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葉山さんが出張です。①
しおりを挟むあれから葉山さんの1週間の出張が決まり、出張先では付けなくていいと私は言ったのに、葉山さんは納得してくれなくて、毎日寝る前に電話をしたあと、貞操帯を付けた葉山さんの写真が送られてきた。
その姿を見ると、幸せだという感情と変な気持ちになるから、もしかしたらだけど、私は変な扉を開いたかもしれない。
今まで私は自分をSだなんて思ってなかっただけに、衝撃の真実だけど、実際どうなんだろう?
少しだけ自分の性癖に悩むけれど、深く考えてもしかたないと考えるのを放棄した。
ただ、私達の関係性は間違いなく貞操帯1つで変わった……と思う。
前ほど葉山さんが女性といる所を見ても嫉妬をしなくなった。
葉山さんが貞操帯を付けてくれてる、そう思うだけで私しか知らない彼の秘密に優越感さえ覚えるほどだ。
それがいい傾向なのか、私にはわからないけれど。
なんで葉山さんはここまでしてくれるのか、私にはわからないし、葉山さんはすごくモテる。
出世頭で若くてカッコよくて背だって高いし、声もいい、それに物腰も柔らかで人あたりだっていいんだから当たり前と言えば当たり前だ。
私の取り柄なんて葉山さんに比べたらなにもない、ただ、健康だけが唯一の長所だと自分では思ってる。
客観的に見ても私と葉山さんが釣り合ってるとは思えないから、余計に不安になるんだろうな。
私がもっと仕事出来ればとか、可愛いければ、こんな不安なんてなかったと思う。
自分に自信が持てないのは、過去の失敗体験からくるものだって、わかってるのに恋愛に関してはネガティブになるのはやめられなかった。
1人で家にいるとネガティブになりやすいのは、わかってるのに、葉山さんからの連絡がくると思うと出かける気も起きないから、負のループの完成。
友達といれば、少しは気が紛れるかもなのに。
今日も私は葉山さんからの連絡を待って、定時ですぐにあがって家で待機している。
お風呂もあがり、食事もすませてもまだ7時頃、葉山さんからの連絡は8時くらいだから、時間あまってるからスマホでも弄ろうと手に取ると着信音が鳴り響く。
ディスプレイには葉山と表示されていて、慌てて電話に出たから声がひっくり返った。
「も、もしもし!? 」
「ふっ、ふふ、なにをそんなに慌ててるんだい? 」
「だっ、だって、いつもその8時くらいだから、今日もそうなのかなって……」
「ああ、すまないね、今日は少しばかり早く終わったから、声が聞きたくてかけてしまったんだ、今大丈夫だったかな? 」
「大丈夫です、私もその……葉山さんの声聞きたかったので嬉しい」
「ふっ、それならよかった、今日は仕事でミスしなかったかい? 」
揶揄うような口調でそう言われると、そういえば、昨日ぼんやりしてて仕事をミスした話をしたことを思い出した。
ぼんやりしてた理由なんて葉山さんにあるのに、この人は意地が悪い時がある。
それでも、嫌いになれないし、むしろ、大好きなんだから私はやっぱりSじゃないなと、ひとりでに納得した。
「もう、今日はミスしてません! それにミスしたのだって、葉山さんが……」
「私がどうかした? 」
「しらばっくれないでください! 葉山さんが昨日お昼頃にあんな写真送ってきたから……」
「……ああ! ふふ、あれを見て興奮した? 」
「し、知りません! 」
電話越しでも伝わる楽しげな声に拗ねたような声を出してしまう。
だって、本当に昨日の仕事のミスは葉山さんが原因なのだ。
葉山さんから、お昼休みに電話があって切った後にまさかあんな……、思い出しただけでも恥ずかしくて頬が火照るのがわかる。
挑発的な表情に、はだけたYシャツからは鍛えられた腹筋が見えて、その下はベルトが緩められて、そこからちらっと覗く貞操帯、そんな写真を送られて冷静でいられるほうがおかしい。
葉山さんがいつまでも笑うから、ますますむっと眉間に皺が寄る。
「笑いすぎです! 葉山さんのいじわる! 」
「あはは、いいねそれ、ベッドの中で聞きたいな」
「……ッ!? 」
低く掠れた色気たっぷりの声音で囁かれて、どくんと鼓動が高鳴る。
葉山さんは目の前にいるわけではないのに、彼の熱を体が覚えていて期待してしまう。
ぶんぶんと頭を振って、瞬間移動でもできないかぎり葉山さんと今すぐ会うのは無理なのだから、期待しても無駄よ!と自分を叱ることしかできない。
そのあとも葉山さんにからかわれたりしたけど、楽しい電話の時間は圧倒いう間に終わりを告げて、送られてきた写真を確認すると驚いた。
昨日の昼間よりさらに大胆に、貞操帯しか身につけてない葉山さんがベッドの上で横になって惜しげもなく肌を露出していたから。
その目は捕食者のそれで、写真だというのに伝わってくる私が捕食される側なのだと。
写真をまじまじと見てると葉山さんから今度は動画が送られてきた。
なんだかそれに変に緊張して、ゴクリと喉を鳴らして動画の再生ボタンを押して私は後悔することになった。
だってそこには……。
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