に大丈夫。今まで苦しい練習を積み重ねて、やり遂げてきた自分自身を信じて!」
「はい! 絶対に合格して、お父さまやお母さま、お兄さまと同じく宮廷大学に絶対に入ります!」

「その意気だ!」

 アレクシオスはカテリーナの元気な返事を聞き、安心して送り出せると確信した。
 
――しかし、パスする予定の魔法の実技試験についてまでは、言い忘れていたことに気づくことができなかった。


   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 カテリーナは所定の手続きを済ませ、まず最初の魔法の実技試験会場へと向かった。

――魔力測定後に、実技試験は辞退したいと伝えるだけよね。よし、行こう!

 受験票を係員に見せ、複数ある列の一つに並んだそのとき――

「おっと、これはルクサリス家のご令嬢じゃありませんか!」

 背後から声をかけてきたのは、ニヤついた顔の男の受験生だった。

「オドなしのくせに俺たちと同じ大学を受験だって? 裏口入学でも狙ってるのか? 傑作だなこれは! うわはっは!」

――テオフラストス・アヴァリオス!

 カテリーナが驚いていると、テオフラストスとその友人たちの嘲笑が伝わり、周囲の視線が一斉に集まった。

「ああ、ルクサリス家の……」
「母親や兄と違って、できそこないの……」
「たしか体内魔力オドがほとんどなかったはずだけど……」

 宮廷大学は同年代の貴族の子息令嬢が多く受験するため、ちょっとした社交界のような雰囲気がただよっていた。
  聖女アナスタシアの娘であり、神聖騎士団副団長アレクシオスの妹――カテリーナは否応なく注目を集める存在だった。

 カテリーナは幼いころの苦い記憶がよみがえっていた。

「やーい、やーい、オドなし!」

 小さなころから、彼にいじめられ続けてきた。
 つい先ほどまで自信に満ちていたカテリーナだったが、周囲の見下されたような視線と、過去の嫌な記憶から、自信が一気にしぼんでいった。
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