綴れ荘のドアは異世界に繋がっている

八郎

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第一章じーちゃんから貰った鍵

誠覚醒⁉part2

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「ちょっと待てよ!俺はってことは、レインや空は危ないってことか⁉」

 日頃はアホな誠だが、その本質は消して悪く無い。
 だが、人間L○Dと化している今の姿だと阿呆まるだしで可哀想な子だ。
 レインも言われている事は嬉しい事なのに今にも吹き出しそうになっていた。
 空はというと、純粋に感動していた。

「ああ、誠以外は危ないだろうな…」
「な!それじゃあ駄目だろうが!」
「何故だ?」

 人間と精霊では価値観が違う。
 精霊は同種族、そして気に入った相手は愛し子として寵愛するが、それ以外は無に等しい。両極端な気質を持っていた。
 勿論、空やレインは知っていた為驚いてもいないが、何も知らない誠はそうじゃない。
 割り切れる筈もなかった。

「レインや空が危険なら此処から先は俺だけで行く! 白悪いが、レイン達を安全な場所まで連れて行ってやってくれ!」

 それを聞いて抗議したのは他ならぬレインと空だった。

「お待ち下さい! もとより危険は承知の上です。自分の身は自分で守れる気概がなくては、誠様の護衛にはなれません!」
「そうです!お側にいさせてください!」

 気押される程の熱量で訴えてくる二人に答える様に白が誠を見つめてきた。

「誠、この二人なら我が守ろう。だからお主が心配せずとも大丈夫だ」

 それを聞いて誠は安心した。
 白が守ってくれるならば安心だ。

「永らく生きていれば面白いものが見られるものだな。 よもや四聖獣が契約者以外の人間を守ろうとは」

 風の精霊王が面白いものを見つけた子供の様な目で白を見ている二人とも敢えてレインや空にも自身の声や存在を見せている。
 それも気遣いだとは、当の本人達は気づいていなかった。それもこれも誠の存在に感化されているのだが、その事に気付いているのはレインと空だけだった。
 誠すら気付いていない。

 いや、あと一人気付いているものがいた。
 じっちゃんだ。

 じっちゃんは竜の形をしたブレスレットの中から事の一抹を面白いものを見るように見守っていた。
 じっちゃん事、龍人は天然無敵の人たらしだ。
 だが、その能力だけなら誠の方が上だった。

 それこそが誠が真に誇る才能だった。
 誰も彼も味方に引き入れてしまうチート能力。
 本人はヘッポコでも、凄すぎる周りが助けてくれるというとても他人任せな能力だ。
 誠は異世界にせっかく来たのだから、きっと自分にも勇者的な格好いいチート能力があるのではないかと密かに期待していた。
 だが、実際には持っていた能力は本人が知ったら、ちょっと落ち込みそうな物だった。
 いや、潜在能力は高いのだが、高すぎて自分では使えないのだから、全く持って意味がない。

「白、お前やっぱりいい奴だな!」

 誠はそう言うとガシガシと白の頭をふさふさした柔らかい毛を撫でた。
 それを当然の様に気持ち良さ気に白は受け入れていた。
 それを見ていたレインと空は解っていたつもりでも驚きを隠せない。
 だって撫でた相手は、聖獣の中でも四聖獣の一角神虎である白虎。その存在は精霊王にも勝るとも劣らないのだから。
 二人は思い掛けず強力な加護がついてしまった。
 まあ、それも誠がいてこそなのだが、二人は誠から離れる気が無いので何も、問題がない。

 規格外なのは誠なのだが、それすらも本人は全く欠片も気付いていない。
 アホ面で人間L○Dというおまけ付きだ。

 二人は気付いていないが、風の精霊王が当てにしているのは誠本人には使うことができない莫大な量の魔力と魅惑の力だった。
 精霊王ですら、復元が難しい世界樹も誠がいれば再生が可能かも知れないと人知れず考えていた。
 そうなれば、これから生まれてくる精霊全ての生みの親になるのだが、それすらも誠なら良いのでは?と風の精霊王は考えていたのだ。
 その時点で既に風の精霊王ですら誠の魅力に魅惑されているのだが、その呪縛ですら心地良かった。
 だが、その他の精霊王は人間が精霊樹を生み出す事に反対するだろう事も解っていた。
 精霊樹、人間界では世界樹とも呼ばれている生命を生み出す母なる樹木。
 だから、先を急いでいたのだ。
 消して邪魔をさせないために。

「そうと決まれば、精霊達を助けに行こうぜ!」

 先頭の誠は深紅の瞳に深紅の髪、そして発光している体という変な、でも満面の笑みでまた歩き始めた。
 本人は気付いていないが、身体を包み込む光が先程とは比べ物にならない程強くなっている。
 まるで、誠の喜びに反応しているかのようだった。
 そのせいか周りに大量に精霊たちが集まってきていた。

「何ていうか、誠様は誠様ですよね」
「理解出来ないのを理解しようとしても無駄よ。それは世界って何で出来たの?って聞いているのと同じだわ」
「誠様は世界の成り立ちと同じですか……」

 神妙な顔付きの空に対し、何処か懐かしむ様なレイン。
 そんな声等聞こえていない誠は、歩きながらはに声をかけた。

「なあ?白、白はじっちゃんと旅をしていたんだろう?」
「唐突にどうした?」
「いやさ、どんなところに行ったのかなあ~何て、ちょっと思っただけだ」
「……そうだな、色々な場所に行った。世界の果てや、下界に天界。あやつは怖い者知らずだからな」

 楽しかった思い出を語る様な白に、誠は『じっちゃんはいいなあ』と呟いた。

「そなたも行けば良い」
「白は俺にも付き合ってくれるか?」
「ああ、お前となら面白いだろうな」
「じゃあさ、樹を植えたら一緒に行こうぜ!約束な‼」

 ニカッと笑う誠は、何処かあの日の龍人を彷彿とさせていた。
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