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プロローグ
しおりを挟むこの国には最強の騎士と称えられる王宮騎士団長が存在する。
彼は若くして幾千の兵の中を単騎特攻を仕掛けて敵将の首を刈り取ったとか、その功績で公爵にまで上り詰めたと色々と噂は絶えない彼が実は童貞だったなんて誰が知るであろうか。
女の噂はなくとも、冷酷無慈悲を差し引いても有り余るほどの美丈夫のため、女性のお誘いはたえないはずなのだ。
だからこそ初めて……なんて気づくはずもなく、酔った勢いで一夜を共にした翌朝、責任を取って結婚をしろと求婚されるなんて予想外の展開すぎる。
そんな展開に困惑してる令嬢、一応身分的には伯爵令嬢だから、平民に比べたらまだ公爵である騎士様とは釣り合いが取れないわけではない、取れないわけではないが、彼女には彼と結婚したくない理由があった。
そうそれは─────推しには触れるべからず、推しと恋愛はご法度と本人が決めていたからだ。
それなのにではなぜ、推しと一夜を過ごしてしまったのかというと、酔っていた。ただ、その一言に限る。
ときにお酒は人を悪い方向に酔わせてしまうらしい、酔いでタガが外れてしまいまんまと持ち帰られてしまった訳だが、実はこの騎士様、彼女に昔一目惚れをしていて密かに思いを募らせていたのだ。
だからこそこのチャンス逃してなるものかと持ち帰り、さっさと既成事実を作って囲もうという腹積もりなのだが、そんな事実を知らない彼女はどうしたらいいか戸惑っていた。
どう考えても断れる雰囲気ではないこと、断れば脅迫されそうであることに。
そう仮にも自分は伯爵令嬢だ、伯爵令嬢が一夜の淫らな行為に耽ったとあれば勘当待ったナシである。
それだけは避けたい、令嬢としての礼儀などは学んでいても一般的な教養は無いのだ。
平民がどうやって生きていくのか、それすら知らない自分が勘当などされたら明日には魔物の餌になりかねない。
そんな危機的状況は避けたいが公爵との結婚も避けたい、嗚呼、願うなら昨日に戻りたいと心の中で泣くしかない彼女の心境はいかに。
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