大量チートスキルをイマイチ使いこなせない勇者〜それは召喚に巻き込まれた私でした〜

MIILU

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26宿敵、再び!注!血などの表現があります!

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とりあえずハルトと共に一度ライラン王国へ戻り、国王に緑龍の話をした。



「…にわかには信じられないが…」



唸ってしまったけれど、一刻も早く緋色と合流したかった私は、国王に剣と矢尻の制作を早急にしてもらうようにお願いした。

了承してくれたけど、やっぱり数日かかってしまうので、緋色に出会えたら取りに来るという話で終わった。

ハルトは国王に、レーナ様のお役に立ちたいので、任を解いてくださいと伝えた。

全てを悟った国王は親指を立て、イイ顔をして頑張れよ!と送り出してくれた。

他の地に行った事がないハルトを、アンブシュアの私の家へ一緒に転移する。



「レーナ!」

「レーナ様ぁ!」



突然玄関に現れた私達を、カサトとマルセルが出迎えてくれる。仲良くしてたみたいだね。よしよし。

抱きしめてくる二人の頭を撫でる。

私の後ろにいたハルトが対抗心で抱きしめてきた。



「あの時のエルフ…!やっぱレーナに惚れてもたか!」

「レーナ様はみんなの女神様ですよ!?対抗心など無意味なのです!」



いや、二人も結構対抗心剥き出しじゃない?

私から離れたハルトは、



「…そうですね…。私はエーバーハルト・フォン・ユグドラシルと申します。レーナ様を想う一人でございます。どうぞ宜しくお願い申し上げます」



真摯に、優雅にお辞儀するので、二人もそれに応える。



「…カサト・オームラ、第一夫で強すぎる剣士!よろしゅうな!」



ドヤ顔で親指を立てて勝ち誇った顔を見せる。



「僕はマルセル・オルテュース、女神様の第四夫です!商売の事なら僕にお任せあれ!」



指を組んで私を拝む。結局張り合っちゃってるじゃん。



「じゃあ私は…弓使いの執事でも致しましょうかね?」

「執事か、えぇやん!」

「勿論、レーナ様だけのですけども」

「僕男のエルフ族初めて見ました~」



仲良いのか何なのか。

でもとりあえず!



「ちょっとみんな!のんびりしてる場合じゃないのよ!」

「そうや!何でレーナ髪黒いままやねん?」

「実は…」



エルフの里であった事を話すと、やっと事の重大さに気づいてくれる。



「ほんなら俺とレーナで宿に行こか!」

「お待ちください!私も行きます!」

「僕は戦えないから残っています!」

「何言うてんねんエーバーハルト、お前は残っとけや」

「何故でしょうか?私は弓使いだと申し上げましたよね?お役に立てますが?」

「僕は一足先にオルテュース商会に戻っておきますね、女神様。ポーションの用意やその他諸々の用意がありますので!」



言い合う二人。マルセルは足早にいなくなった。

俺が、私がとこの時間が勿体なさすぎる。



「じゃあ3人で行けばいいじゃない!早く行くわよ!」



堪らず外に出るとハルトは追いかけてきたけど、あまりの暑さに家の中に戻ってしまった。



「な、何故?!こんなに熱いのですか?!平気なのですかレーナ様?!」



そうだ、ハルトはライラン王国とエルフの里以外には行った事がないと言っていた。



「ハルト!ごめん、とりあえずローブを創るから」



ローブを纏わせ、効果付与をする。ブーツにも付与し、髪ゴムも創って手首につける。



「さ、これで大丈夫!」

「…熱くない…」

「エーバーハルト!レーナのスキルの事誰にも言うなよ!創造魔法と効果付与や!」

「…まさか」



信じられないという顔を私に向ける。笑顔で返すと、真顔になり頷いてくれた。

家から宿まで走る。



宿のおじさんに聞くと、ビンゴ!やっぱり伝えていた。

次はカリフィネに行くと言っていたと教えられ、その足でカリフィネに向かおうと村を出ようとした時、背筋に寒気が走った。



「これ…は」



二人も感じたみたいだ。

一度感じた事のある殺意。藍雷が近くにいる。

そう思ってすぐ、背にしていた火山から大きい音が響いた。

あそこにいる。



「二人とも…先にカリフィネに行ってて」

「…俺も残る!」

「だめ!」



カサトは致命傷を受けた事があるのに、俺もと言ってくれる。強いなぁ。

その気持ちだけで、充分。



「…この前は大丈夫だったけど…次も救えるかわからない…。二人が死んじゃったら…私、きっとアンブシュアを地図からなくしてしまう」



ハルトは私の言った事がわかったみたい。

精霊女王なら、容易くできるだろうと。



「カサト、ここはレーナ様にお任せして…!」



ハルトも勝てる相手かどうか、力量を測って出した答え。

渋っていたカサトの表情が泣きそうになってる。



「…大丈夫、すぐ追いつくから。もしカリフィネに緋色たちがいなかったら、王家御用達の宿の主人に言伝しておいて。…緋色達を探す事を最優先にしてほしいの…。みんなを追って!」

「…っ!わかった……!!」



走り出す二人の背中を見送る。

藍雷が街に降りて来る前に、何とかしなきゃ。

吹っ飛ばした私をきっと怒ってる。私の姿を見たら止まってくれるだろう。



火山に近づくにつれ、熱波がちりちりと顔を焼く。ガーゼのフルフェイスをして火山を登って行くと、ダンジョンの入り口近くで藍雷を見つけた。

サラマンダーを真っ二つにして、返り血を浴びて笑っている。

大剣を振り、血を飛ばした。

こちらに歩いてくる。



「エタン・ラフォン!街には降りないで!」

「…っ!?レーナァ!会いたかった…ぞっ!」



蹴り出してトップスピードで剣を振り降ろす。

ギィンッ!と火花が散る。



「やめてよ!返り血くらい綺麗にしてから斬りかかってきて!」

「はは!相変わらず受け止めるんだなぁ!?返り血ってサラマンダーのか?!それとも…人間のかぁ?!」



こいつ、狂ってる!



「…サイテー!人を殺すなんて人間のする事じゃないわ!『ウォーターボール』!」

「おっと…!攻撃する余裕が出て来たかぁ?だがレーナ、人を殺した事のないお前は、俺様を殺す事は絶対に出来ないぃ…!」



一定以上離れたエタンと対峙する。

手がビリビリ痺れてる。

こいつ、強くなってる。



「俺様はお前を殺す事が出来るぅ!だが、それじゃ面白くないよなぁ?俺様をこんなにゾクゾクさせてくれるのは今の所お前しかいない…!もっとゾクゾクさせてくれよぉ」



エクスカリバーによって刃こぼれた部分をベロリと舐めて、舌から血が出ている。



「あんた変態なの?!」



ついに言葉に出てしまった。



「あんたじゃない。レーナ、もう一度俺様の名前を呼んでみろぉ…」

「…エタン…ラフォン…?」

「はぁあ♡ゾクゾクするぅ~♡」

「気持ち悪い!」

「いいなぁ!その顔、その声…!俺様を見つめるその目をくり抜いて…食ってやるよぉ!」



サディストなの、マゾなのどっちなの!?



「『トルネ…』」

「おっと!」



ギィン!



「…っ!?」

「同じ手には乗らねぇ…もっと俺様を楽しませろよぉ!」



ぐぐっと押され、力が負けてしまう。

何こいつ、強すぎる。勇者より強いとかありなの?!

藍色の目には光がない。苦しい表情の私を写してギロリと睨まれる。

舌なめずりをして、唇に血がつく。

大剣の刃が首筋に当たりそうになって、多重防壁を纏おうとしたその時。

ガーゼが脱がされ、顔が近づいてきて唇が重なった。

はぁぁー?!



「んんー?!」



なにしてんのよ!!

ジロリと睨むと、ジロリと返された。

唇をベロリと舐められ、背筋が凍った。

顔を背けて唇を離す。



「何す…んぅっ!?」



追ってきた舌が口中に入ってくる。

鉄の匂いがする。

舌を掬って吸い上げると、歯を立ててきた!

ガリッ



「痛…ったい!何すんの、よ!!」



力の限りエクスカリバーを押すと、エタンが少し離れた。

口の端に付いた私の血をペロリと舐めると、



「…はぁぁ…落ちつく…レーナの血はうまいなぁぁ!きっと全部うまいんだろうなぁ…もっと欲しいぃぃっ」



ちょっっと待って。

ガーゼ口に含んでない?

前垂れ持ち上がってない?!

もしかして興奮してるの?!

はぁはぁ言ってるし赤い顔で私のこと見てくるし、変態!変態でバカがここにいる!!



「…?どうして髪と目の色が前と違う…?何故黒なんだ…?」」

「…『トルネード』」

「はっ!?おい!待て!!」



竜巻は目の前のエタンを包んで、身体が浮いていく。風で身動きが取れず、下手に手を出すと弾かれて指が変な方向に曲がっていた。



「…この変態バカ!もう二度と私の前に現れないで!!」

「レーナ…!…っ!絶対に、お前の全部を手に入れてやるからなぁあ…!」



覚えてろよぉー!って負け惜しみの台詞。

はい。もう忘れました。

エタン・ラフォンって、藍雷ってなんだっけ。

舌にヒールを使い、自分のじゃない血の味に嫌気がさしながらカサトとハルトを追って走った。

変態なのに強いから厄介すぎる。

でも放っておけない。

もう、どこかで隠居とかしといてくれないだろうか。

切実に願うわぁー。
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