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番外編
4話 見つけた。
しおりを挟むヴィルは予想通り、人間界に暮らしていて、両親は他界したらしいという情報を得たが信じられなかった。
人間の女が死ぬのはまだわかる。だが、魔王が名を与えた淫魔が何故? 魔族は人間に比べると寿命が長い。
魔王に名を与えられたら、なおさらだ。
ヴィルの親が死んだ原因はなにかあるはずだと部下に探らせてる間に、俺は人間のフリして、ヴィルの様子を見に行くことにした。
人間界に足を踏み入れたのは、あの事件が起きて以来だ。
人間の国王の元でヴィルは門番として働いてるという情報を頼りに、来てみれば驚いた。
あの以前のヴィルの様子とは違ったからだ。
明るく人懐こかった彼の姿から想像はできない地味な姿に。
不思議でしかたなかった。
なにがあれば、ああなるのか。
原因を知りたくなり、認識阻害の魔法を自身にかけて、注意深く観察してると平凡な門番としての生活に不満を抱いてる様子はない。
ただ、あることに気づいた。ヴィルがしてるネックレス、あれは特殊な魔法陣が組み込まれてる。
ヴィルを観察してわかったことは、本当にそこらへんの人間となんら変わらない生活を送ってること。
朝早くに起きて身支度を整えて出勤、それから、門番を交代して門に立つ。
昔の愛想の良さを考えると驚くくらい、愛想もいいとはいえない。
笑ってる姿をあまり見ないのが気になるところだ。
そうして、1日門番として働いてトラブルがなければ、交代の者と入れ替わりで帰路につき、家で両親の写真になにやら話しかけて、食事をしてあとは寝るだけだ。
恋人らしき存在も友人と呼べる人間も少ない、その様子に違和感を覚える。
あのまま成長してれば、間違いなくヴィルは誰からも愛される存在になっていたはずだ。
それなのに、魅力的なはずの容姿も長めの前髪によって目を見ることもできず、整ってる顔立ちが隠されてる。
服も門番という職業柄地味な鎧を着てるだけで、私服も冒険者のようないたってシンプルなものだ。
あれではヴィルの魅力に誰も気づくはずがない。
親の教えか? 可能性は否定できないな。
あのネックレスは間違いなく魅了を封じるものだろう。
ハーフだから、人間として暮らさせるために人間として必要のないものを封じたということか。
しかし、両親の死はなんだ? あの淫魔が簡単に殺られるとも思えないが……。
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