38 / 54
夢の中の話
しおりを挟む目覚めると日本の、自分のベッドの上だった。
スマホの目覚まし時計が鳴っている。
スケジュールには『みんなで遊園地』と書いてあった。
起き上がって急いで着替える。この日の為に新調した青いストライプの白いシャツワンピース。
洗面所に行き、顔を洗い歯を磨いてリビングに向かった。
なんだか懐かしく感じる。
両親は共働きで、小学生の時から滅多に家にはいない。
両方が揃う事もほとんどなくて、家族で遊びにいったのもいつだったか覚えていない。
両親共に私の事に興味がないのだ。
だから私も両親に興味はない。
日本には、なんの未練もない。
部屋に戻って髪を梳かしポニーテールにする。
軽くお化粧をして、戸締まりをして外に出た。
「レーナ、おはよーさん!」
「カサト!おはよー!」
外でカサトが待っててくれた。
白いTシャツにダメージジーンズで、かなりラフな格好だ。
「えぇ天気になったな!」
「うん!そうだね!みんなと遊ぶの楽しみだったから嬉しい!」
「…俺は二人きりが良かってんけどな~…」
「ん?何か言った?」
「え?何も?さ、早く行くでぇ!」
手首を取って走る。そんなに時間押してたっけ?
集合場所の最寄り駅に着くと、見知っている面々が手をあげて呼んでくれた。
「玲奈!おはよう!」
「おはよー!緋色!」
「おはよう、レーナ」
「おはよう!ドラコ、ハルト、ネージュ!あ…れ?あなたは…?」
「初めまして、俺はグリ。緋色に誘われて、来たんだが…」
「あぁ!緋色のモゴモゴ」
「あははー!玲奈!大勢の方が楽しいよね?!」
口を塞いでくる緋色の目が怖い。
白いワンピースに灰色のカーディガンで可愛く着飾ってるのに台無しだよ。
賛同する為に頷いたら手を離してくれた。
「じゃあ行きましょうか?」
腕時計を見たハルトは、長い髪を一つくくりにして肩に垂らし、白いYシャツにベージュのカーディガンを肩に掛け濃紺のスキニーパンツを履いてスラッとしている。
「レーナ…かわいい…」
ネージュはだぼっとした白い長袖Tシャツに黒いアンクルパンツ。小麦色の肌に映えている。
「ありがと!今日の為に新しく買ったんだ~!」
「…似合ってるよ。…好きだな」
「ふぇっ?!」
「その色、僕とお揃いだね」
ドラコは青いストライプの白いYシャツにベージュのチノパン。本当だ。柄がお揃いみたいになっちゃった。
「お揃いぃ?どこがぁ?レーナの方には赤も入ってますけどぉ?」
「ここの色とか同じじゃないか」
「でも…しろのほうがおおいもんね?」
カサトとドラコは仲が良いのか悪いのか。二人が一緒にいると話が進まない。
ネージュが隣にきて袖を掴む。
この二人の間に入らなくてもいいのよ?
「さ、行こ!今日は遊び倒すんだから!」
ネージュの腕に腕を絡め、先々と改札に入って行った。
後を追ってくるみんなを尻目に、ネージュは嬉しそうに頬を赤らめて私についてきた。
電車の中で、唯一空いていた私の隣を3人で取り合っていたけど、緋色が座ったが為に3人共私の前につり革を持って立った。
何乗るん?とか、疲れたら遠慮なく言ってくれとか、パンフレット買いましたとか。みんな私に気を使ってくる。
緋色は緋色でグリと楽しそうだし。5対2で別れてもいいかもしれないなぁ。
目的地に着き、カサトが手を差し出してきたので手を伸ばす。
立ち上がらせてくれたのはいいけど、いきおい余ってカサトに凭れかかってしまった。
「ごめん!」
「悪い!」
「「カサト…?」」
ドラコとハルトがカサトを睨んでる。怖っ!
「いこ…レーナ…」
手を繋いで私を攫っていくネージュに、今度は3人がネージュを睨んだ。
遊園地の入り口でチケットを買い、久々のネズミーランドにテンションがあがる。
「玲奈!耳付けようよみんなで!」
「いいね!早速買いに行こ♪」
人数分のネズミ耳カチューシャを買い、嫌がるみんなに付けてもらう。
笑っちゃいけないけど、ネージュ以外似合ってない!
「みんなカッコイイから、カチューシャ似合ってないねぇ?」
「え…」
「カッコ…イイ?」
「…みんな?」
「うん!みんなカッコイイよ!記念に写真撮ろ!」
おだて作戦成功?いや、本当にみんなカッコイイけどね?
お城をバックに写真を撮り、手近なアトラクションから乗って行く。
ジェットコースターでネージュとグリさんが潰れ、ティーカップでハルトと緋色が潰れ、シューティングでカサトとドラコが同得点になり決着をつける為、また二人で乗っていた。
お昼にハンバーガーをみんなで食べて、食べた後激しい乗り物はちょっとという事で観覧車に乗る。
緋色とグリさんを先に乗せると、緋色が恥ずかし気に怒っていた。
私たちは5人で乗り、私の横をネージュ、カサト。前にドラコ、ハルトが乗る。
「この後はお化け屋敷かなぁ?」
「えー…おばけ…やだ…」
「んじゃネージュは外で待っとれやー。俺がレーナを守るよって」
「守るのは僕だ。カサト、貴様はレーナの隣にいるのが普通だと思ってないか?」
「私だってレーナ様をお守り致します。お隣はぜひ私が…」
右腕にネージュが腕を絡め、左腕にカサトが。
右手をドラコが握り、左手をハルトが握った。
「この際やからハッキリしよか!レーナはこの中で誰が一番好きやねん?」
「え…えぇー…?」
「ハッキリさせよう。だけど僕は何番でもいいからレーナと一緒になりたい」
「私だってそうでございます!レーナ様は私の番ですから!」
「…ぼくも、レーナのこと…だいすき…」
「お前らなぁ!一番は俺や!全部俺が一番や!な?!そやろレーナ!」
いやいやカサト、そんなに顔近づけられても困る。
こんな狭い場所で何考えてるのよ。
「やめて、カサト…そんな目で見ないで」
「そんな目って…レーナして欲しそうな顔してるやん」
「ん…っ」
みんなが見てるのに口付けを受け入れてしまった。
舌を入れようとしてきたから、胸を押して唇を離した。
「カサト…許さない!レーナ、次は僕だ」
「んっ」
頭を支えられて向きを変えさせられ、ドラコの唇が私の唇を覆う。
やだ、みんな見てるのに。見てるのに!!
「…ドラコ、長いですよ」
「はっんんっ」
ドラコを押し退けたハルトが間髪入れず唇を合わせる。舌を入れてこようとするから、抵抗して口を結んだ。
「や…やだぁ…!レーナは…ぼくのだよぉ…」
後ろから抱きついてきたネージュは首筋に唇を押し付ける。ぬるっと温かい何かが首筋を這って、驚いて口を開けてしまった。
すかさずハルトの舌が入ってくる。
「…んっや…っ」
耳に水音が響く。舌を絡められた音か、耳を舐められている音か区別出来ない。
「お前ら…!レーナを満足させる事が出来るんは俺だけやったのに!」
「みんなで攻め立てるのは良くない。レーナの負担になるぞ」
カサトとドラコが二人を引き剥がしてくれて、何とかその場をしのげた。
危ない!あれ以上流されてたら本当にヤバかった!
観覧車から出て、言っていたお化け屋敷へと入る。
ハルトとネージュはさっきの件でカサトとドラコにめちゃくちゃ怒られて外で待機。
でもお化け屋敷行こって言ったけど、私も得意なわけじゃない。
前にドラコが、後ろにカサトが私を挟んでくれている。
「きゃっ!」
「何やレーナ、怖いんか」
「悪い?!得意な女のコなんていないと思うけど!」
「…可愛い…レーナ、手を繋ごう」
「うん!ドラコ、私を守って?」
「勿論だ!」
「ちょお待て!俺も守ったるから!」
右手をドラコ、左手をカサトが繋ぐ。
これで私は一安心。
驚かして来る系のお化け屋敷は嫌いよ!
「きゃあっ!」
「可愛い…」
ドラコ、私見てないで前見て歩いて!
「ぅわぁっ!」
「ちょ、ちょっと押さないでよ!」
カサト、それさっき私がやったから!!
カサトが押してきたから、ドラコに抱きついてしまった。
私は押してきたカサトに抱きつかれている。
まるでサンドウィッチ状態。
「れ、レーナ…?」
「ドラコ!このまま進んで!後ろが超怖い!」
「ドラコ!はよ行ってくれ!後ろからゾンビがぁあ!」
走っちゃ駄目なのに出口まで走って、係員に怒られた。
急に視界が明るくなって眩しい。
足が絡まってそのままみんなで前に倒れてしまった。
「ふ…っ」
「ぶはっ」
「あはははは!」
3人で笑う。
あんなに焦っていたカサトは初めてだし、ドラコも一緒になって走ってなんだか面白い。
地べたに座ってなにしてんだか。
「…はぁ…立てるか?レーナ」
「うん、ありがと」
「ドラコ俺もー」
すくっと立ち上がったドラコに手を差し伸べてもらい、立ち上がる。お尻を払っていると、ドラコはカサトも立ち上がらせていた。なんだかんだで優しいなぁ。
みんなと合流して、急流下りのアトラクションに乗る。
最後に結構びしょびしょになり、私と緋色は下着が透けるくらい濡れてしまった。
「レーナ様、これを着てください」
ハルトがカーディガンを貸してくれ、有難く羽織る。
「大きいね、これ…」
「急流下りに乗ると思っていましたから…用意しておいて良かったです」
「セコいな、自分!そんなに自分の服着させたかったんか!」
「流石、執事…用意周到だな」
「…ぼくもびしょぬれ…」
緋色は自身のカーディガンの前を止めていた。
グリさんが目のやり場に困って明後日の方向を向いている。
4人は相変わらず言い争っていて、何だか可笑しい。
「あはは…楽しい…!たまにはこういうのもいいね…!」
急に笑い出す私をみんな最初は不思議に見ていたけど、私の笑いに連れられてみんな笑っていた。
************
「ふふふ…」
「お…笑ってるやん…何の夢見てんのかな?」
「さぁ…夢に入ればわかるが…」
「それはいけません。お一人で楽しませてあげましょう?」
夢の中で笑っている私の頭にそれぞれ口付けし、3人は安心して眠りについた。
0
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる