大量チートスキルをイマイチ使いこなせない勇者〜それは召喚に巻き込まれた私でした〜

MIILU

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13商業ギルドのお嬢さま

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ふわふわで寝心地いい。

こんな朝を迎えるのは、あの時以来。

泣き疲れて起きた時のカサトの抱き枕。



「おはよーさん」

「…おは、よ」



あの時と違うのはお互い素っ裸で、それだけで気恥ずかしく気持ちいいということ。

あまり大きくない胸元を見られてるみたいで、見えないようにカサトに抱きつく。ふくれっ面でカサトを見上げると、トサカが復活していた。



「レーナ可愛ぇなー…」

「…うるさい」



そういうカサトの方が可愛いっての。

目尻下がってニコニコしちゃって。

その顔が近づいてきてキスを受け入れる。

お腹の辺りに固いものを擦りつけてきて。



「…無理だからね」

「生理現象やん…わかってるって」



本当にわかってるんだろうか?

軽くキスを繰り返し、満足したカサトは起き上がって服を着始めた。

傷だらけの素肌が隠れていく。

私はというと、身体がダルくてあちこち痛くて。

すぐに起き上がる事が出来ない。

気づいたカサトが寝転んだままの私の顔をしゃがんで覗き込んできた。



「レーナ?どうしたん?身体痛いんか?」

「うーん…ちょっと」

「んなヒール使ったらえぇやん」

「…ばか。ひとつになった証なのに、ヒールでなかった事にしたくないの!」



この満面の笑みだ。そやなそやな!って凄く喜んで私の腰を掛布の上からヨシヨシしてくれる。

ヒールで治したらこんな事してくれなかっただろうし。

作戦成功ね!ニヤリ!

ゆっくり起き上がり服を着させて貰う。至れり尽くせりで悪い気はしない。

血が付いたシーツをどうにかして保存出来ないかと考え出したカサトを睨み、クリーンをかけて綺麗にした。ガックリと項垂れたカサトの手を握り、部屋を出た。

初めてがこんなに痛い&しんどいと思ってなかった。カサトには悪いけど、腰にヒールを使っておく。

回復魔法万々歳!

朝食をとり、今日はゆっくりしようというカサトに賛成して街の中を観光した。

途中商業ギルドを見つけ、登録するにはと説明をしてくれる。

その街の商会に商品を持ち込みして、後ろ盾になってもらい、商いの何たるかを1から教えてもらう。

商いは交渉など人と話す事が一番だから、コミュニケーション力がなければ出来ない。冒険者はそういう事に長けてなく、性格に合わなければすぐにやめてしまう為、良く思われていない。たとえ良い物を開発したとしても上手にプレゼン出来なかったり生産出来なければ意味がないから、結局商業ギルドとは相容れない。



「まぁ、冒険者は力こそ、強さこそ全て!商業者はお金こそ全て!やから根本的に全く相容れへんな。冒険者は剣で稼ぐ、商業者はペンで稼ぐ。冒険者相手に商売は上手くできても、お互いの陣地に干渉すんのは無理やわ」

「…なるほど」



計算や商談を商業ギルドの下について教わらなければ自分たちで売れないのなら、今からそれは出来ないな。

カサトはそれを望んでいないから、私だけ教わるって事はないし。

街長に打診してみるという案も出て、考えを纏めてから会いに行こうと話は終わった。



「…指輪気に入ってくれたみたいやな?」



気づくと右手で指輪を触ってしまう。

カサトの機嫌が良いのは、私とひとつになれたからと、私が指輪を喜んでいるのがわかっているから。

3ミリ幅の何の装飾もついてないただの銀色の指輪。



「ほんまは宝石とか付けたかったんやけど、俺が出来るのは鍛冶であって宝飾じゃないからな、勘弁してや」

「ううん、嬉しい。結構重いけど、材料はなんなの?」

「あははー…剣から少し」

「え!そんなことも出来るんだ?」

「まぁ、やったのは初めてやったから…うまく出来て良かったわ」



照れ臭そうに言うカサトが可愛い。

私も指輪を創らなきゃね。



「ありがとう、カサト。大好き」



右手を握り込んで、開くと同じ様な指輪が現れた。

カサトの左手を取り薬指に嵌める。良かったピッタリだ。



「ふわぁぁー!俺にもついに指輪がぁ!」



もしかしてずっと欲しかったんだろうか。

言ってくれれば良かったのに。



「効果付与はしてないよな?」

「うん、してないよ」



錆防止以外はね。

カサトは効果付与があまり好きじゃない。楽をしたらどうとかの説教が始まるので、必要以上はしていない。

それに最初に渡したゴムに必要な効果は付与しているし。

ニコニコ笑顔のカサトと手を繋ぎ、デートを楽しんだ。



今日もお風呂に行こうとなり、一緒に向かう。

入口で別れ番台さんと挨拶を交わすと、番台さんの目が何故か輝いた。



「ちょっとお姉ちゃん!待ってたよ!」



え!?な、なにを?!

番台さんの声に私を見つけるなり、女の人が周りを囲む。

昨日の他の人にあげたやつをくれとか、友達に聞いたから欲しいとか言われ、とうしようとテンパっていると、



「ちょっと貴方たち!その方と話があるのはワタクシです!」



タオルに身を包み、金髪縦ロールのお嬢さまが仁王立ちで私を指差した。

周りの人はその人を見留めるなり、道を開ける。



「ワタクシ、エマ・オルテュースと申します。以後お見知りおきを」



タオルの裾を持ち優雅にお辞儀され、釣られてぺこりとお辞儀をした。

オルテュース家がどうしてこんなところに、とか聞こえたから有名な家なのかな。



「レーナ…と申します」



オームラって付けていいんだろうかと一旦躊躇し、カサトに聞いてからにしようと口をつぐむ。



「レーナ様、ワタクシと少しお話を宜しいかしら?」



身のふり方から貴族なんだろうか。私より小さく若いのに優雅に誘われ、角に用意されていた椅子に腰掛ける。

離れた所に女性たちが周りを囲み、誰も近づけなくする。



「オルテュース商会という名を聞いた事はありますか?」

「すみません。昨日ここに来たばかりで、わかりません」

「…レーナ様は本当に冒険者なのですか?そんなに上質な衣服を着ているのに…それに話し方も丁寧で」

「冒険者です。話し方は、昔からこうだから…」



一瞬驚いたエマは、すぐに凛として本題を話した。



「昨日、こちらでしゃんぷーやぼでぃそーぷという物が配られたそうですね。それはレーナ様が開発したのでしょうか?」



開発は、他の人がしたんだけど。



「……創りましたね、私が」

「それをワタクシの商会に卸してほしいのです!早急に!膨大に!」



テーブルに手を付き立ち上がったエマは、すぐに冷静を取り戻し、失礼しましたと席に着いた。

昨日ここに来たメイドが貰ったと自慢気に話していた事を聞き、それを世の女性たちに売りたいという事だった。



「実は…それを販売しようと思っていたんですけど、商会を立てようにも教養や知識もないし、時間もかかりそうなのでどうしようか考えていたんです」

「でしたら!ぜひ!」

「…でも私一人では決断は下せません。パートナーがいるので一緒に話して貰えますか?」

「了承致しましたわ!それではレーナ様!一緒にお風呂に入りましょう!」



手を引かれ、一緒に湯船に浸かる。

妹が出来たみたいで少し嬉しい。

お風呂の中では何人も平等なのですと、笑顔で自身の販売している商品の話をしてくれた。



癒し処から出ると、カサトが近づいてくる。



「遅いやんか!心配した…やん?」

「あら。レーナ様のパートナーってこの方ですの?もっとイケてる男性かと思いましたのに」

「な、なんやコイツ。レーナに腕組みしていいのは俺だけなんじゃ!!」



嫉妬?まさか嫉妬なの?

右にエマ、左にカサト。うーん、私ってモテモテ。

軽く事情をカサトに説明し、話を聞くだけならと明日オルテュース商会へ顔を出しに行く事を約束してエマと別れた。





「オルテュース商会かぁ、ちょっと、いやかなりデカイ話になりそうやなぁ」



話の意図がわからなくて、首を傾げる。



「…まぁ、何とかなるやろ」

「ん…っ」



唇を塞がれ、熱い舌が入ってくる。



「…きょう…も?」

「…毎日だって足りんわ」



ベッドに押し倒され、甘い吐息に抵抗が出来なかった。
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