変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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本格始動知識部!

88話

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 あの不毛なある意味厄介事だらけの会議から1週間が経った。

 帝都内部では問題が多発していた。
 所謂アホ冒険者達のせいだ。

 指示をきちんと聞かずに行動する連中のせいでとてもじゃないが帝都内部の空気は悪い。

 低ランク冒険者にも2種類居る、猪突猛進タイプの自信マンと
 言われた事はしっかりとこなすイエスマンだ。

 後者はしっかりと仕事してくれるからどうでもいい。

 問題は前者だ……猪突猛進タイプのアホ冒険者が
 獣人という理由だけで子供の獣人を捕まえようとしたのだ。

 当然、低ランク冒険者達のアホはその場で親にボコボコにされて衛兵に届けられた。

 その獣人族の親子は商業ギルドに加入しており冒険者ギルドと国にクレームを入れた。

 今の獣王国との関係は最悪と言ってもいい。
 今現在、猪突猛進の獣王が挙兵してウェスタン辺境伯領に来たらしいが、父上と肉体言語でO・HA・NA・SHIしてるらしい。

 獣王国の精鋭虎雷兵団とクロス伯爵領騎士団がバッチバッチやり合って笑いながら戦闘しているらしい。
 獣王は真っ直ぐ父上に向かって

「おう? お前強いな? 俺と殺り合おうぜ!」

 とアホ発言し、それに対して父上は

「おう、その代わりここだけで他は攻めんなよ?」

 と答えたらしい。

 何だ!?それ? 眼鏡の小学生が『野球しようぜ!』
 それに対して『空き地なら良いよ』みたいな発言ではないか……

 俺とネロは期末テストを終えてのんびりだらけていた所に
 ハビスとハンナにお願いしている報告書をカフェで受け取った所だった。

「なぁ? いつから相手も騎士団も脳筋集団になったんだ?」

 目の前に居るのは普通の農夫の格好をしたハビス直下の諜報部隊の1人だ。

「はっはっは!何をおっしゃいますかケビン様!元からですよ!
 ハビス様も頭脳明晰ですが、中身は戦闘狂ですよ!」

 と言いつつ手を出す、諜報部隊員。

「おー、確かに考えてみれば、その通りかもな。
 そして、諜報部隊員はいつから辛党になったの?
 それと俺、平民だから様要らねーよ?」

 そう、コイツら報告書を持ってくる度にカレー粉や唐辛子をくれくれと来るのだ。

「何をおっしゃいますか! ケビン様はカレーや辛さの創造主!
 我らからすれば神ですよ!」

 俺は、粉にした香辛料を手渡すとあれだけ騒いでいた諜報部隊員は消えていた。

「お、おい。ケビン!何だ!? さっきの人。
 いきなり気配が消えたと思ったら居なくなったぞ!」

「気にするな、ハビスの弟子だぞ?
 下手したら帝国1優秀なんだぞ? 情報を扱う当主が脳筋だから皇帝陛下にも目零し貰ってるんだからな!」


 そんな、厄介事しかない最前戦の情報とアホな帝国内部の情報を精査していた時だった。


「「!!!?」」

 俺達2人は驚き、南の方角を見る。

「や、ヤバそうだな。脳筋のネロ君お先にどうぞ!」

「む、無理だって!絶対無理!何だ!?あの気の総量は。
 あれで全開じゃなかったら瞬殺されるぞ!」 

 厄介事は立て続けに起こるのです!
 前世で俺はチェイントラブルと呼んでいた。

 何が起点になって起こるか分からず、そして忘れた頃にやってくるのがこのトラブルの特徴だぜっ!


「はぁ……仕方ない。後で門兵には怒られるけど直接転移で行くしかないか。
 おやじさーんお会計ここに置いておくよー!」

「あいよー!」

 このカフェの常連になっている俺達はこんな感じで
 いつもやっているのでおやじさんには感謝だ。
 この店美味いんだけど、客居ないよなぁ。


 俺達は突如として現れた、強者の気配に仕方なし。
 仕方なしに行こうとした時だった。

「ネロ!外に出ろ!そして受け止めろ!」

 俺の焦った声にネロは外に出て上を見上げて、とある物を受け止めた。

「ぐぅぅ……ば、化け物め」

「俺の盾が一撃で……Bランク素材がぁぁ」

 スカーフェイスのおっさんと金剛のとっつぁんだった。

「この2人がやられたって事はだいぶ不味いな。おいっ!おっさんず!」

「「誰がおっさんだ!」」 

 綺麗にハモる2人に意外と元気そうだな?と装備を見ると、
 武器破壊と吹き飛ばされただけだった。

「漫才してる暇ないから、相手の特徴だけ教えろ。そしてギルドマスターに報告!」

 歪んだ表情が怖い、スカーフェイスさんが

「チッ、猫? 獅子型? 獣人族の女だ。いきなり来て戦意満々だったから目的を聞いた瞬間……」

「「聞いた瞬間??」」

 俺とネロはついついクライマックスが気になってハモってしまう。

「臭い汚い、加齢臭って言われていきなり武器壊されてふきとばされたんたよ!!」

「「「ぶひゃひゃひゃひゃ!」」」

 俺達は大笑いしてしまった。おっさん専用の3Kかよっ!上手い表現だぜっ!

 ん? 3人?

「金剛!お前は話しかけて無いのに吹き飛びされだんだ!お前も一緒だろっ!」

「俺は加齢臭等気にせん!パパくちゃーいって娘に言われるのにも慣れてる!」

「「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!パパくちゃーいだって!」」

 ドヤってるとっつぁんに俺達は腹抱えて笑う。

「あー腹痛てぇ……ケビン。早く行かないと不味そうだぞ?」

「ヒヒッ、ヒック、笑い止まんねー!あいあいわかったよ!行くぞネロ!『テレポート』」

 俺達はそうして、とっつぁんとスカーフェイスのおっさんが
 居るはずだった場所に転移するのであった。

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