イケナイ恋

佐々蔵翔人

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方針

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幼少期
私は日本一大きい水瓶湖《みずがめこ》の近くにある杜端《もりはし》という街に住んでいる。周りを見渡せば渓流や森林が溢れ子育てをするには持ってこいの場所だが街に出ようと思うと同じ滋賀県に行くよりも京都に行った方が早いため、杜端に住む人達は遊びに行くにも仕事を選ぶ際も滋賀よりも京都という人が少なくない。
杜端駅という単線があり、15分に1本で電車は京都府の星河駅に向かって走っている。最寄り駅には小学校から大学まで系列をもつ星河学園がある。
私は自然豊かな場所で育ったおかげか男の子と混じってよく木登りや渓流近くで石を投げて遊ぶなどをして家に帰ってはケガをして泣いて病院に連れて行ってもらうことが多かった。
ある日、テレビで新発売のお人形セットが発売されるとCMでやっていてママは私に声をかけた。
綾咲、テレビでやっているお人形セット買ってあげようか?
私はお人形セットいらない。それよりも男の子たちと木登りや渓流で石投げて遊ぶ方が楽しいから。とはいえ本音でお人形セットを欲しくないといった訳では無い。そう言わざるを得ない状況だった。
それは私の住む杜端は女の子が圧倒的に少なく、年の近い女の子でも中学生で同い年くらいの子はみんな男の子で中学生の女の子が幼稚園児のお人形遊びに付き合ってくれる訳でもなく、同い年の子と遊ぶとなると男の子と合わせて遊ぶしかなかった。
ママは私の顔を伺いこう問いかけた。
綾咲、ホントは欲しいけど遊ぶ相手がいないから痩せ我慢してない?近くの女の子といえば中学生の彩美ちゃんしかいないからね。そうだ、ママと一緒にお人形セットを買ってお人形遊びしようよ。
私はママの言葉に嬉しかったが拗ねて別にお人形セット欲しくない。それなら「同い年くらいの女の子友達が欲しい」無理難題を言ってふてくされていた。
極めつけなのは親戚は男の子で女の子といえば女子校生の子が1人いるだけだ。幼稚園児と高校生、仮に買って遊ぶにしても高校生が幼稚園児に合わせて遊ぶということになり、幼稚園児だが変に気を遣っていた。
じゃあ幼稚園では女の子がいないかというとそうではない。近くの山の麓《ふもと》にある幼稚園に行くと女の子はいるにはいるがそこでは決まったことしかやらず自由かというと自由ではない。幼稚園が終わればバスで家に帰るがみんな家が離れていてとても遊びに行くには遠すぎる。
私の願いは1つ、それは早く小学生になりたいと言うこと。なぜならば幼稚園は山の麓にあるのに比べて杜端小学校は家から近く通える範囲が決まっていて遊びにも行けるし、なりよりもランドセルを背負って学校に行くのが楽しみで仕方ない。

小学生入学
私は杜端小学校に入学した。自分が小さいからなのか6年生かとても大きくて怖い印象を持っていた。
真新しいランドセルを背負い校門をくぐり新たな出会いに胸を踊らせていた。教室にランドセルを置いて体育館に向かった。
校長先生から市議会議員の人まで祝辞を貰い入学式が終わり、再び教室に戻っていった。
まずは始めが肝心、女の子の友達を作らなくてはと気負っていたものの恥ずかしがり屋で照れ屋の私は中々自分から声をかけることが出来なかった。では相手から話しかけられるのを待ってみるのはどうなのか。ひとまず相手から声をかけてくれるのを待っていた。
入学式から1週間、学校にもだいぶ慣れてきた頃私の事を呼ぶ声が聞こえた。綾咲ちゃんおはよう。
あ、おはよう。え、何を話したらいいのかな……?
始めまして谷川美乃里《たにがわみのり》ですと丁寧に挨拶をしてくれる優しくておさげをしている女の子だった。
綾咲ちゃんってかわいい名前だねと笑顔で話しかけてくれた。私は笑顔でありがとう。美乃里ちゃんもかわいい名前だねとお互いに名前を褒め合っていると綾咲ちゃん、よかったら私とお友達になってくれない?私の周りには男の子ばかりで遊ぶ友達がいないからお願い。
その言葉を聞いた私は願ってもないチャンスがやってきて美乃里ちゃん、こちらこそお友達になって。私も周りには男の子しかいなくていつも木登りや渓流で石を投げて遊ぶとかばかりで女の子とごっこ遊びしてみたくてさ。
2人は目を合わせて頷いた。
この瞬間、私は美乃里という女の子友達が出来た。
家に帰ってママにそのことを話すと笑顔でずっと女の子の友達が欲しいっていっていたからよかったね。美乃里ちゃんにいつでも家に遊びに連れて来ていいよと優しく抱きしめた。
この温もりを忘れることはきっとないだろう。
私はこの日から授業が終わる度に美乃里ちゃんの所に行って喋っていて昼放課には2人で図書室で本を読むことや外で一輪車で遊びをしていた。
美乃里ちゃん、よかったら私の家に遊びに来ない?人見知りの私が友達を誘う日が来るなんて思いもしなかった。
美乃里ちゃんはえ、いいの?綾咲ちゃんの家に行きたい。いつ遊びに行けばいいのかな?
私は今日でもいいし、明日でもいいよ。
帰っていきなり遊びに行くのは申し訳ないから明日にしようかな。私、人見知りだから綾咲ちゃんから誘ってくれてホントによかった。
美乃里ちゃん人見知りなの?その様には思えなかったよ。私に声をかけてくれたのに。
それは綾咲ちゃんが話しやすい雰囲気あったからだよ。話しかけて無視されたらどうしようと思っていて。明日、何か持っていった方がいいものある?
そうだね~、私の家に来てもあそぶものないからな。お人形セットとかあったら一緒に遊べるかな。
美乃里は分かった、じゃあお人形セット持っていくね。何時にどこで集まる?
午後4時に学校近くの公園に集合しよう。公園から家まで案内するからさ。
2人は家に帰りその旨を伝えた。
綾咲は明日友達の美乃里ちゃんが家に遊びに来ることになったから宜しくね。ママは美乃里ちゃんのお家はどこ?車で迎えに行くよ。
公園で待ち合わせしているから一緒に家に来ようかなって思っているよ。何かあった?
ママも美乃里ちゃんに会ってみたいから公園まで車で行くよ。今日でもよかったのにどうして明日遊ぶことになったの?
私は美乃里ちゃんから帰っていきなり遊びに行くのは申し訳ないから明日にしようっていう話になったよ。早く明日にならないかな~。
ママは明日綾咲が学校行っている間に美乃里ちゃんが遊びに来るからケーキ屋さんでシュークリームとケーキ買ってきてあげるから楽しみにしていてね。
私は思わずママありがとう。シュークリームもケーキも好きだから楽しみ。美乃里ちゃんに言ったらきっと喜ぶと思うよ。
綾咲、ケーキのことは美乃里ちゃんにナイショにしておいてね。先に言うよりもサプライズの方が綾咲も嬉しいでしょ?
うん、たしかにママの言う通りだね。美乃里ちゃんにはナイショにしておくね。
翌日、学校に行くと美乃里ちゃんが私のもとにやって来て学校終わったら沢山遊ぼうね。こんな早く女の子のお友達が出来てお家に行くことが出来て嬉しい。
それは私の方だよ。今日の美乃里ちゃんの着ている水色のワンピースかわいいね。
綾咲ちゃんありがとう。昨日ママがお友達の家に行くならかわいい服を着ていった方がいいよねって服を作ってくれたの。このワンピースまるで水玉模様みたいな感じでかわいくて学校にも着て行くってママに駄々こねて困らせちゃった。
いいなあ、私もママに洋服作ってもらおうかな?
綾咲ちゃんもそうしなよ。もし作ってもらったら私に見せてね。そうだ、服を作ってもらったのを着て2人で写真を撮るっていうのはどうかな?
私は美乃里ちゃんそれいいね。じゃあママにお願いしてみるね。何を作ってもらおうかと考えると楽しい。私たち女の子だなって思う。
「キーンコーンカーンコーン」
授業が終わり私は美乃里ちゃんに声をかけた。ランドセルを置いたら公園で待っているね。うん、分かったランドセルを置いたらスグにお人形セット持って公園に行くね。
私は家に帰り車でママと一緒に公園に向かい、美乃里ちゃんを待っていた。しばらくすると美乃里が公園にやって来た。
美乃里ちゃん~、こっちだよ。車の窓越しから手を振って車に乗って。
美乃里は車に乗りこみ挨拶をした。
始めまして谷川美乃里です。いつも綾咲ちゃんと仲良くさせてもらっています。わざわざ迎えに来ていただきありがとうございます。
美乃里ちゃんスゴいしっかりしているね。じゃあお家に行こうか。ママは様子を見ると何故同い年なのにこんなにも違うのかと悟った。
家に着いて2人でお人形遊びをしているとママがシュークリームとケーキ、そしてオレンジジュースを持ってきてくれた。
綾咲ちゃんママありがとうございますと1度立ってお辞儀をした。聞こうかどうか迷っていたがママは美乃里に尋ねた。
どうして美乃里ちゃんはそんな礼儀正しいの?
美乃里は小さい頃から礼儀だけはしっかりしなさい。ありがとうとゴメンなさいの気持ちを常に持つようにって言わてきました。
私もママもそうだったのか。ママはウチの方針も勉強が出来なくても挨拶や礼儀が大事だと教えているけれどご家族の教えがいいなって思うよ。
そして気がつけば日没になり美乃里ちゃんは今日はお邪魔しました、また遊びに越させていただきます。綾咲ちゃんまた明日学校で会おうね。
美乃里ちゃん家まで送っていくよ。案内してくれる?ありがとうございます。ではお言葉に甘えてと車に乗り美乃里は自宅を案内した。
美乃里は車を降りてありがとうございますと一礼して家に入ろうとするとちょっと待ってお母さんに挨拶したいから呼んできてもらえるかな?
ちょっと待ってください、ママ~綾咲ちゃんのママがお話したいって。
家の奥から美乃里の母がやって来た。
今日は美乃里がお世話になりました。
いえいえこちらこそ遊びに来ていただきありがとうございました。それにしても美乃里ちゃんスゴいしっかりしていますね。
そんな風に言っていただきありがとうございます。我が家の方針としては教養よりも挨拶や礼儀の方が大事だなと思っていて挨拶されて不快になる人はませんし逆に挨拶しないとこの人感じ悪いって思うので。綾咲ちゃんのお家はどういった感じですか?
ウチも谷川さんのお宅と同じく教養よりも挨拶や礼儀の方が大事だなと思っていましたが美乃里ちゃんの姿を見て親として見習うことばかりでした。
改して勅使河原です。今後とも宜しくお願い致します。
勅使河原さん、今度は是非ウチに遊びに来てください。綾咲ちゃんに宜しくお伝えください。
ママは車は乗りこみ家に帰って行った。
家に帰り私はママに洋服を作って欲しいとお願いをした。美乃里ちゃんが着ていた服はお母さんに作ってもらった服って言っていて私もママにお洋服作ってもらって一緒に写真撮ろうって約束しちゃった。
お洋服作るのはいいけれどワンピースがいい?スカートがいい?綾咲が好きな生地を選んで。
そうだね~、じゃあこの黄色でミニスカート作ってくれる?
ママはメジャーを持ってきて採寸をすると後はママがやっておくから綾咲は寝るように。なるべく早く作っておくね。
ママ、ありがとう。大好きだよ。そう言って自分の部屋に行ってベッドで寝た。
翌朝、綾咲こっち来てとママに呼ばれた。
ミニスカート作ってみたから履いてみてよ。
私は早速ミニスカートを履いて鏡を見るとかわいい。ねぇ、ママ似合っている?
似合っているよ。今日早速履いていく?
え、いいの?今日履いていって美乃里ちゃんに見せてあげたくてさ。
私は白のシャツに黄色のミニスカートを履いて学校に行くと美乃里ちゃんが声をかけてきた。
綾咲ちゃんそのミニスカートかわいいね。もしかしてお母さんに作って貰ったの?
うん、そうだよ。昨日帰ってからお願いをしたら作ってくれたの。それを美乃里ちゃんに見せたくてさ。に、似合っているかな?
美乃里はとても似合っているよ。よかった今日ウチにおいでよ。一緒に写真撮ろうよ。
でもそんないきなり押しかけて迷惑じゃない?
大丈夫だよ。学校終わったらそのまま行こうよ。
ママに言ってないから1度家に帰ってから行くね。
授業後にランドセルを置いて歩いて美乃里の家に向かった。
「ピーンポーン綾咲です、美乃里ちゃん来てますか?」
ガチャ、綾咲入って。早速写真撮ろう。
美乃里の母親はデジカメで写真を撮って今から写真を印刷するから2人で冷凍庫にあるアイスクリーム食べて待っていて。
美乃里は冷凍庫からアイスクリームを2つ取り出して食べてお互いにどんな仕上がりだろうねと話していた。アイスクリームを食べ終わりまだ時間がかかりそうだからとマンガを読んで待っていた。
美乃里ちょっと来て~。写真出来たよ。
2人でリビングに向かい写真の出来を見るとかわいい~、ママありがとう。私も写真を撮っていただきありがとうございます。1枚写真をもらいお邪魔しました、これからも仲良くしてくださいと頭を下げて家に帰って行った。

部活動
私と美乃里ちゃんは小学校4年生になっていた。入学してすぐに仲良くなってクラスが分かれたりして1年だけの友達だと思っていた私は4年生まで友達でいてくれるとは思いもしなかった。
4年生で再び同じクラスになった。綾咲ちゃん~、話があるけどちょっといいかな?
うん、美乃里ちゃんどうしたの?
私たちも4年生になって部活動が始まるけれど何部に入るか決めた?
そっか4年生になったら部活動に入らなきゃいけないのか。何も決めてないけれど美乃里ちゃんは何部に入りたいとかあるの?
私も特に決めてないし学校も小さいから沢山あるわけではないから絞らなきゃいけないね。運動が得意じゃないから文化系の部活に入部しようかな。
私は今日すぐに決めなきゃいけないことでもないし明日から2人で文化系の部活を見て周ろうよ。それで幾つか候補を決めてその中から決めたらいいかな。
たしかに綾咲ちゃんの言う通りだね。じゃあそうしよう。正式な入部届は5月末に出せばいいからさ。
翌日から2人で文化系の部活を周ることになった。
初日は合唱部の体験入部に行って楽譜を渡されて先輩たちと共に一緒に歌っていた。
2日目には科学部の体験入部に行って植物の成長を観察して記録を付けていてその姿は理科の延長線にも思えていてなんだか楽しそうだなと思っていた。
3日目には華道部の体験入部に行ってお茶の点《た》て方や華を生けるといった部活で不器用な私には難しいと思い、断念をした。
4日目にはパソコン部の体験入部に行って自分でホームページの制作やゲームを制作するという活動をしていて美乃里ちゃんも私も機械には疎く候補に挙がらなかった。
他に文化系の部活はなく必然的に合唱部と科学部に絞られて私はどっちにしようか考えていた。美乃里は私に綾咲ちゃん合唱部と科学部どっちに入部する?
そうだね……。仮入部を通して決めようかなって考えているけれど美乃里ちゃんはどうする?
とりあえず合唱部に入ろうと考えているよ。綾咲ちゃんも一緒に合唱部、仮入部しようよ。
そうだね、私も仮入部で合唱部に入部するよ。
私は美乃里ちゃんに流されるように合唱部に入部することになったがこれが私の将来に関わることになるとは思いもしなかった。

入部
私と美乃里ちゃんは仮入部で合唱部に行って先輩たちも優しく教えてくれて男性顧問の河端先生も私たち新入生に対して丁寧に指導してくれた。
同じ新入部員の私と美乃里ちゃんだが早速差が出てしまった。それは美乃里ちゃんは楽譜を読めるのに対して私は全くといっていいほど楽譜が読めない。これでは美乃里ちゃんにも先輩たち迷惑をかけることになると思い私は部活後に河端先生のもとに駆け寄った。
河端先生、私合唱部辞めようと思います。
すると勅使河原は歌を歌うことが好きじゃないの?
いえ、そういう訳ではなくて同じ新入部員の美乃里ちゃんは楽譜が読めるのに私は読めなくてこのまま合唱部にいたら先輩たちや先生に迷惑をかけることになるので。
なんだそんなことか。勅使河原は入部してどれくらいになる?
私は2週間です。
そうだよね。先輩たちも最初は楽譜を全く読めずに入部してきた人たちも多くいるよ。先生は音楽を始めたのは中学生の時だったから小学生時代は全く楽譜を読めなくて音楽の授業でクラスメイトに笑われてそれがトラウマになったよ。それを考えたら自分が出来ないことを小学生で知れた勅使河原はスゴイと思うよ。楽譜の読み方なら俺でも先輩でも谷川に聞けばいい。もう少し合唱部でやってみないか?それでも他にやりたいことを見つけたらなら無理には止めないよ。
それを聞いて私はもう少し合唱部にいようと思います。美乃里ちゃんが待っているのでこれで失礼します。
綾咲ちゃん、河端先生と何話していたの?
美乃里ちゃんは楽譜読めるのに私は楽譜読めないから合唱部にいたら迷惑だから辞めますって話していたよ。
ホントに辞めちゃうの?私も楽譜全部読める訳じゃないけれど教えられることがあれば綾咲ちゃんに教えてあげるよ。それで河端先生から何て?
先生や先輩、美乃里ちゃんに聞いたらいいよ。もう少し合唱部で頑張ってみてそれでも他にやりたいことを見つけたらなら無理には止めないよって。
私もそう思うよ。綾咲ちゃんがいない合唱部なら私も辞める。一緒に頑張ろう。
私は河端先生や美乃里ちゃんの言葉もあり私はもう少し合唱部で頑張ることに決めた。

嫌がらせ
1年生の時にママにミニスカートを作ってもらって以降もワンピースやシャツを縫って作ってもらうことが多くなった。理由としては近くにアパレルショップがない上にネットで注文すると送料が高く、あまり外に出て買いに行ったりネットで注文することはそれ程多くない。
私はお店でネットでかわいい服を買うのも好きだがそれは誰でも買えるがそれよりもママが塗って作ってくれるかわいいものの方がオリジナルで自分だけの1着を着れるという特別感があり、よく作ってもらっていた。
そんなある日、私にとって悲しいことが起きた。
それはママが縫って作ってくれた赤色のワンピースを着ていていつもなら美乃里ちゃんと一緒に移動するがこの時は私が理科ノートを忘れて1度教室に戻って美乃里ちゃんに先に行くように伝えた。後を追うように私も理科室に向かう途中階段を登っているとワンピースが舞った。
待って、今何が起きたの?あまりのことで足が動かず涙を流してその場で立ち竦《すく》むことになった。そのうちチャイムが鳴るもの動けずにいた。
授業が始まり美乃里ちゃんがやって来て綾咲ちゃんどうしたの?泣いているけど何かあった?
ゴメン、今すぐ喋れない。でも授業行かなきゃいけないけれど足が動かなくて……。どうしよう。
今、綾咲ちゃんの状態では多分授業受けられないから私が先生に体調不良で保健室に行くって伝えておくからちょっと待っていてね。その後保健室連れて行くからさ。
美乃里ちゃん……ありがとう。迷惑かけてゴメンね。
美乃里は理科室で事情を伝えると勅使河原の傍にいてあげて欲しいと言われた。綾咲ちゃん遅くなってゴメンね、先生が傍にいてあげてって言われたから一緒に保健室に行こう。
私は泣きながら美乃里ちゃんと共に保健室に向かった。ねぇ、綾咲ちゃん何があったの?
私は美乃里ちゃんに事態を説明をしなきゃいけないが声が出ずにいた。
保健室に着くと美乃里ちゃんが先生に階段で泣いていたので一緒に来ました。何があったか聞いても答えてくれなくて心配です。
保健室の先生が何があったのか聞くと私は近くにあった紙に指を指して出来事を紙に書きたいとジェスチャーで伝えた。
「理科室に向かう途中で階段でワンピースがフワッと舞った」
美乃里ちゃんと保健室の先生はこれってスカートめくり?綾咲ちゃん相手の顔は見てない?
私は紙に急いでいて見ていないと筆談をしていた。
美乃里は保健室の先生に誰がこんなことしたと思いますか?
多分やったのは男の子だと思うけれど理由としては勅使河原さんのことを秘かに好きでやったかイタズラでやったかのどっちかだね。
谷川さん授業に戻っていいよ。
いえ、先生から綾咲ちゃんの傍にいてあげるように言われたので傍にいます。
しばらくするとぐぅ~とお腹が鳴った。
保健室の先生から4時間目が終わったら教室に戻って給食食べな。お腹がいっぱいになれば少しは元気になると思うよ。それでも声が出なかったら保健室で休みな。大丈夫そうならそのまま授業受ければいいし。
4時間目のチャイムが鳴り、私と美乃里ちゃんは教室に戻って給食を食べていた。
私はお腹がいっぱいになったこともあり声が出るようになり授業を受けることにした。話を聞いてもらい少し気が楽になり掃除後に保健室に向かった。
失礼します、4年生2組の勅使河原です。先程は話を聞いてもらいありがとうございます。
勅使河原さんさっきよりも顔色良さそうだね。今日みたいに何かあったらいつでも話を聞くから相談しに来てね。早くやった人見つかるといいね。
この日の授業が終わり音楽室に向かった。
部活でこの日の鬱憤《うっぷん》を晴らすようにいつもより大きな声で歌っていると顧問の河端先生から呼ばれ、勅使河原は部活後に残るように。今は大きな声を出せばいいって投げやりになっているからもっと周りに合わせるように。みんなもう1回。
私はこの時、先生には全部見透かされているような感じでスゴいな。とはいえ自分の感情だけで周りに迷惑をかけるなんてことをしてはダメだと感じていた。
部活が終わり私は河端先生に呼び出された。
勅使河原、今日はらしくなかった。何があったかは分からないが感情を込めて歌うのと大きな声を出すのとでは意味が違う。何かあれば相談に乗るよ。
私は今日のあったことを話すかどうかを躊躇(ためら)っていたが話すことにした。実は理科室に向かう途中で誰かにワンピースがフワッと舞って足が動かず涙を流していて美乃里ちゃんが保健室に連れて行ってもらい声が出なかったので保健の先生と筆談していると男の子が理由は分かりませんがスカートめくりじゃないかっていう話になりました。それでつい鬱憤《うっぷん》を晴らすようにいつもより大きな声で歌いました。個人的な感情で先生や先輩たちに迷惑かけてすみませんでした。
練習のことはこれからどうにかすればいい問題だけどそのスカートめくりした人を洗い出して謝らせないといけないな。嫌がらせなのか振り向かせるためにやったのかは分からないが勅使河原のことを考えると相当つらかったよな。先生が犯人を見つけるから心配するな。
河端先生、ありがとうございます。美乃里ちゃんが待っているのでこれで失礼します。
私は美乃里ちゃんと共に帰り、美乃里ちゃんに今日は迷惑かけてゴメンね。気にしないで、そんなことより綾咲ちゃんの顔色がよくなったことの方が嬉しいからさ。頼りないかも知れないけれどもしまた何かあったら私に言ってね。愚痴でも相談でも乗るからさ。
美乃里ちゃんありがとう。一生仲のいい友達でいようね。約束だよと私たちは指切りをしてそれぞれの家に帰って行った。

犯人発覚
翌日、6時間目が終わり音楽室に行こうとした。
するとチャイムで「4年2組の勅使河原さん至急生徒指導室に来るように」
何故私が呼ばれたのか分からなかったがふと我に返ると昨日の犯人が分かったのかもと会議室に向かった。
相手は隣りのクラスの男の子でやった理由としては急いで走っていたから勢いでいけると思ったと話している。
出来心とはいえこのようなことをしてホントに申し訳ございません。もう2度とこのようなことは致しません。許してくださいと涙を流して土下座をしていた。
勅使河原こう言っていることだしどうする?
合唱部顧問であり、生徒指導をしている河端先生が尋ねてきた。
私はしばらく考えて部活に行きたいし土下座をして反省している様子だったのでひとまず許すことにして次やったら許さないと勧告した。
私は河端先生にお礼を言って部活に行きましょうと言うと先生から今日は部活休みだよ。
私はこの日が部活の休みだということを忘れていて河端先生に仮入部が終わっても合唱部に入ります。歌で誰かに笑顔を届けたいです、楽譜も読めずに先生や先輩たちにもご迷惑かけると思いますが大丈夫ですか?
先生は私の肩を叩いて歌で人に笑顔を届けたいと思う勅使河原のその気持ちさえあればきっと聞いている人に笑顔を届けることが出来るよ。合唱は1人でするものじゃなくて部員みんなでするものだから昨日みたいなことをしていたら絶対にダメだぞ。分かったね。
分かりました。歌や勉強のこと、何かあれば相談に乗ってもらってもよろしいでしょうか?
俺でよかったらいつでも相談に乗るよ。

本入部
私と美乃里ちゃんは合唱部に入部することに決めた。
間近にコンクールがあるわけではなくまず夏休みに近所の老人ホームで歌の発表に向けて練習をしていた。
私は前の失敗を活かしてどんなに喜怒哀楽があったとしても練習には持ち込まないことを決めていた。
美乃里ちゃんや先輩たちによく綾咲ちゃんここはそうじゃなくてこうやって歌った方がいいよと優しく教えてくれてみんな優しく接してくれた。
仮入部と違い本入部となると先輩たちから1人だけ音がズレてる、なんで1人のために私たちがまた同じところを繰り返さなきゃいけないのと先輩風を吹かされると思っていたが決してそんなことはなかった。
夏休みになり、私と美乃里ちゃんの初披露でもある老人ホームで歌うと泣き出す利用者さんもいて私たちの歌で涙を流してくれる。人々が感動してくれる喜びに私自身も嬉しくなり、もっと多くの人を喜ばせたいという思いが強くなり歌に情熱を燃やすことになった。
楽譜も読めない、音も取れないと合唱をする上では致命的欠陥ばかりだが前に私がワンピースを来ていた時にスカートめくりをされたように人それぞれつらいことや人には言えない悩みを抱えているかもしれないが歌を聴いている時だけはその事を忘れて欲しいなと言う思いがあった。


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