変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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本格始動知識部!

91話


「陛下!プラテリア第2王女殿下及び、冒険者ケビン、ネロ両名がお着きになりました」

『うむ、入れ!』

 俺達は、取り敢えずプラテリアを先頭に執務室に入る。

 おう……陛下はお疲れの様だぞ? ちょっとげっぞりしてる様に見えた。

「挨拶は取り敢えず座ってからにしよう。冒険者としての顔を持つ
 プラテリア姫にはそちらの方がよかろう?」

「うん、いい」

 Sランク冒険者の権力は公爵や王族に匹敵する程だ。
 簡単な理由は、それ位の地位を持ってないとそもそも迎撃出来ないという理由らしい。

 全員が席に座るといきなり皇帝陛下が頭を下げた。


「陛下!!」

 新宰相さんが慌てて止めようとしたが時すでに遅し。

「獣王国の民には大変申し訳ない事をした。
我々、カーステッド帝国は獣王国に敵対の意思はない。
 しかし、臣下の制御がおざなりだったのもまた事実だ。
 ここに謝罪をする。すまん」

 プラテリアはその態度を見て少し微笑んでいた。

「謝罪は受け取った。獣王国としては攫われた方が悪いと言う奴も確かにいる。
 でも、外の国で暮らして来た私には帝国も悪く写った。

 獣王国の王女として求める物は攫われた者達の帰国。
 帰りたくない子は、出来る限り保護してあげて。
 帰った事で、酷い目にあう子も居るかもしれないから」

 うへぇ、国のトップとトップの話し合いに
 スーパー場違いな俺達は必死に気配を消していた。

 すると、急にプラテリアがこちらを見る。

「私はこの子が欲しい」

「あ、お断りします」

 ピシッ   という音が聞こえた気がしたけど即答したよ? 

「王族楽だよ? 好きなこと出来るよ?」

「あ、王族とか貴族とか何かあったら民を助けなきゃいけない時に
 仲間内を警戒してないといけないとか笑えないから無理です。

 それなら冒険者として、平民で最前線で戦うわ。
 それ以外は魔法の研究できるし」

「ぐうの音も出ない…… うぅ、私のカレーが」

 俺達は全員転けそうになった。
 結局お前の、食欲の為かよ!!って。

「商業ギルドに行けばレシピは売ってるぞ多分。
 スパイスは薬師に業務委託してるから獣王国で頼めば……?」

 俺はそこでプラテリアの悲痛な顔を見て言葉を止めた。

「獣王国、戦闘狂の集まり……薬師居ない」

「「「!!!え?」」」

 ぱーどぅん? ナンテ? 薬師居ない?

「病気は?」

「薬湯、毒消し・薬草をすり潰したのをお湯で割ったの飲む」

「何その、民間療法兼おばあちゃんの知恵袋みたいな治療は」

 プラテリアは首を横に振る。

「獣人は頑丈。だから大体それで治る。
 治ったら今度は耐性着くからどんとこい!」

 何、胸張ってんのコイツ?

 陛下も宰相も頭抱えてんじゃん。
 も、もしかして……

「獣人族がこっちに来ると帰りたがらない理由ってこれか?」

 コクコク頷くプラテリア。

「お風呂やトイレも綺麗だし。服もオシャレ」

 文明の利器とは言えないが、プラテリアからして見りゃ
 それ程までに帝国と文明に差があるって事だ。

 俺のクロス領の屋敷に入ったら2度と戻らないと宣言してしまう
 プラテリアが想像出来てしまい背筋に嫌な汗をかいた。

「皇帝陛下!具申致します!獣王国に帝国式文明の利器……お風呂や石鹸、
 トイレ建設の技術提供を今回の罪滅ぼしに贈ったら少しは融和なるかもしれません!」

 俺は必死だった。
 Sランク冒険者に捕獲される様なら本気で逃げたとしても
 たいして対抗出来ずに捕まるだろうと危機を感じていたからだ。

「そ、そうか? しかし帝国にとっては当たり前の技術だぞ?」

 俺はとにかく必死に説得する。

「こちらに当たり前の技術でも獣王国では未だに発展してない技術であり
 カレーを求めているプラテリア王女様にも渡せるWinーWinではないですか?

 それに弱いスライムも使い用っていう認識も与えられます!」

「陛下!確かにケビン殿の話には多少足りない点はあれど憂慮すべき点もあります!」

「う、うむ。ではその方向で行くとしようか」

「「有り難き」」

 ◇ケビン心の中

 あっぶねーマジで油断ならないは!!
 いきなり王族だなんだってめんどくせーー!
 回避!回避ー!そして退避ー!!

 ◇エレドリック・スターリオ心の中

 あっぶな!! ケビン君を調べると新しい技術や知恵が出るわ出るわ。
 これだけ文明へ貢献してくれる子は居ないんだ。

 先程の話を聞く限り、権力で自由や縛りを入れる方法を嫌い。
 自分自身の力であくまでも自己責任で自由にまったりマイペースで暮らしたいと見た!

 いやー今なら君の気持ちが分かるよ。羨ましい。

 陛下がこれからケビン君を囲おうとする度に邪魔しよう!!

 奇しくも、前世で苦労人。この世界で苦労人の心の方向と利害が奇跡的に一致するのであった。

 俺が宰相のエレドリック・スターリオさんに言いたい事は

 社畜って、心の鏡だけど。
 常に疲労感満載の不効率の極みだよね。

 お疲れ様です! 今度何か胃に優しい物を作って上げようかな?

 何て、何か空気感から悟り胃がキリキリしているであろう新宰相さんを心配するのであった。

 そして、空気になり必死に気配を隠す少年に辛さのイタズラを決行しようと心の奥底に決意を固めるのであった。

 ふっふっふー今宵はお子ちゃまカレーなんぞ作らんぞ!!はっはっはっ!
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